炎色反応 第七章・32
「そう、いい子だな」
満足そうに笑ったヴィントレッドが、二人の腕にかかった魔法だけを緩めてくれる。
動かせるようになった手で、重なり合った二人はそれぞれの性器に指先を絡めた。
それだけで漏れそうになる息を堪え、淫らなぬめりを垂らす先を口に含む。
「んっ……、んっ……」
リオールの腹に頭のてっぺんをかすかに擦りつけるようにしながら、ティスは無心にレイネのものをしゃぶった。
遠慮がちな、たどたどしい動きではあったがレイネもこんなことをされる経験は少ないのだろう。
体積を増していくそれは、たちまちティスの喉の奥を突くほどに育った。
「ふうっ……っ、んむ…………」
一方、レイネの舌によりティスのものも硬くなっていく。
ティス以上に遠慮した、しゃぶるというより先端を舐めているだけに近い彼の動きはいっそじれったいぐらいだ。
だがあのレイネに、こんな体位でされているという事実がティスの体を過敏にしている。
「んん、ん、んっ…………」
ぴちゃぴちゃと淫らな音を立てながら、互いを愛撫し合う二人を見てリオールは唇を歪めて笑った。
「ふん、淫乱同士楽しんでいるな……」
彼の指先が、ティスの口淫を受けひくつくレイネの尻肉を掴む。
自身とリオールの精液に濡れた穴に、彼はいきなり奥まで男根をねじ込んだ。
「……んーっ…………!」
危うくティスのものに歯を立てそうになりながら、レイネはくぐもった悲鳴を上げる。
ティスも突然のことに驚いて彼のものを口から離してしまった。
だがリオールは意に介した風なく、満足げな笑みを浮かべてレイネを犯し始めた。
「ああ、いいぞレイネ、しゃぶられて感じているのか? それともしゃぶって感じている? 熱くて、絡み付いて来るぞ……」
煽り立てるような言葉を吐きながら、彼はまたティスの頭をレイネの性器へと押しやる。
「何をしている、レイネに奉仕を続けろ! レイネもだ、さぼるんじゃない!」
高圧的な物言いを楽しむように言って、彼は長い黒髪を揺らしながら異常な性交を楽しんでいた。
やむなくティスは、更に硬度と体積を増したレイネのものをまたしゃぶり始める。
レイネも犯される屈辱と快楽に表情を歪めながら、震える手で再びティスのものを掴んだ。
「んっ……、んっんっ…………!」
性器を舐めしゃぶる音と、肉棒が引き締まった尻を出入りする卑猥な音が室内に響く。
非現実的な光景に当てられたように、またザザは床の上でぽかんとし始めた。
すぐに雰囲気に呑まれてしまう、流されやすい元相棒を見てヴィントレッドはにやりと笑う。
「ザザ、お前も仲間に入れてやろう」
「…………、ぇ、えっ?」
はっとしたように声を上げたザザの腕を、ヴィントレッドは掴んで引き上げた。
よろよろしている痩せぎすの体を、そのまま空中で絡み合う白い裸身の側へと押しやる。
「オルバンが兎ちゃんをやらせてくれないって、お前ぶつぶつ言っていたじゃないか。せっかくの機会だ、やれよ」
わざとらしい大声で言うヴィントレッドの声を聞いて、ティスはわずかに背中を緊張させた。
だがそれは本当に一瞬で、瞳を伏せたまま黙ってレイネのものに愛撫を続ける。
やらなければザザだってひどい目に遭わされるに違いない。
第一彼はああいう性格なのだ。
ここまで連れて来てくれた、それだけで思わぬ僥倖だったと言えるだろう。
こんな結果になってしまったけれど、別に恨もうとも思わない。
今更ザザがこの体で楽しんだ男の一人に加わったところで、何を騒ぐことがあるか。
しかしザザは、ティスも、多分ヴィントレッドも予想外の反応をした。
「いっ…………、嫌、だ」
レイネの愛撫を受け、淫らに揺れるティスの尻から目を逸らし彼ははっきりと言う。
「何だと?」
←31へ 33へ→
←topへ