炎色反応 第七章・15
「ん、ん、んん……」
「声を殺さないで」
ぶるぶると震えながら、喘ぎを漏らすまいとするティスにイーリックは一時舌を休めて言う。
「可愛い声を聞かせて、ティス……」
奥が覗き見えるほどに広げた濡れた肉の中に、彼は深々と舌を突き立てる。
とがらせた先で内壁をくすぐられるたび、ティスの性器の先から先走りが零れ落ちた。
「ああっ! や、もうっ…………、恥ずかしい、よっ……」
ぬめる肉が抜き差しされるたび、ぐちゅぐちゅという卑猥な音が響き渡る。
「お願い…………、もう、舌で、舌で中っ……突いちゃ、だめぇ……」
木の幹に抱き付いたティスは、今にも達してしまいそうな快感を堪えようと幹の表面に爪を立てた。
「舌で、されてるみたいでッ……、もぉ、オレ、オレ、変になっちゃう……」
がくりと膝が砕け、とうとう地面に四つん這いのような格好になってしまう。
それでもイーリックは執拗にそこを舐め続け、ティスに切ない声を上げさせ続けた。
「…………はぁ……」
ようやく舌を抜かれた時、ティスは一度達してしまっていた。
脱力した体を返され、自分の放った精液にまみれた淫らな姿を見下ろされる。
「足を開いて」
弛緩した体が強張る。
はっとして見上げたイーリックの顔は、とても優しかった。
「自分で開くんだ、ティス」
顔も声も優しいのに、なぜかティスの背筋はすうっと寒くなる。
こうなることは分かっていた。
何度もされて来たことだとしても、自分で足を開いて迎え入れたことなどない。
最後の一線をとうとう越えてしまうのだと思うと、どうしてもためらってしまう。
「……いや?」
けれど少しだけ弱い口調で言われると、今度は胸の痛みが強くなる。
恐怖と羞恥と切なさの、全てが等しくて一つを選べない。
今のイーリックに対してどういう態度を取るのが正解なのか、まだ分からない。
でもここで拒めば、彼はまた力を使うのだろう。
無言のままティスは、イーリックの方を見ないようにして足を広げた。
「いい子だね…」
うっとりとつぶやいたイーリックが屈み込んでくる。
太腿に彼の手が触れた。
「入れるよ」
宣言されるとかえって恥ずかしい。
いっそこのまま、無理やりに抱いて欲しいぐらいだった。
なのにイーリックは、更にこんな要求までして来た。
「好きって言って」
びくっと反応したティスの、しとどに濡らされた穴に彼のものの先端が触れる。
「んっ……!」
「僕のことが好きだって言って、ティス」
「ぅあッ…………!」
これまでの行為ですでに硬く反り返っていたものが、ぐぐっと深く中に入って来た。
「好きって言って、ティス……」
「あ、ン…………ッ!」
舌で犯され、一度は満足していた穴はやはり更に太い物を欲していたようだった。
オルバン並にとは言わないが、十分大きいイーリックの物を大口を開けて飲み込んでしまう。
「くっ、やっぱりきついな、ティスの中は……」
嬉しそうにうめくと、イーリックはすぐに腰を使い始めた。
「あはぁ! あん! ああん!」
一突きされるたび、ティスの性器の先からもとろとろと白濁が漏れ出した。
「あ、ぁっ…………すごっ……、ごりごり、するっ……」
こんな状況のせいなのか、いつもより入れられた物を鮮明に感じてしまう。
泣きそうな声であえぐティスの顔を見つめ、イーリックはささやいた。
「ティス、言って。僕のことが好きだって言って…」
彼の手が伸び、涙のような雫を零しているティスの性器を握った。
ぎゅっと掴み取られ、痛みにティスは短い悲鳴を上げる。
「い、痛い……! やめて、イーリック、やぁ…!」
「いかせて欲しかったら言うんだよ、ティス」
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