炎色反応 第七章・29
すべらかな頬の感触を楽しむように、軽い口付けをしながら言う。
「全くお前は、本当に可愛い兎ちゃんだな。ほら、レイネを豚に犯させるのが嫌なら淫乱の先輩として手本を見せてやりな」
ヴィントレッドの指先がするりと性器を離れる。
痛みの名残にぎこちなく体を強張らせたまま、ティスは決心して口を開いた。
最悪の展開を避けるためだ。
「おっ…………、犯して、下さい……ヴィントレッド様の、種を、注いで下さいっ……」
震えながら、だがはっきりと、ちゃんとレイネの方を向いて言う。
レイネは切ないような表情を見せたが、ヴィントレッドは横からティスの顔を覗き込みにやっと笑った。
「そう、それでいい。ほら、お望み通り犯してやるぜ……」
「……んんっ……!」
甘い声でささやいて来た彼だが、その腰使いは甘くない。
快楽により屈服させることを目的とした動きに振り回され、ティスは吊り上げられた四肢をぶるぶると震わせた。
「あっ……、んっ、あんっ、ふぁ、あっ……、あっ、すご、太いのぉ……」
うわごとのように漏れる声は演技ではない。
イーリックがどんなに激しく乱暴にしても、根本的な何かが違うと言わざるを得ない。
圧倒的な力で征服される被虐の快楽は逆らうことさえ思わせず、ただただか弱い人の身を飲み込んでしまう。
だがヴィントレッドはこれでもまだ足りないらしい。
「どうした、兎ちゃんの乱れぶりはこんなもんじゃないだろう? お前がもっと煽らないと、レイネが乗って来ないじゃないか」
先程まで性器を束縛していた指で乳首を摘み上げ、しこりを押し潰すようにして転がしながらヴィントレッドはうそぶいた。
他に手もないままティスは、更なる辱めを彼にせがむ。
「んっ…………ん、もっと、もっと奥まで突いてッ…………」
レイネの顔を見つめて言いながら、ティスは羞恥で真っ赤になっていた。
いっそヴィントレッドの言う通り、何もかもを振り捨てて乱れよがり狂いたい。
身も心も美しい水の魔法使いの存在を意識から完全に追い払ってしまいたい。
「ヴィント、ヴィントレッド様ぁ、出して、早く出して、いかせて……!」
半ばやけになったように叫ぶティスを見つめ、レイネもようやく決意したようだった。
「リオール……」
視線は快楽に顔を歪ませた愛らしい少年に当てたまま、彼は言った。
「……犯して…………下さい……」
明瞭な一言を聞き、リオールは邪悪な悦びに瞳を輝かせた。
「何だって? もう一度言え、レイネ」
「犯して下さい……」
「もっと大きな声で!」
「っ、犯して、犯して下さい! 私を、ふ、太い、太いものでっ…………、突いて、下さい……」
ティスと同じぐらい顔を赤くしたレイネは視線を泳がせながら怒鳴った。
とはいえ台詞の後半に行けば行くほどその声はか細くなり、いつしか顔もうつむいてしまっている。
ティスにとっては見ていられないほどしおれた姿を、リオールとヴィントレッドはぎらぎらとした瞳で見て口々に言った。
「ああ、レイネ、なんて恥ずかしいんだ。お前の口からそんな言葉が聞けるとは……」
「いやあ、なかなか堂に入ってたぜ。本当はあのディアルなんかに何度も言っていたんじゃないのか?」
ヴィントレッドが出した地の魔法使いの名前に、リオールは顔を強張らせた。
まだレイネの中に突き込んだままの握りを、彼はまたしても乱暴にねじる。
「ひっ!」
「うるさい、こうして欲しいんだろう! よがれ、あえげ!」
ところどころ裏返ったような声で叫んだリオールは、内壁が赤く腫れ上がりそうなほどにレイネの中を突きまくった。
「ああっ! うっ……、う、くぅ、んっ…………」
悩ましく眉を寄せながらも、抵抗の声を殺すレイネに彼は更に興奮の度合いを高めていく。
「どうした、言え、犯して欲しいと言え! オレを見て、オレの名を呼んで言うんだ!」
己の物を扱き立てていた指で、彼はまたしてもレイネの銀髪を掴んだ。
きれいな髪を粘る液で汚されながら、レイネはリオールを見つめわずかにまつげを伏せながら言う。
「リオールっ……、犯して、……私を、犯してっ…………」
屈辱と羞恥に濃い赤に染まった目元がこの上なく色っぽい。
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