炎色反応 第七章・33
「いやっ…………、だよ。お前の、お前のでこんなにぐちゃぐちゃのところに突っ込むなんて……」
気まずげにザザが言う通り、尻肉の狭間で濡らされた穴からはまだ精液が染み出し続けている。
かあっと顔を赤らめたティスだが、ヴィントレッドは黙り込みじろじろとザザを見た。
「…………ふうん」
意味ありげな視線を避けるよう、視線をうつむける痩せた青年の姿をなお見つめヴィントレッドはつぶやく。
「さすがだな、兎ちゃん。ザザまでたらし込んだか」
「なっ!」
一気に顔を赤くし、ザザは大きな声を上げた。
「馬鹿言うなッ、オレが、オレがオルバンのおもちゃなんかにッ」
「そんなもんだろ、恋ってのは」
そらっとぼけて恥ずかしい台詞を吐いたヴィントレッドは、なおも違う違うとわめくザザを薄笑いしながら見つめる。
ティスも思わず顔を上げ、戸惑いながら二人を見ていた。
ヴィントレッドの言うことをまともに受けるのならば、ザザはティスのことを好き…………ということらしい。
しかし、いくらなんでも突拍子がなさ過ぎる。
それは確かにザザはここまで自分を連れて来てくれたが、だからといって自分のことを好きだなんて……
ひたすら戸惑い続ける内、ふと、ヴィントレッドと目が合う。
瞬間ぞっと背筋が寒くなり、ティスは慌ててまた下を向いてしまった。
くすくすと面白そうに笑う赤い瞳。
けれど目の奥が全く笑っていない。
「せっかくお前が男気見せたんだ、叶えてやりてえところだけどな」
太い指にはまった赤い指輪が輝いた。
たちまち湧き起こった熱波がザザを包む込む。
「わっ、あつッ………! へっ、え、えっ?」
慌てふためくも束の間、すぐに熱波から解放されたザザだがその唇からは戸惑いの声が上がった。
なぜなら彼の服のほぼ全てが消し炭状になり、ぼろぼろになってその場に崩れ落ちたからだ。
「わ、わわわわわわ!」
貧相な裸体をさらし、とりあえず股間を隠そうとするザザの両手を後ろからヴィントレッドが掴み、簡単に火の指輪を抜き取ってしまった。
精霊石を奪われたザザはただの枯れ木のような青年に過ぎない。
その上相手がディアルに勝るとも劣らぬ屈強な肉体を備えたヴィントレッドとくれば、太刀打ちできるはずもなかった。
「ちょっ、お前、おい、何する、ぎゃっ!」
一度はザザの手首を掴んだヴィントレッドは、彼を拘束する役目を魔力で出来た赤い輪に任せた。
じたばたと暴れる足首にも、重しのように赤い輪が回り固定してしまう。
そしてヴィントレッドは空いた自分自身の手を、ゆっくりとザザの体の輪郭に沿って這わせていく。
「がりがりで、骨ばっかりの、冴えねえ体だなあ」
ほとんど同情するように言う彼に、ザザは顔全体を引きつらせて叫んだ。
「やめろよ、気持ちっ、気持ち悪い! よせ触るな! オレ、オレにこんなことして、馬鹿、オレだ、ザザだぞ!」
「知ってるよ。ふーん、ああでも肌はまあまあきれいだな」
混乱して訳の分からないことを口走るザザを無視して、ヴィントレッドは肩から腕、腰へと撫で下ろした手の平を不意に胸元へと回した。
「いててて!」
強い力に乳首をつまみ上げられ、ザザが悲鳴を上げる。
「何すん、お前、オレをティスと間違えてるのか!?」
「どこをどう見りゃ間違えるんだよ」
笑いを含んだ声で言った彼は、今度は柔らかに丸めた指先でつまみ上げた乳首を撫でる。
指の腹で小さな粒のようなそれをいじる動きは、完全に愛撫の動きだった。
ザザは全身総毛立たせ、拘束させた四肢を必死に震わせて抵抗した。
「やめろってば、おい、おいっ!」
ヴィントレッドの行為は次第に冗談で済まされる範疇を越え始めている。
さすがにリオールも妙な顔をしたが、ヴィントレッドはザザの胸から降ろした手で呆気なく彼の性器を包み込んだ。
「ひいいいいっ!?」
死にそうな声を上げるザザの耳元に、ヴィントレッドは笑いながらささやいた。
「色気のねえ声を出す奴だな、手伝ってやろうって言うのに」
「て、手伝う、何をだ、うわ、やめろっ、扱くな!」
うろたえまくるザザの、体格同様貧相な性器を大きな手が乱暴に上下に扱く。
痛みすら感じるほどに摩擦を加えられ、だが男の性は呆気なく反応し始めてしまう。
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