炎色反応 第四章・11
大きい。
多分、オルバンよりも大きい。
赤黒くて太い、見るからに逞しい肉棒を地の魔法使いは見せつけるように手に取って言った。
「これだけ濡らしてやったんだ。もうオレのを入れても大丈夫だな」
尻肉を割り開き、彼は亀頭をティスの半開きの穴に押し付けた。
赤い内部を覗かせ、男を欲しがっているそこを望む以上の大きさでこじ開ける。
「ひい………ッ」
みりっと音がした。
初めてオルバンに出会い、犯されて以来なかったことだ。
肉が裂ける感触と痛み。
それを物ともせず、押し入ってくる熱い肉棒。
「やあっ…………さ、裂けちゃっ……」
「レイネもここを裂かれ、犯され、あいつの汚いものを注がれたと泣いた」
じりじりと腰を進めて来ながらディアルがうなるように言う。
「お前も同じ目に遭え」
腰を掴まれた。
次の瞬間、ディアルは叩き付けるように強く腰を押し出してきた。
「嫌………!」
視界が赤く染まる。
間違いなく尻が裂けた。
なのに、ディアルは腰を揺すっている。
凶器でしかない男根で、ティスの中を更に傷付けようとしている。
「いやっ…! やめて、壊れちゃう、し、死んじゃう…!」
叫んでもディアルはかすかに笑うだけだ。
「どうせすぐ悦くなるんだろう? オルバンもでかいらしいじゃないか」
確かにオルバンのものも大きいが、ディアルのものは完全に規格外だ。
巨躯に相応しい一物を乱暴に抜き差しされるたび、白い尻をたらたらと血が伝った。
「痛い……っ、ディアル様、ディアル様……お、お願い…しま……死んじゃう…っ」
小さな尻に無理やり埋まったそれを拒むよう、最大限の力で締め付けながらティスはか細い声で懇願した。
ディアルも顔をしかめている辺り、彼も結構痛いのだろう。
互いに快楽のない行為を、でもディアルはまだやめる気はないらしい。
「力を抜け。魔法使いを怒らせたくないんだろう?」
そんなことをうそぶくと、無情に腰を揺すり出す。
「あ、あ………」
血の気の引いた白い頬を涙が伝った。
痛みで頭がぐらぐらする。
オルバンとは違う。
暴力でしかない行為に、ティスの肉体は声なき悲鳴を上げ続けていた。
「くう…、う、う…」
噛み締めた唇が白くなる。
額に脂汗をにじませ、必死にディアルの暴挙を受け留め続ける少年を見て地の魔法使いも苦々しい顔をした。
「痛いか。痛いだろうな………だがお前は、それでも殺されるよりましだと言うんだろう」
血と精液にまみれた肉棒をゆるゆると動かしながら、ディアルはささやきかける。
「レイネは、いっそ殺せとオルバンに言ったそうだ。犯されるぐらいなら死んでやると。しかしオルバンはあいつに死すら選ばせず、レイネから指輪を奪い、その魔力でもってあいつの体をもてあそんだ。水の魔法使いを己の水の力で陵辱したんだぞ」
ディアルが奥歯を噛み締める。
うなりを上げる猛獣のような顔付きになった彼を、ティスはかすむ瞳でぼんやりと見上げていた。
「お前にとっては、殺されるぐらいならオルバンの慰み者になった方がましだろう。しかしレイネは……」
言葉を切ったディアルが、いきなり強く腰を押し付けてくる。
「ぐう……ッ」
体の中が、全て彼の男根に満たされているような錯覚。
内側からぱんぱんになるほど押し上げられているため、ティスは苦しくなって口を開けた。
痛みと出血で気を失いそうだ。
なのに、次第にティスの性器は反応し始めていた。
激痛に萎えていたはずのものが勃ち、ひくひくと震えているのを見てディアルは呆れたように笑う。
「本当に、よく躾られている………あいつはどれだけお前を抱いた? こんなにされているのに、犯されるのが嬉しいのか?」
今も血を流し、ディアルの魔力に凝った土くれを濡らしている穴の具合を見て彼は言った。
その声には軽蔑を通り越し、最早哀れみすら漂い始めている。
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