炎色反応 第七章・27
背筋がぞっとして、ティスは目だけを動かし背後の男を振り返った。
いつの間にか姿を表していた彼と目が合う。
その瞬間、気付けば長い間火の魔法使いと時を過ごして来た少年は悟った。
笑うような瞳の底に物騒な光を隠し持った、この目は間違いなく脅しではない。
ヴィントレッドは本当にやるつもりだ。
「レイネ、お前もだ。この兎ちゃんがオレにぶち込まれてひいひいよがる様、きれいなおめめを開いてしっかり見学させてもらいな」
くっくっと喉を鳴らして言うと、ヴィントレッドは今思い出したようにザザを見た。
「勇ましいな、ザザ」
嘲笑され、ザザははっとしてすっかり起立している股間を隠すように前屈みになる。
情けない姿を見てヴィントレッドは声を上げて笑った。
「そうそう、お前はそういう風じゃなくちゃな。反抗なんて似合わない真似はやめておけ。いい子でいれば、後でお零れをやるよ」
馬鹿にし切った口調で言うと、ヴィントレッドはレイネと向かい合わせのままのティスの中に出入りを始めた。
「んっ……、んっ! あっ……!」
イーリックより一回り大きいものに拡張される穴は、ティスの意志とは裏腹にきゅうきゅうと男を締め付ける。
「はっ…………、やぁん……」
勝手に熱くなっていく体が恥ずかしくて悔しいのに、乳首を転がされると甘い声が漏れてしまう。
「そうだ、兎ちゃんもこうじゃないとな」
満足そうに笑いながら、ヴィントレッドは軽くティスの耳たぶに歯を立てた。
「優しいおにいちゃんに優しく抱かれて満足する体じゃないだろう? えぇ? 強姦されるのも見られるのも大好きだもんなあ」
「んっ……んっ、ち、がっ……あぁ……!」
否定の言葉をかき消すように、ヴィントレッドは激しくティスを突く。
口では拒んでも、感じてしまっているのは自分で分かるからこれ以上強く否定出来ない。
迂闊なことを口走ればレイネ、それにザザの身にも被害が及ぶ可能性があると思えばなおさらだった。
何より慣れ親しんだこの気配。
傲慢で身勝手で、しかしあまりにも突き抜けた傍若無人ぶりにいっそ清々しい火の魔法使いの気配。
「あっ…………ああん…っ……」
背後から突かれているため顔が見えないこともまた、ティスの心を乱す要因の一つだ。
「さあレイネ、お前もちゃんとティスが入れられているところを見るんだぞ……」
ヴィントレッドに合わせ、リオールもいびつな笑みを浮かべながら張り型代わりの鞭を上下させ始めた。
開発された内壁をこすられるたび、瞳を潤ませたレイネの唇から悲痛なあえぎが漏れた。
「ひぃ! くぅ、うっ、やめなさい、このッ、……あっ、あっ、あっ……!」
またあごを仰け反らせたレイネの、長い銀の髪をリオールは乱暴に掴む。
そのままきつく引っ張り、無理やり前を向かせると激しく鞭を出し入れしながら言った。
「ちゃんと前を向いているんだ。でないとヴィントレッドの言うように、あの子供を王宮内の性欲処理係にしてやる」
ヴィントレッドとは逆に、リオールはティスをレイネへの人質として用いた。
だが彼は、自分の口走った妄想に自ら煽られたようだ。
ただの脅し文句に留まらず、その唇から熱に浮かされたような言葉が漏れ出て来る。
「そうだ、お前ら二人、家畜小屋に素裸で並べてやる。四つん這いにして、首輪を付けて。それで毎日毎日、薄汚い人間の男どもにめちゃくちゃに犯されるんだ……!」
興奮した彼は、衣の前をじれったそうに片手で開いた。
取り出した一物をその手で扱きながら、もう片方の手に握った鞭でレイネの中をこすり上げる。
「あぅ、ああ、やめて、やめなさいリオール、あぁ、いや、ああぁっ…!……」
断続的に叫ぶレイネの、開かれた内股を彼自身から滴った先走りが伝う。
握りが出入りする部分にまで垂れたものが淫らな音を立てるのを聞き、リオールは忙しなく自分を駆り立てながらいやらしく笑った。
「ふふ、感じているじゃないかレイネ、こんな物に尻を犯されてそんなに気持ちいいか……?」
打たれた鋲をこすり付けるようにして、リオールはレイネをいたぶる。
「気持ちいいんだろう? 言えよレイネ。入れて下さい、犯して下さいってな……」
暗い情熱を秘めた声を聞き、レイネは奥歯を噛み締めた。
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