炎色反応 第三章・13
「ふ…………ん、ん、ぅ」
ティスを探す間、そんなことをしている暇がなかったのだろう。
かなり濃くなっているイーリックの白濁を、ティスは萎えたものの先から吸い出すようにして飲み干した。
「交替だ」
言いながら、オルバンが不意にティスの腰を掴んで上に引き上げた。
イーリックの前に膝立ちの体勢にされたティスは驚きながら口の端を拭う。
「なに……あっ」
時間をかけてほぐされた穴にオルバンの性器の先端が触れる。
やめてと叫ぶ暇もなく、深々と貫かれた。
「ああっ…!」
「ティスっ!」
イーリックがはっとしたように声を上げる中、オルバンはティスの両足を抱え上げる。
常人ならざる怪力で、彼はティスを貫いたまま立ち上がった。
「見えるか? イーリック」
くつくつと喉を鳴らしながら、己のものをくわえ込んだ白い尻を見せ付けるようにイーリックの眼前に立つ。
ティスはとても下を向くことが出来ず、そこいらに生えた木々に眼を向けじっと動かずにいた。
「見えるかと聞いてるんだ」
二度言わせるな、と言いたげな声といっしょに光が尾を引いて走る。
イーリックの前髪の一部が焼き切られ、地面にぱらぱらと落ちた。
びくりとして思わず下を向いたティスとイーリックの目が合う。
…………言う通りに。
心でそう語りかけたのが通じたようだった。
「……ああ。見える」
渋々、イーリックはそう言った。
「何が見える?」
「…………ティスと、お前が」
歯軋りするような顔をして、彼はそこで言葉を切った。
それ以上言うのは嫌なのだろが、オルバンはイーリックに対しても容赦する気はなさそうだ。
「オレとこいつがどうなってるのが見える? ええ? 人間。てめえの目で見ているものの説明も出来ないのか」
小馬鹿にした口調で言われ、イーリックの目の端が引きつった。
今にも剣を抜きそうな様子を見せたが、刃にも等しい光は今も彼の周りを飛び回っている。
逆らっても無駄と悟ったのだろう。
「お前の薄汚いものが、ティスの尻に入っている」
言葉を濁しても仕方がないと思ったか、イーリックは強い声でそう言い切った。
挑発的な口調にティスはびくびくしてしまうが、次にオルバンが言ったのはこんな台詞だった。
「そうだ。そしてこいつは、このオレ様のものを入れられるのが大好きなんだよ」
「ああっ」
ゆさりと一度、軽く体を揺すられてティスは小さな声を上げた。
「ティス…」
悲しそうなイーリックの声をこれ以上聞きたくない。
「なあティス。さっきみたいに言ってみろよ、どうして欲しいのか」
宿屋での情事を思い出し、ティスはかあっと顔を赤らめた。
行為をねだる言葉を一々口に出して言わされた、あの時のようにしろと言われているのだ。
「お」
しっかりと前を見て、イーリックのことを意識しないように努めてティスはつぶやいた。
「犯して…………下さい。オルバン様の、たくさん、出して」
聞き間違いようのないその内容に、イーリックが息を飲むのが気配で分かる。
オルバンは足元の青年のちょうど目の前辺りにある、自分たちが繋がった部分に軽く指先で触れた。
「ここに、オレの精液を注いで欲しいんだな?」
「そうです………オルバン様の、精液が、欲しいです」
目を閉じ、主人の言葉をティスはそのまま繰り返した。
「……ティス」
消えそうな声での呼び声は、もう耳に入れない。
ティスは首をねじって後ろを向き、オルバンにせがみさえした。
「お願いです……早く下さい………」
「我慢出来ないのか。しょうがない奴だな」
笑って、オルバンは抱え上げたティスの体をがくがくと揺さぶり始める。
「はぁっ、あ、あああっ」
どうしようもないままイーリックが見つめる、ティスの小さな穴は巨大なオルバンのものが出入りするたびにぱくぱくと赤い口を開ける。
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