炎色反応 第五章・15



「はひ…っ、うあっ、あ、あっ………」
苦しい息の下から引きつったあえぎが漏れる。
穴の縁をめくり上げ、出し入れされるものに奥を突かれるたびたっぷり中出しされた精液があふれ出た。
淫猥な水音を聞きながら、ティスは朦朧とした意識の中で死に近い快楽を味わっていた。
「ふぁ、あ、あうぅ」
舌を突き出し、繋がれた腕をぴんと硬直させて哀れな兎が鳴く。
右手で細い首を締め、左手だけで白い体を支えてその尻を繰り返し陵辱しながら、ヴィントレッドも上ずった声を出した。
「いいぜ、すげえ締まりだ。このまま絞め殺したら本当に昇天だな、兎ちゃん」
「う、くぅ…、うあっ…」
ぬぷっ、ぬぷっという音が不規則に響く。
熟れきった果実のように淫らに濡れ光る肉穴をさらし、ティスはただ細い息を吐くだけだった。
「顔を真っ赤にして、そんなに気持ちいいか? よしよし、もっとたっぷり出してやるからな」
ヴィントレッドの指に更に力が込められる。
同時により速い速度での抜き差しが始まり、ティスは瞳を閉じぐったりと体の力を抜いた。
喉にかかる指の力の加減がおかしくなって来ている。
残酷な性交にヴィントレッドが興奮して来ているのだ。
あるいは魔法使いの常として、逆らう弱者に対しての怒りに我を忘れているのか。
どちらにしろこのままでは本当に首を締められて殺されてしまう。
「あ、あ……ばん……、さ……ま………」
躾られた身体は無茶な行為にすら反応し、男の望み通りにきゅうきゅうと彼を締め上げる。
もう自分が感じているかどうかもよく分からないまま、身の内で存在感を増していく男根を意識していた。
「さあ、何匹でもオレの子を生めよ…!」
三度目の射精を宣言するヴィントレッドの声。
同時に喉にかかる指が更に強くなる。
このままでは絶頂に達した瞬間くびり殺されてしまうに違いない。
けれど抵抗の気力も沸かない。
目の前に迫って来た死と、頂点を目指して高まっていく性感が入り混じりもう訳が分からなかった。
「……オルバン、さま」
力なく彼の名を呼んでみる。
ここに至ってもティスの主人は姿を見せる様子はない。
まさか本当に、オルバンはザザに殺されてしまったのだろうか。
ちらとそんなことを考えてしまった瞬間だった。
ヴィントレッドの顔が、ぼんやり開いたティスの目に映った。
「何っ!?」
驚いたように首を締めていた指が外れる。
赤毛の男の顔は淡い黄色の光に照らし出されていた。
さっきまで手首以外見えなかったはずのヴィントレッドは、舌打ちをしてティスを見下ろしてつぶやく。
「地の守りか。面白い真似をするじゃねえか、兎ちゃん」
その言葉にティスも、ヴィントレッドを照らし出す光が自分から発されていることに気付いた。
「ディアル…、さま……?」
別れ際彼はティスの額に口付けをし、これは守りだと言い残していった。
それが自分の危機に際して発動したらしい。
光は更に強くなり、まだティスに入ったままのヴィントレッドを真後ろに突き飛ばす。
「ってえな」
だが、効果はそれ以上は続かなかった。
最大限の効果を発した光は次の瞬間消えてしまった。
後に残ったのはとうとう後がなくなったティスと、顔に泥を塗られた格好の自尊心の強い火の魔法使い。
「つくづく舐めた真似をしてくれるじゃねえか、クソガキが」
ヴィントレッドの声音から余裕がなくなっている。
「優しくしてやるつもりだったのに、気が変わった。オレの専属にしてやるつもりだったのになあ」
今まで優しくされた覚えはないが、多分それを言ったが最後ただでは済まない。
ティスは開かれた足を閉じて立ち上がろうとしているが、足首を戒めた光がそれを許さない。
「痛ッ!」
限界にまで足を広げられる。
ヴィントレッドは広げれた両足の狭間、彼が放ったものをとろとろと零す穴を靴の先でぐりぐりと小突いた。


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