炎色反応 第六章・20
けれどまだ、触手による奥への愛撫は続いている。
「いっちゃ、いっ、い、いってる、のにッ、やめてやだあッ」
絶頂の波も収まっていないのに、与えられる愛撫は激しさを増すばかり。
「ふぁ、あっ、ああああっ!」
一度目の波に被さるようにして、二度目の大波が襲いかかって来た。
「はひ……、は、……はぁ…………」
間を置かず追い上げられたことに、心がまだ追い付いていかない。
口の端から唾液の筋を零しながら、悩ましく眉を寄せ息を吐く姿を顔を上げたイーリックは愛しそうに見て言った。
「可愛いティス……」
痺れたような耳でそれを聞いたティスは、また両腕が勝手に動くのを感じた。
上に乗りかかっているイーリックの首に上がった手が回る。
あたかも恋人同士のような姿勢になったところで、イーリックは顔を近づけて来た。
「……っん……」
舌を絡め取られ、きつく吸われる。
行為の最中、こんなに何度も口付けをされることもあまりないのだ。
展開が早過ぎて混乱から立ち直れない。
「ふ……、ぅ、んんっ」
眩暈を覚えながら、ティスは何とか首を振って口付けから逃れた。
細かいところは分からないけれど、イーリックがグラウスの手により魔法使いの力を得たことは分かった。
次は、その力で一体何をしたかだ。
落ち着こうと努力をしながら、ティスは小さな声でこう言った。
「オルバン様はっ……」
彼の名が出た途端、イーリックの表情が険しくなる。
途端にティスは黙ってしまったが、イーリックの方が話を続けた。
「オルバン? あいつがどうしたか、聞きたいのかい?」
くす、と小さく笑うと、イーリックはまた右手をティスの前にかざす。
まだ中に入ったままの水の魔法が、広げられた穴から抜け出始めた。
「……んん……」
その感触に眉を寄せ、震えるティスの尻に彼はその手を這わせた。
「……すごいな、本当に濡れてるみたいだ」
「あっ……!」
たっぷりと舐めしゃぶられ、しとどに濡れた内部は指輪のはまったイーリックの指をたやすく飲み込んでいく。
「だめ、やめてイーリックさん……!」
いきなり二本の指が入って来る感触に、ティスは自由にならない体を震わせた。
ティス自身があふれさせた精液をもまとった指が、ゆっくりと中で動き始める。
指でティスを犯しながら、イーリックは彼の質問に答え出した。
「君たちがここへ来るだろうことをグラウス様は知っていた。そこで僕が、あの方の力により魔法使いになった人間……人魔っていうんだけれど、彼らを引き連れて待ち伏せしていたんだ」
予想通り、こちらの行動は読まれていたらしい。
「人数が多かったせいもあるだろうけどね。オルバンもディアルも、驚いた顔をして慌てて逃げていったよ…」
優越感をにじませてつぶやいたイーリックの指の動きが、徐々に激しさを増していく。
「あっ、ああっ!」
ずぶずぶと埋められていく指が、まだひくついている内部を撫でさする。
話を聞かないといけないと思うのに、どうしても意識がそこに集中してしまう。
「嫌っ、やッ、また、またいっちゃうッ」
びくびくっと体を震わせ、ティスはくわえ込んだ指をきつく締め付けた。
「あっ、あ、アーッ……!」
続け様に迎えた絶頂のせいか、噴出するはずの精液も勢いが弱い。
触手に穴をふさがれていた時のように、こぷこぷとあふれる白濁がティスの性器を濡らし内股を伝い落ちる。
「感じやすいね」
可愛いよ、とまたつぶやいて、イーリックは体を下にずらした。
いったばかりでぱくりと口を開けている穴を覗き込み、検分するように指先で更に広げる。
「やっ…………、見ないでぇ……」
膝頭を震わせ、懇願するティスに構わずイーリックは赤い肉をまくり上げてしまった。
水の魔法の名残が、体液と混じり合ってとろとろと零れ出す。
「もうきれいになったかな……?」
「見ないでっ……お願い、嫌、もうやだ……」
しゃくり上げるティスの瞳から、こらえていた涙が零れ落ちた。
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