炎色反応 第七章・28
「……そんなこと、誰がっ……」
「じゃあティスは家畜小屋で精液便所だ。そうだ、あの淫乱ぶりなら人間だけじゃなく本物の家畜にぶち込まれても悦ぶかもしれないな」
最低の台詞にレイネは軽蔑の視線でリオールを見下ろした。
だがそんな風に見られても、彼はうっとりとした顔で見返すだけだ。
「馬や豚に犯されてよがる……最高の見世物だ。なあ、きれいなきれいなお前がそうやって貶められる姿は、きっととても楽しいだろうな…………」
最初はティスの話をしていたはずなのに、いつの間にかレイネの話にすり替わっている。
結局のところリオールは美しい同輩を嬲ることしか考えていないのだろう。
彼の頭の中では、すでに獣に貫かれてよがるレイネの姿が展開しているようだ。
汚いものを見る目付きになったレイネだが、その瞳の端には見たくなくても見えるティスの痴態が映っている。
「…………好きに、しなさい…………」
震える声でのつぶやきを、リオールはいやらしく聞き返した。
「何だ? 聞こえないぞ、レイネ!」
笑うように名を呼ぶと、彼はレイネの尻に埋めた鞭でぐいっと強く奥を突き上げる。
途端びくんと爪先を反り返らせたレイネは、悔しげな顔をしながら同じ言葉を繰り返した。
「好きに、しなさいと言ったのです…………、私を、あなたの、好きに……ああっ!」
言葉の途中で、リオールは埋め込んだ握りをねじった。
鋲のでこぼこが柔らかな内壁をかき乱す。
更にびくびくと全身を震わせたレイネを見る、リオールの瞳には酔い痴れたような光があった。
「なんだその偉そうな物言いは……! 足を開かれて、こんなもので犯されてよがる淫乱が今更そんな言い方をするな!」
言葉とは裏腹に、リオールはひどく嬉しそうな顔をしていた。
気丈なレイネを言葉でいたぶることが愉快でたまらない様子だ。
「お願いするんだ、犯して欲しいと言え! 太いもので突きまくって欲しいと言うんだ!」
並の娼婦でも口走らないような台詞を強要され、レイネは血がにじみそうなほど唇を噛み締める。
自尊心の強い魔法使いの心が今にも折れそうになっているのを悟り、ヴィントレッドに犯されながらティスは切れ切れに言った。
「んっ…………んっ、レイネ様っ、いいです、オレのことはいいから…………っ、ああああんっ!」
けなげな言葉は、しかしヴィントレッドの強烈な一突きに阻まれてしまう。
「兎ちゃん、違うだろう? お前もオレにおねだりしないとだめだろう?」
突かれるたびにはしたない液を零す、女のように濡れたそこをヴィントレッドは深く埋めたものでこね回した。
「それともお前もリオールのように、豚に犯されてひいひい言うレイネが見たいのか?」
「ち、違いますっ…………、あぁ……」
いっぱいに頬張ったものに感じやすい部分を攻め立てられ、息も絶え絶えになりながらティスは首を振る。
「レイネ、お前もだぜ。この兎ちゃんが豚のガキ産むところが見てみたいか。まあこの淫乱ぶりだ、そうだな、これさえ取っちまえば誰の子で産めるかもなぁ」
笑う彼の指が、断続的に軽い絶頂を迎えているティスの性器をきつく握り込んだ。
「……いっ……!」
色が変わるほどの力で掴まれ、激痛にティスの瞳に涙があふれる。
「やめなさい!」
血相を変えて叫んだレイネの声を聞き、ヴィントレッドはほんの少しだけティス自身を束縛した指を緩めた。
だがそれでも、大きな手は痛々しい赤に染まった哀れな性器を握っている。
ヴィントレッドは見るからにたくましい。
単純な筋力だけでも、握ったものを握りつぶしてしまうぐらい可能かもしれない。
「じゃあ言うんだよ、レイネ。犯して下さい、太いので突きまくって下さいとな」
にやにや笑うヴィントレッドの声を肩越しに聞きながら、成す術もなくティスはぽろぽろと涙を零している。
「ヴィントレッド、さま……」
聞こえるか聞こえないかの声で、彼は背後の男に懇願した。
「レイネ様は、許してあげて下さい…………オレ、言うこと、聞くからっ……」
「だめだ」
にべもなく言い放ったヴィントレッドだが、笑みを含んだ唇は場違いに優しくティスの頬に触れてきた。
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