炎色反応 第三章・15
口で奉仕するのも、陵辱される姿を見られるのにも耐えよう。
でも、相手は幼い頃から知っているイーリックなのだ。
彼に貫かれてよがるなど、出来ない。
「お願い。他のことなら何でもします。宿の人みんな、いいえ今の村の人みんなと順番にしたっていい。だから許して。このひっ」
前触れなく、オルバンはまだ精液の漏れ出ている肉の穴に両手の指をかけた。
ぐちゅりと音がして、まだひくひくしているそこを尻肉ごと中が見えるまで広げられる。
「嫌だっ!」
羞恥にティスは身をよじるが、イーリックの周りを飛び回る光が彼の目に映った。
無力感がティスを襲う。
どうしようもないのか。
本当に、イーリックにまで犯されなければならないのか。
「イーリック、こいつは恥ずかしがって自分じゃおねだり出来ないらしい」
ぽたりぽたりと白濁を垂らす尻を、イーリックは強張った顔で見つめている。
「お前からも言ってやれ。欲しいなら、犯して下さいと言えと」
イーリックの唇も、先ほどのティスと同じようにわなないていた。
だが彼は、それ以上に張り詰めた己の肉棒の訴えを持て余しているようだった。
いかに人間が出来ているとはいえ、イーリックも一人の若い男。
目の前で弟のような少年が浅ましく乱れ、同じ男のものを受け入れて絶頂に達する様は刺激が強すぎた。
オルバンに対する怒りや憎しみが、奇妙な嫉妬にすり替わっていく。
この男がティスを犯し、よがらせることが許されるのなら。
「…………ねえ、ティス。僕のが欲しいと言ってごらん」
信じられない一言にティスがまじまじと彼を見つめ返す。
イーリックは困ったように苦く笑い、目を伏せて言った。
「しないと、君も僕もその魔法使いに殺される。それぐらいなら……」
喉が詰まったように感じる。
絶望で胸がいっぱいになった。
まさかイーリックの口から、そんな言葉を聞くなんて。
裏切られたような気がして、ティスは青ざめぶるっと体を震わせた。
――でも、彼の言う通りだ。
オルバンはもしかすると、ティスのことは勘弁してくれるかもしれない。
だけど今までの例から言って、イーリックに何もしないでいてくれるとは思えない。
この人が無事に帰されること以外何も望むまいと誓った。
諦めるしかない。
「………下さい」
蚊の鳴くような声でティスはつぶやいた。
「イーリックさんの、下さい」
「なんだ、もっとはっきり言え」
からかうようにオルバンが茶々を入れてくる。
「誰に、何を、どうして欲しいんだ。言ってみろ。さあ」
今更清純ぶっても始まらない。
ティスは何度も言い直さずに済むよう、一息にこう言い切った。
「イーリックさんの、おっきいの、欲しいです。それをオレに入れて…………いっぱい突いて、せ、精液を、たくさん出して下さい」
「だとよ」
満足そうにオルバンが笑う。
「望み通り、お前のをぶち込んでよがり狂わせてやれ。手加減はいらない。こいつは酒瓶を出し入れされてイくような淫乱だからな」
お願いだからこれ以上余計なことを言わないで欲しい。
もっと赤くなった顔を思わずうつむけて、ティスはオルバンの腕を振り払い逃げ出したい衝動を抑えた。
「さあ、大好きなものをよく味わわせてもらえよ」
オルバンの腕が動く。
先ほどから開かれっぱなしの穴の縁にぬるりとしたものが触れる。
次の瞬間、ティスは座位の姿勢で深々とイーリックのものをくわえ込んでいた。
「ひいいいっ!」
ずちゅっ、といやらしい音を立てて入ってきたものが、いっぱいにティスの中を広げている。
イーリックのものは見た目以上に熱くて太くて、入れられただけでもうどうにかなってしまいそうなぐらいだった。
おそらくは、ティスの体も極端に過敏になっているのだろう
中に突き込まれているものがあのイーリックのものだと思うだけで、男に慣れたはずの体はまるで初めてのように縮こまってしまっている。
「あひっ……、いや…ぁ、許して、許して」
彼を拒むよう、ぎちぎちときつく締め付けながらティスは泣いてそう頼んだ。
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