炎色反応 第五章・24
「こら、そっちじゃないぞ」
頬に触れた手が、微妙にティスの顔の向きを修正する。
笑いの含まれた吐息が近付いて来て、ティスの唇に柔らかいものが触れた。
「ん…………ん」
すぐに潜り込んで来た熱い舌先に、自分のそれを絡めていく。
ちゅくちゅくと音の響く淫猥な口付けの最中、薄く開いたティスの瞳のすぐ側にオルバンの閉じられたまぶたが映った。
至近距離で見る、まつげの下に出来たかすかな影が艶っぽい。
「ふう……んぅ」
嬉しくなって、ティスは気持ちを込めて更に強く彼にしがみ付いた。
うっとりとしたまま口付けを終え、体を離せば目の前にオルバンの顔がある。
不敵な自信に満ちたその整った顔立ちを見て、安心してしまう自分がなんだかおかしかった。
出会ってしばらく、…………イーリックと再会するまでは、彼はただの支配者だった。
逆らうことが出来ないから離れらないと、そう思っていた。
なのにこの体はもうオルバンから与えられる以上の悦楽を見つけられない。
多分好きなのではないのだ。
愛でも恋でもなく、ただ惹かれる。
「オルバン様……、んっ」
深く突き入っていただけの肉棒が動き始める。
「本当にオレの子生んでみるか?」
左足をさっきまでより急な角度で持ち上げられた。
挿入が更に深くなり、ティスは眉を寄せ切なそうに息を吐く。
「あっん………、う、生みます、生むからっ……」
散々女扱いされて犯されてきたが、一応自分は男だ。
どれだけ中出しされても子供など出来るはずがないと分かっていても、思わずそう言ってしまった。
「オルバン様の、注いで……オレ、孕ませて、下さい………、…っ」
深く入ったものを、ゆっくりと引き抜かれる。
「あうっ……ん、んっ…」
「オレはガキが欲しいなんて思ったことはない」
ぬらぬらと光る赤黒い肉棒をぎりぎりまで抜き出したオルバンは、奇妙に静かな声で独りごとのように言った。
そして、もう少しで完全に抜け出そうになったものをまるで突き刺すようにティスの中に押し込む。
「んあっ…! ひっ、あああっ!」
串刺しにされるような錯覚にティスは悲鳴を上げた。
オルバンはそれに構わず、叩き付けるように激しく狭い肉壁の中を何度も往復する。
「ひあんっ、あん、ああ、あっ……! すご、すごいっ…………!」
こすれて泡立った体液がぽたぽたと地面を濡らした。
相手の体のことなど一切構わぬ、利己的で暴力的な行為。
なのにまだ足りないとでも言うように、オルバンは突き入れたままティスの体をくるりと半転させる。
「ンッ、ふぁ……」
向き合った姿勢から、木にしがみつくような体勢にされる。
「んぅ、あっ」
荒い呼吸を整える暇もなく、背後から忍び入った指にわずかな胸の盛り上がりごと乳首を捕らえられた。
二本の指にとがりをはさまれたまま、薄い胸板をもみしだかれる。
そのままオルバンは背後からティスを荒々しく攻め立て始めた。
「あっ……! あ、ああっ、すごいッ、オルバンさまぁ、そこ、そこ壊れちゃう……っ」
彼をくわえ込んだ穴がきしみを上げそうな程の激しい行為に、ティスはくらくらと眩暈を覚えながらかすれ声を上げた。
ザザは多分まだ見ているだろう。
もしかするとグラウスの手先たちが今も監視しているのかもしれない。
だけどそんなこと、もうどうでもいい。
「はぁ、アッ…………出して、熱いの、くださ……、あ、ああっ!」
ひくつく肉壁を押し広げたものがぶるりと中で震える。
ヴィントレッドのものに濡れていた肉が、オルバンが放った白濁で上塗りされていくのをティスはびくびくと身を震わせながら感じていた。
「ん、んっ………」
余韻に蕩けた声を上げながら、ティスのそこはまたきゅっと締まる。
注がれたものをまるで咀嚼するように、いやらしく蠢く尻をオルバンの手が撫でた。
「……お前の子供なら、可愛いかもな」
射精の直後のせいだろう、彼の声もわずかに乱れている。
それに感じてティスがわずかに身をよじると、オルバンのものもまた硬くなり始めた。
「ああっ……!」
また足を抱えられ、苦しい姿勢のままずんずんと一番奥まで犯される。
「あっ、あっ、だめっ、いったばっかりでっ……、あっ、あーっ…!」
こすられ続けてどろどろの結合部から聞くに堪えない水音が上がり続ける。
以降しばらく、ティスは半分意識を失いかけるまで何度も体位を変えて貫かれた。
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