炎色反応 第三章・14
女性のようには濡れないそこだが、二人分の先走りが潤滑剤となりさかんに卑猥な水音が上がっていた。
「あ、ああっ、あんッ」
まくれた肉がぬらぬらと光り、伝い落ちるティスの体液を巻き込んではいっそういやらしく濡れる。
薄い胸の先で両の乳首がぴんと立ち、伝う汗にそこも日の光に濡れたように輝いていた。
「見られた方がやっぱりいいんだな。絡み付いて、犯してもらえて嬉しくてたまらないと言っている」
「は……い、アッ、嬉しい、です……犯され…、うれし、ぃ……」
白い喉を仰け反らせ、ティスは小さな舌を出して犬のようにあえぎながらつぶやく。
倒錯的な快楽に全身が燃えている。
時折イーリックの存在が脳裏をかすめるたび、快楽はいっそう強くなった。
まだいとけなさの残る愛らしい顔を上気させ、大きく足を開いて犯されるその姿を見るイーリックの瞳の表情にもいつしか変化が起こり始めている。
ティスの舌技によって一度達し、そのまま放置されていた彼の性器は次第に芯を持ち始めていた。
「あっ、もうっ、オルバンっ……ああああっ!」
多くの男たちを愉しませて来た狭い通路の中を、その感じやすい場所を知り尽くした肉棒が一際深く突いた。
つま先が反り返り、天を向いたティスのものの先から精液が飛び出す。
地面に重たげな塊になって降り注いだそれを放出したティスは、びくんびくんと身を震わせながら中に出されていくものを味わった。
「ん、んっ…、………あつ……い」
何度注がれても、この感覚に慣れることはないのではないかと思える。
逆流した精液があふれ出し、内股や尻の谷間を伝い落ちるのが分かってティスはそっと顔を横に背けた。
金の睫毛に涙のしずくが付いて、陽光にきらきらと輝く。
体中にイーリックの強い視線を感じる。
彼に見られながら、オルバンに犯された。
犯して欲しいと頼むのを聞かれた。
尻の奥に精を注がれ、それが男を含んだままの場所から零れ落ちる様さえ今見られている。
「ん…!」
「まだ足りないか? そんなに締めるなよ」
きゅっと締まったティスの中から己の性器を引き抜いていきながら、オルバンが含み笑いを浮かべる。
そして彼は、ちらりと下方のイーリックに瞳を動かしてこう言った。
「足りない分は、おにいちゃんにしてもらうんだな。こっちの準備はもういいようだ」
何か聞こえた気がする。
でもよく意味が分からない。
「なに…? あ、あっ!?」
オルバンの性器を抜かれ、まだ少し口を開けているそこに空気の流れを感じた。
背後の男はゆっくりとその場に膝をつく。
彼に抱えられたままのティスは、イーリックと差し向かいのような状態になってしまった。
まともに視線が合ってしまい、急いで顔を背けるが、オルバンはイーリックをじっと見ている。
「ティス。さあ、今度はこいつにお願いしてみろ」
ティスはぎくっとして、またイーリックを見た。
イーリックは目を逸らしたが、彼のものが頭をもたげていることにその時ティスは気付いてしまった。
先走りとティスの唾液に濡れ光るそれは、優しげな外見とは裏腹に逞しく反り返っている。
本人はひどく気まずげな顔をしているが、彼の男根はこう主張しているようだった。
包む込む肉が欲しい。
狭くて熱い穴の中に潜り込んで、犯し尽くしてやりたい。
優しく頼もしい、いつかなるべき大人の理想像そのものだった青年のむき出しの欲望。
それを初めて目にしたティスは、オルバンにとはまた違う恐怖をイーリックに感じた。
「仲間外れはかわいそうだろう? それに、お前の大事な人間なんだろう、こいつは」
金の瞳の悪魔の声が、すぐ耳元から聞こえて来る。
「犯して下さいと言ってみろ。尻にそのでかいのをぶち込んで、ひいひい泣かせて欲しいとな」
声もなく、ティスはふるりと首を振った。
わななく唇から懇願が漏れ出る。
「い…………や。お願い。後生です、オルバン様、それだけは」
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