炎色反応 第五章・22



「あ、んっ……、やっ…」
軽く爪を立て、引っ張りながら更にそこをとがらせる指の動き。
間違いなくオルバンがしているのだとは思うけれど、姿が見えないせいだろうか。
いつ愛撫が来るのか分からず、普段よりひどく感じてしまう。
「ああ、あっ、オルバン様なんでっ……、あっ」
もう片方の乳首もつまみ上げられた。
指の腹でくりくりと転がされると、肩が激しく跳ねる。
「あう、あっ…!」
戸惑いに止まっていた自分の指に変わり、見えない指が中に入って来た。
「ひぅ、ん、んんっ!」
縁を広げるようにそこを突かれると背筋が震える。
次にどこを愛撫されるか分からず、その不安のせいで更に過敏になった肌を休みなくもてあそばれた。
オルバンの低く笑うような息遣いが聞こえる。
「おい、さっさと答えろ、ザザ。見物は構わないが立場を忘れるなよ」
はた目には一人でよがっているようにしか見えないティスに見入っていたザザは、慌てて答えた。
「わ、分からない。人間じゃ、魔法使いには勝てないし」
「一人や二人ならな」
「んぅっ」
とがりきった乳首にぬるりとしたものが触れる。
オルバンの舌だ。
分かっているのに、やっぱり見えないのでまるで未知の何かに触れられたように感じてしまう。
「あぁ、んっ………も、申し訳ありません、オルバンさまぁ…」
ぴちゃぴちゃと音を立ててそこを舐められ、ティスは震えながら哀願した。
オルバンは明らかに、ヴィントレッドが自分にしたことをなぞっている。
見知らぬ怪物にいいようにされる恐怖と、それと背中合わせの興奮が異常にティスを煽っていた。
「あぁ、ん、お、姿、を………見せて、くださ……こんな、あ、あっ」
顎を掴み上げられる。
思わず開いた唇に、何かが押し付けられた。
気配でオルバンが立ち上がったのが分かる。
「見えないからって噛むなよ?」
口腔に押し込まれる生暖かい感触。
すでに熱く硬くなった男根に、ティスは必死になって口を開けてしゃぶりついた。
「ん、ふぅ……」
目を閉じ、いつもの動きを思い出そうとしてみる。
形を辿るように舌を動かせば、それはみるみる内に硬くなっていった。
透明の肉棒に大きく口を開いて奉仕するその姿は、くわえているものが見えないせいで逆にいやらしい。
男に仕える舌の卑猥な動きがよく分かるのだ。
先端をまさぐるような舌の動きにザザがごくりと生唾を飲むと、ティスに口を使わせながらオルバンはまた聞いた。
「つまり現時点では、グラウスは魔法使いに魔法使いを潰させている。あるいは従わせている。そういうことか」
はっとした顔になったザザがどもりながら答える。
「そ、そうだ」
「お前はさっきの赤毛の他に、グラウスに従う力ある魔法使いを知っているか?」
「いや………分からない。火は、多分他にも何人かいるはずだが…」
「オレたちと同じ集落出身の?」
「いや、知らない顔だった」
淡々と交わされる質問とその答えが遠く霞む。
ティスは無我夢中でオルバンのものをしゃぶりながら、空いた手でぱくぱくと口を開いている穴を慰めていた。
「ふう、んん」
後頭部をきつく押さえ付ける大きな手が、たまにあやすように金の髪を梳く。
いい子だ、というようなその動きを感じると少年の舌は褒められたことを喜ぶように彼のものに絡み付いた。
ねだるように、ちらと目を開いて上を見上げる。
しかし見えるのは葉の一枚も残っていない寂しい枝と空だけ。
オルバンがそこにいるのは分かっているのに、姿が見えないことがいつまでも不安となってくすぶる。
あの皮肉っぽい金の瞳で、いつものように見下ろされたい。
素晴らしい肉体と、誰のものより逞しくそそり立つ肉棒をこの目で見たい。
でも彼がこんな意地悪をするのは、ティスがあのヴィントレッドに犯されてしまったからだ。
許してもらえなければ、きっと、このまま…
「ん、んっ、オルバンさま……もう、オレぇ…」
舌先でちろちろと亀頭と思われる部分を愛撫しながら、ティスは機嫌を伺うような声を出す。


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