炎色反応 第三章・27
「はあっ……あ、あん、あ、あっ、い、いっちゃう、あっ…!」
肉をぶつけ合うような、荒々しい抜き差しでいきなり高みに持ち上げられる。
一息に快楽を極めてしまうほどの激しさに、一瞬これで楽になれると思った。
いかせてもらえる。
熱い精液を中に出してもらえる。
自分も全てを出しきって、とにかくこの熱から解放される。
だがイーリックは、まだ手の中のティスのものの根元をきゅっと握り締めてしまった。
「えっ………あ、や……!」
慌てても、尻の中を出入りするものは変わらない激しさで中をこすり上げている。
「はあ……んっ…!」
押し広げられてはすぼまる穴が、犯される喜びに赤い肉を見せながら口を開く様も変わりない。
でも、これでは達することが出来ない。
「やっ………指、ぃ……離してっ…」
「いきたいの?」
思わずそうつぶやくと、待っていたとばかりにイーリックは嬉しそうに笑った。
「じゃあ僕にお願いしてみて。いかせて欲しいって」
「そ、そんな…」
責めるように彼を見ようとしても、揺さぶられ続けて瞳に力が入らない。
元より涙にぼやけ、半分閉じられたような水色の目に相手を責める能力などない。
汗で額に張り付く金の髪も、紅潮した白い頬も、劣情をかき立てるだけ。
「可愛いよ、ティス」
うっとりとそう言うと、イーリックは深く腰を押し付けながら身を屈め少年の唇を奪った。
「ん……うぅ」
かなり無理のある体勢であるにも関わらず、執拗に唇を吸われティスは喉の奥であえぐばかりだ。
散々口の中を舐め回した舌を引き抜かれ、乳首を吸われ始めてもいまだ性器はきつく束縛されたまま。
そしてまた、腰を掴まれ中を突きまくられる。
「あっ、あ……!」
蓄積された熱が集まり、解き放たれるその場所を節くれた指がしっかりと握って離さない。
中をえぐる彼のものだけが、自在に悦楽を味わい高みを目指して収縮を始めていた。
「イーリック、さぁ……ん…」
朦朧とした意識の中で、ティスは苦しい息の狭間に彼の名を呼んだ。
「も…、苦し……よ……お願い…」
連続して何度もいかされるのも苦しい。
でも、絶頂を遂げられないのもつらくて仕方がない。
ずっと同じところで快楽がせき止められている。
体の中で出口を求めて暴れる熱が、いけないと叫ぶ理性すらも蕩かしてしまったようだ。
「いきた……、いかせ、て……」
イーリックの手の中、ひくひく震えている性器の先からは涙のような先走りがさっきから出続けたままだ。
それで自らの肌を汚しながら、切なく訴える様を見てイーリックは満足したようだった。
「いいよ」
「あっ……!」
性器を束縛していた指が柔らかくほどけ、敏感な先端に回った。
小さな穴をいじめられながら、熱を持った内部を激しく犯される。
「あっ! ああっ! んん、んっ……、すご、すごいっ…」
ずっ、ずっ、と音を立て、繰り返し繰り返し貫かれては引き抜かれる。
一度せき止められていた後の快楽は、甘く、深い。
自由にならない四肢を痙攣するように震わせ、ティスは夢中でその感触を味わった。
「ティスも、すごいよっ……きつくて、熱くて…昨日より、すごい…!」
イーリックの陶酔した叫びがますます歯止めを利かなくする。
「あっ……あーっ…!」
喉を仰け反らせ、枕に後頭部を擦り付けるようにしながらティスは達した。
ほぼ同時に、体内にイーリックが射精する。
暖かな体液が、直腸の奥にどくどくと注ぎ込まれていく。
「ん、ん…」
まだ胸を弾ませながら、ティスは諦めたように気だるく目を閉じた。
頂点を極めた快楽の熱は、終わってしまえば下降していくだけだ。
胸を満たす悲しさはそれに反比例して上昇していく。
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