炎色反応 第七章・14
「あ、あっ……、ごめん、ごめんなさい……」
前置きをする暇もなく、一気に達してしまった。
しかしイーリックはこれも予測の内だったらしく、口の中で縮まった性器を丁寧に舐めて始末をしてくれる。
「いいよ、ティス……感じてくれて嬉しい」
一通りきれいにし終えた彼は、羞恥と絶頂の余韻に震えるティスを抱き返しながら立ち上がった。
「次は僕の番でいいかな」
見下ろしてくる瞳と目を合わせられない。
その胸に顔を押し付けたまま、動けないティスにイーリックは優しい口調で命じる。
「後ろを向いて、そこの木に手をついて、お尻を突き出して」
甘い匂いのする白い花を付けた木の一本を指し、彼は恥ずかしい体位を要求してきた。
思わずぎゅっとイーリックの服の脇辺りを掴んだが、やっぱり抵抗することは出来ない。
下を向いたまま、のろのろと後ろを向く。
言われた通りに木の幹に両手を当てて、申し訳程度に裸の尻を突き出した。
「……もっと足を開いて」
淫靡な熱のこもった声が背後から聞こえて来る。
今の自分がどんな風に見えているのかと思うと、それだけで感じやすい肌が火照るようだった。
「こ、こう……?」
爪先を突っ張らせ、そろそろと足を開いていく。
不安定な姿勢と緊張にぴんと伸びた白い足の内側を、イーリックは指先でなぞるように撫で上げた。
「……んっ……!」
荒い息遣いがうなじにかかる。
自ら男を求める、浅ましい体勢を取ったティスの背に覆い被さるようにしてイーリックは更に要求してきた。
「自分で穴を開いて見せて」
露骨な言葉に顔が真っ赤になる。
ずっと木の幹ばかりを見つめていたティスは、わずかに振り返り小さく首を振った。
「そんっ………、出来ない……」
「オルバンが命令すれば、君は何でも言うことを聞くんだろう?」
オルバンの名前を口にする時、イーリックの声はいつも冷たくなる。
「それともあいつなら、一々言われなくても自分でお願いするのか? 入れて、犯してって……」
大きな手がティスの右手を掴んだ。
ぐいと後ろに引っ張られ、ますます不安定な体勢になってしまうが、何とか残った左手で自分の体重を支える。
「ほら」
促がされ、また木の幹を見つめてティスは決意した。
掴まれた手を下肢へと伸ばしていく。
指先で尻肉を割り開き、何度も彼を向かえた部位を空気に触れさせた。
「ん……」
恥ずかしさに身を震わせながら、そのままで動きを止める。
イーリックはわずかに後方に下がり、淫らこの上ない少年の姿を食い入るように見つめていた。
「…………どこも本当に可愛いな、ティスは」
膝を折った彼は、羞恥にきゅっとすぼまった穴を見上げそこに指で触れる。
「あっ! やんっ……」
驚いて思わず穴を広げるのをやめようとしたティスに、彼は素早く言った。
「だめだよ、ちゃんと広げたままで」
先程指で犯された名残で、薄赤く腫れた部分をイーリックは優しく撫でる。
「今はこんなにぴったり閉じてるのにね……何でも入っちゃうよね、ティスのここは」
そんな賞賛の言葉を素直に受け止められるはずもない。
ますますきゅっと締まる穴にイーリックはふふ、と笑った。
「可愛いよ、ティス…………好きだよ」
繰り返される甘い言葉に胸が痛む。
しかしその痛みは、次にやって来た羞恥と快楽にすぐに取って代わられてしまった。
「はぁっ…………あ、あ、あっ…………」
自分の指でもってもっとティスの尻を割り開いたイーリックは、先程褒めた愛らしい穴に唇を寄せていく。
一度軽く息を吹きかけた後、唾液に濡れた舌先が固く閉ざされた内部に強引に突き入って来た。
「ひあ! あ、んっ、んぅ……っ」
ぴちゃぴちゃという濡れた音が夜の闇の中に響く。
素裸で寒いはずなのに、彼の舌をねじ込まれたところから信じられないほどの熱さが全身に広がっていった。
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