炎色反応 第七章・13
「んっ、あっ……、……あぁ……」
吸い上げられ、舐めしゃぶられ、もう片方は指でこね回された。
「ああ……っ、……あっ…………あ……」
立っていられなくなりそうで、ティスは赤子のように胸にむしゃぶりついている彼にしがみつく。
「んっ、く……っ」
薄く開いた唇から、ひっきりなしに喘ぎが零れ落ちた。
愛撫に肌は熱くなっていくけれど、頭のどこかが乱れきれないのが逆に切ない。
拒めない。
でも、彼が思うようには自分は彼のことを思えないのに。
どうしたらいいのか分からない。
「下も脱いで」
混乱したティスの首筋辺りに顔を埋めたイーリックが、熱っぽい声でそう言うのが聞こえた。
瞬間怯えた表情になったティスを見て、彼は少し悲しそうな顔をする。
「……いや?」
そんな顔をしないで欲しい。
何も言えないまま、手をそっとベルトにかける。
元々細いティスだったが、軟禁状態に置かれて以来めっきりやせてしまっていた。
そのためベルトを外すとズボンは簡単に足を滑り落ちてしまう。
下履きを与えられていなかったので、ズボンを脱ぐとその下はもう素裸の状態である。
月明かりに照らされた清らかな裸身を、イーリックはしげしげと見て言った。
「とってもきれいだ、ティス……」
どこまでも白い肌の中、乳首と性器だけがいやらしい薄赤い色を帯びている。
もう一箇所、尻の奥に潜んだ赤い穴に彼は舐めて濡らした指を伸ばして来た。
「……あっ……」
思わず腰を引いてしまったが、イーリックは構わず指の腹できゅっと閉じた入り口を撫でる。
そしてまた、唾液を塗られ妖しく濡れ光る乳首へと唇を寄せて来た。
「ん、んっ、んぅ……」
きつく吸われるたびに羞恥と快楽が高まっていく。
時折歯を当てられると、そのかすかな痛みがたまらない刺激になった。
「はぁ、あっ……、あ…………!」
存分に胸を吸ったイーリックは、ゆっくりと舌先を下方に滑らせていった。
へそにちゅっと可愛い音を立てて口付けた後、震えながら勃ち上がっている性器の先へとその唇は触れる。
「……んっ……!」
先程のお返しのつもりなのか。
丸ごと口腔に含んだものを、彼は丹念に舐めしゃぶった。
「はっ、あ…………、あぁっ……」
後ろに入れられることに慣れてしまったとはいえ、そこが男の一番直接的な性感帯であることに変わりはない。
濡れた肉に包み込まれ、音を立てて吸われるとあまりの快感に膝が笑ってしまう。
「あ、あ……、…………だめ、もう吸っちゃ……っ…………」
自分と似た彼の金の髪を掴み、ティスは切羽詰った甘い声を漏らす。
その声に興奮したように、イーリックは舌の回転を早めていった。
尻に潜り込んだ指先も、ちゅぽちゅぽと音を立てながら浅い位置で抜き差しを繰り返す。
「あっ、あっあっ、あぁ、あっ……!」
イーリックの髪をくしゃくしゃにしながら、ティスは呼吸を乱し切なそうな息を吐いた。
その内イーリックはティスの片足を自分の肩に軽く担ぎ上げ、少年の下に潜り込むような体勢を取った。
「は………っ、あ、そんなとこ…………」
性器の根元で揺れるふくらみにも、彼はためらいなく唇を寄せていく。
「あっ、あっ、あぅっ……」
イーリックの肩に担がれた足先が、びくんびくんと引きつった。
片足を持ち上げられたため、自然と割り開かれた尻肉の狭間で中に潜った指はいつしか二本に増えている。
根元まで突き込まれ、音を立てて中をこね回されるとおかしいぐらいに感じてしまう。
前と後ろからこんな風に攻め立てられては、いくらももつはずがなかった。
「あ、あっ…………、あああ……!」
またイーリックの口に含まれ、痛いほどに強く吸われた瞬間だった。
絶頂を制御しきれず、彼の喉の奥に精を放ってしまったティスはその頭を抱き締めるようにしてぶるぶると震える。
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