炎色反応 第六章・22
恐ろしい予感にすくみ上がるティスの奥へと、イーリックが入って来る。
「あ、あ……!」
拒むように締め付けても、彼を喜ばせるだけだ。
「……熱くて、きつくて…………すごくいいよ、ティス……」
満足そうにくすっと笑うと、イーリックは本格的に腰を使い始めた。
濡れた内部を太く育った男根に突きまくられて、ティスにもその熱さが伝染していく。
一物自体はそれ程大きくはなくても、執拗な攻めは愛撫に慣れたはずの肉体をどろどろに蕩かし始めた。
「んやっ……、やぁ…………、ん、んんんっ、ああ、嫌………」
あえぎながら仰け反った瞳に、銀の触手の先端が映った。
「……ぁ……?…」
うねうねと蠢く水の魔法が空を切る。
冷たい感触が掲げられた足に触れた。
「んっ…………、つめた……」
熱のこもった肌を、びっくりする程冷たい感触が舐める。
雫を垂らしながら動いた触手は、やがて太腿付近にまで迫って来た。
「ティスは大きいのが好きだよね……」
一度動きを止めたイーリックが小さくつぶやく。
「たくさん入れてあげるよ。たくさん、たくさんね」
彼の指先で青い石が、強い輝きを放ち始めていた。
イーリックの形に広げられた穴の縁にぬらぬらとした感触が近付いて来る。
薄い肉が引っ張られ、わずかに出来た隙間に触手が頭を突っ込んできた。
「あ、ぁ、嘘っ……!」
イーリックの肉棒に絡まるようにして、水の触手が中に潜り込んでいく。
「ひいっ! ひああっ! あ、ああっ、だめッだめえ!」
狭い内部を押し広げ、冷たい舌がいっぱいに中を満たした。
また腰を使い始めたイーリックとは別の動きで、水の魔法がティスを犯していく。
「ああ……やっぱり、君の中が最高だ…………」
感極まったような声で言うと、イーリックはティスの右足を持ち上げた。
ふくらはぎに唇を寄せ、柔らかな皮膚を軽くついばむように口付けしながら、ぐちゅぐちゅと音を立て小さな尻を貫く。
「ら、めぇ…………、あ、ぁ……」
切れ目なく快楽を与えられ、ティスは呂律が回らなくなり始めた。
尻だけでなく性器や乳首、足の指の間まで満遍なく透明な舌が舐めしゃぶっている。
「ティスの中、ぬるぬるしてすごくいい…」
イーリックも絶頂が近いのか、その声は艶を帯びてかすれていた。
「だっ……、あ……あ、んっ、深っ……」
奥まで舐め回されながら、男のものに串刺しにされる。
風の魔法にわずかな抵抗さえ許されない状態では、本当に相手のなすがままだ。
硬くなった腹の上にそり返ったティス自身の性器からも、半透明の精液が漏れ出し平たい腹を汚していく。
「可愛いよ、ティス。ここが好き?」
両手で尻肉を掴んだイーリックは、ティスの一番気持ちがいいところに肉棒を擦り付け始める。
水の舌もそこに集中し、前立腺の真裏を攻められる快楽に爪先が痙攣した。
「しッ、死んじゃう、死んじゃうっ……もうっ、いっぱい…………、のぉ……」
ティスはすでに数度達していた。
けれど後から後からやって来る快楽が激し過ぎて、絶頂が終わらないのだ。
犯される恐怖よりも更に先にある、自分が根底から破壊されてしまうような恐怖にティスは怯えていた。
「許して……っ、もう、もう許して、もうやめて……!」
哀願するティスの、汗で張り付いた前髪をイーリックはそっと払い除けて言った。
「そうだね…………まずは、これでやめようか」
思わせぶりな一言を吐いて、彼は更に激しく腰を使い始める。
「さあ、僕ので奥まで満たしてあげるよ…!」
嬉しそうに言ったイーリックのものがティスの中でどくりと脈打つ。
すでに潤されていた内部に、熱い精液がどくどくと注がれていった。
「熱いっ! 出てる、出てるぅっあああああああっ!」
泣き叫ぶティスの尻を押さえ付け、イーリックは全てを中に注ぎ切った。
「う、ぁ…………、あぁ……」
弛緩した体から風の魔法が抜け出ていく。
ゆっくりと混濁していく意識の中、ティスは優しく抱き締められるのを感じていた。
「可愛いティス……僕はがんばるよ。ずっと、ずっと君を守れるように……」
聞こえて来る言葉はどこまでも誠実で、それが余計に胸を締め付ける。
眠りに落ちるように気を失っていくその瞳から、一筋の涙が滑り落ちた。
オルバン様。
唇だけでつぶやいた名前は、誰の耳にも届かずに消えていった。
〈終わり〉
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