炎色反応 第四章・10
「っん、ん………、ふあ…」
歯列を割られ、無理やり舌を絡められて舌先を強く吸われた。
じんと痺れが走った途端、愛撫に慣れた頭のどこかが切り替わってしまうのを感じる。
いけないと思おうとして、だが、すぐに思い直した。
逆らおうとしたところで無理だろう。
ディアルはオルバンと同じ、この世界の支配階級である魔法使いなのだ。
下手に逆らえば余計にひどい目に遭わされるだけ。
痛い目に遭うのが嫌でオルバンに逆らわないのなら、ディアルに逆らわないのはおかしい。
「……ん…」
口の端から混じり合った唾液があふれ、あごを伝い落ちていく。
舌を絡め合い、貪り合うような口付けは長く続いた。
ようやく顔を上げたディアルは、うっすらと上気したティスの顔を見て忌々しそうな顔をしていた。
「………レイネに聞いたのとずいぶん違うな。気持ちがいいなら誰でもいいのか」
にらみ付ける目を見上げ、ティスは虚ろな口調で言う。
「オレは、ただの人間です。魔法使い様に逆らえば、どんな目に遭うのか分かってる…………それだけです」
さっきも言ったようなことを繰り返すと、ディアルは小さく鼻を鳴らす。
「なるほど。では、オレが何をしようが逆らわないというわけだな」
彼は太い指をティスの胸元に回した。
寒さのためか、もう芯を持っている乳首を乱暴につねり上げられる。
痛みにティスはかすかに顔をしかめた。
だが、悲鳴は飲み込んでしまう。
「案外強情だな」
舌打ちして、ディアルは手元にあった指先をついとティスの開いた足の間にやった。
ぎゅっと性器を握られ、ティスがびくりと震える。
握りつぶされるのではと思ったが、ディアルは体ごと下に下がった。
内股に彼の吐息を感じる。
ティスの性器を握り込んだまま、ディアルは白い腿の肉を何度も強く吸った。
「あ、んんッ」
きつく吸われ、赤い跡が幾つもそこに刻まれる。
彼はしばらくそうやって所有印のような口付けの跡を作った後、尻の奥できゅっと口を閉じている穴に唇を寄せた。
「あう……んん」
いきなり舌をねじ込まれる。
太くてぬめぬめとしたそれが突き刺さる感触に、ティスは声を震わせた。
ディアルの手に握り込まれた性器もぐっと硬くなる。
「んはぁっ………、あ、ああっ…」
音を立ててそこを舐めしゃぶられ、卑猥な水音を聞きながらティスは喉を仰け反らせた。
オルバンは指でいじることはあってもここを舐めたりしない。
そんなことをしたのは、あの、金色の髪をした、優しい…
「ああっ、んぅ……ん、んっ、ディアル様ぁ……」
思い出さないように、地の魔法使いを呼んだ。
ディアルは呼びかけに答えるように、ゆっくりと握った性器にも愛撫を始める。
大きな手でしごかれるたび、桃色をした性器はぴくぴくと震え先走りを伝わせた。
「あ、ぅ……ああ、あっ、んっ、もっとぉ…」
分厚い舌で奥までさかんに舐め回され、滴り落ちる唾液が白い尻を伝って落ちた。
快楽に従順な入り口はいつしか開き始め、唾液に濡れていやらしく輝いている。
「ああっ、あんっ、いいっ、あーっ……!」
ディアルはしばらくそうした後、ティスが軽く達してしまったのを見計らって顔を上げた。
「淫らな…」
かすかな欲情の混じったディアルの声がする。
寡黙で武骨な、およそこんなことに興味のなさそうな男に見えていたせいだろうか。
艶を帯びた低いその声はひどく官能的だった。
「裸に剥かれ、ここを舐められればもうこんなだ。オルバンに躾られたにしても、あまりにも恥知らず過ぎる」
軽蔑したように言った手が、その腰元に回る。
無造作にベルトを外し、彼は衣服に押さえつけられていた自分の男根を取り出した。
ぼんやりとディアルのすることを見ていたティスは、ぎくりと身を硬くする。
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