炎色反応 第七章・58



「あ…………」
顔を赤らめながら、震える指を伸ばす。
どくどくと脈打つ熱さを感じると、それだけでティスの乳首は硬くしこり立った。
何とか取り出した男根を、大切に捧げ持つようにする。
何日かぶりかに見る巨大な赤黒い物を見つめる、自分はきっとこの上なくいやらしい顔をしているだろうとティスは思った。
けれど、どうしてもこれが欲しい。
オルバンに犯されたい。
「んっ…………、ふ、ぅ……」
ためらいなく口に含んだ性器は、すぐに喉を突く角度で屹立していく。
愛撫に反応して、というより、口を彼のもので犯されているように思えた。
けれどそれすらも悦びに替え、ティスは夢中で主人のものに奉仕する。
「ンッ、ん、はぅ、ん、むっ…………」
ちゅうちゅうと吸いながら、片手で幹を、片手で睾丸を刺激し唾液と先走りを塗りたくった。
「うまそうにしゃぶる」
オルバンが低く喉を鳴らしたのが聞こえた。
「そんなにうまいか? 淫乱」
「んっ…………ん、おいし、で、す…………」
答えながらも愛撫の手を休めずにティスは言った。
体にはまだ、オルバン以外の男たちに犯された名残が残っている。
それを彼によって塗り替えたいと思っていた。
「んんっ…………、む、ん、ゥ……」
喉の奥まで受け入れたそれを、無心にしゃぶるティスの髪にオルバンの指が気まぐれに触れる。
「それにしても、随分汚されたものだな」
オルバンの言う通り、ティスの体にはいまだ陵辱の残滓が濃い。
その上瓦礫やほこりを含んだ風の魔法の余波を受け、ひどい有様だった。
それを指摘され、ティスは恥ずかしくなって顔を赤らめる。
ティス自身に自覚はあまりないが、オルバンが自分を奴隷として望んだのは恵まれた容姿故だった。
「も、申し訳……」
口を離し、薄汚いなりを謝罪しようとしたティスの目を鋭い輝きが射る。
オルバンの思うところの汚いものだけを焼き尽くす浄火が降り注ぎ、見る間に汚された体を焼き清めていった。
「全くお前には手を焼かされる」
火の指輪のはまった指輪を軽く振り、オルバンはびっくりしているティスを見下ろしてくすくす笑う。
言葉通りに彼の台詞を受け止め、青くなっているティスの美しい金の髪をオルバンは指先ですくって言った。
「続けろ」
「はっ……、はいっ、んっ…………」
読めないその心を問うことも許されぬ身では、疑問を感じても奉仕を続けるしかない。
慌てて口淫を再開させたティスだが、開発された体はすぐに行為に溺れていった。
「んっ…………、ふ、ン………………」
瞳を閉じ、舌を絡めて吸い上げるたびに熱い脈動を感じる。
ようやくこれを挿入してもらえるのだと思うと、期待感に否応なしに胸は高まった。
けれどまだ、オルバンには余裕があるようだ。
行為自体に及べるほどには彼の肉棒は硬度を増しているが、一向に手を出してくる気配がない。
もどかしさから、ティスの片手はほとんど無意識に自分の体をまさぐり始めた。
オルバンがよくするように、鎖骨辺りから皮膚を辿って降りた指先が乳首をつまむ。
少し痛いぐらいにつままれても、撫で回され、押し潰されるようにする内に刺激はすぐにむず痒さに変わる。
「ン、ン…………」
見上げたオルバンの、精悍な顔付きと逞しい肉体を見つめながらの自慰は倒錯した快楽をティスに与えた。
やがて乳首への愛撫に飽いた指は、へそを経由して先走りを滴らせた性器へと伸びる。
すでにティスの快楽にぼやけた頭の中では、触れる指先は自分ではなくオルバンのものだ。
「ん、んん」
先端の小さな穴をくじるように、指先を蠢かせれば電流のような痺れが背筋を駆ける。
頬張ったものを一度口腔の半ば辺りまで出し、先端を同じように舌先で突付くと、あふれ出したものが開いた唇から顎へと伝い落ちた。
「んん、ん…………っ…………」
それにも感じながら、ティスの体液にまみれた指は自分の背後に回る。


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