炎色反応 第七章・31



「どうした、見てるだけでいっちまったか。童貞には刺激が強すぎたか?」
「う、うるさい、オレは童貞じゃない!」
汚れた下肢を浄火で清めながら、ザザは必死にそう言った。
だが偉そうに言ったところで彼はまだ床にしゃがみ込んだまま。
どうやら腰が抜けてしまって、すぐに立てないらしい。
「反応は童貞そのものじゃないか。……ふうん、どうするかな」
何か良くないことを考えているらしいヴィントレッドをよそに、リオールはまだ呼吸も整わないレイネの四肢の拘束をいきなり解除した。
どさりと床に落とされたレイネは、痛みと当惑に顔をしかめながら彼を見上げる。
するとリオールは、息を荒げながらまた風の石を輝かせた。
「あっ……!?」
一度は解放されたレイネの体が再び持ち上がる。
宙に浮いたその体は、リオールに尻を向けた四つん這いの姿勢を無理やりとらされた。
「こんなおもちゃじゃもう満足出来ないだろう?」
白い尻に埋まったままの張り型を、リオールは乱暴に引きずり出す。
「あっ…………!」
粘着質な音を立てて抜かれたものにレイネが声を上げるのに構わず、リオールは空いた穴に自分のものを宛がおうとした。
一度は達したとはいえ、レイネの中で果てたわけではない。
中途半端に欲望を遂げたせいか、余計に我慢が出来ない状態らしい。
「入れてやる。オレので犯してやる……!」
「待てよ、リオール」
すっかり盛り上がっているリオールを、人の悪い笑みを浮かべたヴィントレッドが止めた。
「何だ!」
苛々した声で怒鳴り返したリオールの前で、いきなりレイネの体が反転する。
四つん這いのような姿勢はそのままに、顔が天井の方を向いたいわゆる仰向けの状態になった。
「ヴィントレッド?」
レイネにかけた風の魔法にヴィントレッドが干渉したらしい。
何のつもりか、といぶかるリオールをよそに、火の魔法使いはにやにやしながら今度はティスの方を向いた。
「兎ちゃん、今度は二人まとめて可愛がってやろうな」
「あ、えっ……、うわっ!」
開かれた足の間からまだ精液を零していたティスの、四肢の戒めが外れた。
だが床に落ちるわけではなく、見えない力に導かれ少年の体は中空を滑る。
同じく宙に浮いたレイネの上まで連れて来られたティスは、そこでがくっと下降した。
「あっ……!」
ぶつかる、と怯えて目を閉じたティスだが、体は浮遊感に包まれたままだ。
おそるおそる瞳を開くと、彼はレイネのすぐ上に四つん這いの姿勢で浮かんでいた。
レイネの顔は、ティスの足の間に。
ティスの顔は、レイネの足の間にある。
「レイネのをしゃぶってやれ、兎ちゃん。レイネは兎ちゃんのを」
事もなげに命じるヴィントレッドの声を聞いても、ティスもレイネも一瞬事態が飲み込めなかった。
「……はは、なるほど」
ヴィントレッドの意図を理解したらしきリオールは、目の前にあるティスの小さな金髪の頭をぐいと掴んで押し下げた。
当然、そこには先を濡らして震えるレイネの性器がある。
驚き、目の前の光景に顔を赤らめ、抵抗しようとしたティスだが風の魔法の束縛は強い。
その上リオールは、神経質なものを含んだいやらしい言い方でティスにこう命じた。
「やるんだ。お前もいい加減、オレたちの言うことを聞かなければどうなるか覚えたころだろう?」
人間びいきのはずの水の魔法使いの声には侮蔑の色がある。
「レイネ、お前もだ。その美しい唇で、こいつに奉仕をしてやれ」
ティスの下になった状態のレイネの顔は、見えないがきっと強張っているだろう。
彼に恥ずかしいところを間近で見られている羞恥にも震えるティスだが、リオールはなおもぐいぐいと頭を押してくる。
「ティス……」
迷うティスを、レイネが細い声で呼んだ。
「……して下さい。私も、あなたにします…………」
痛ましい決意を感じさせる声音を聞き、ティスも心を決めた。
今は言うことを聞くしかない。


←30へ   32へ→
←topへ