ハンター・ハンティング・3



「ん、んっ」
いぼの先をこすりつけられ、セイは小さな声を漏らす。
すると触手は先端の口を開け、両方の胸の先を飲み込んだ。
「ああっ!」
ちゅぽちゅぽと音を立て、即効性の麻痺毒と遅効性の媚薬が直接そこに塗りたくられる。
「あん、ああん、あッ」
びくびくっと上体を揺らし、セイは夢見心地のまま未知の快楽に酔う。
性的なものに興味がないわけではないが、何分彼には金がない。
そこらの女よりお前の方が可愛い、などと言われてしまうせいもあり、男にはからかわれやすいが女には全くもてない。
憧れだけはありながら、結局は全てが未経験のままの少年は訳も分からないまま魔物に犯されようとしていた。
「あふ、ぅんっ」
執拗な胸への愛撫にもだえるセイをよそに、他の触手たちの行為は進む。
ベルトをちぎり、触手は乱暴に厚手の布で出来たズボンを引き下ろしてしまう。
しっかり鍛えているはずなのに、あまり筋肉の目立たないしなやかな足が左右に割り開かれた。
「あぁ、んっ……」
外気が内股に流れ込み、それに反応してセイは甘い声を漏らす。
いつしかきつく勃ち上がっていた性器にも、触手が絡み付いて来た。
「ひい、あああっ!」
乳首へよりも数倍鋭い性感がセイを襲う。
一本の触手が性器の先端をあのいぼのような口で丸呑みにした。
生暖かく柔らかな感覚に、一番敏感なところを舐めしゃぶられる。
「はぁんっ、あ、ああっ……!」
小さな舌を突き出し、セイは苦しそうにすら見える顔でよがった。
ぬちゅぬちゅという卑猥な音には、性器の幹の部分に蛇のように絡みついた触手が立てる音も混じっている。
口淫に等しい愛撫は初めての身体には刺激が強すぎた。
「あ、あ、あっ…………」
他者の促がしによる射精の悦楽は、自慰を遥かに勝る。
いよいよ本当の効き目を現し始めている媚薬との相乗効果もあり、セイは呆けたように空を見上げ忙しなく胸を上下させた。
性器の先から溢れた精液が触手の口を濡らしてしたたる。
たっぷりと粘り気を含んだその先端は、やがて性器から離れ開かれた足の狭間に入り込み始めた。
「ふ、うあ……」
尻の奥、きゅっとすぼまっている穴に濡れた先がこすり付けられる。
自分の吐き出した精液はとにかく、触手の分泌液も同時に塗り付けられる。
かすかに開いた口から流し込まれた麻痺毒がそこを更に広げる。
続いて効果が出始めたのは媚薬の方だ。
「…………はぁッ」
中が濡らされていくのを感じ、セイは未通の穴をひくひくとさせながら熱い息を漏らした。
彼は実は男女の性行為もよく分かっていない。
男になるその時にはしかるべき相手に手ほどきを受ければいいと、そう思っていた。
一応ぼんやりした知識はあるが、なにせ今は薬で心も体も麻痺している。
この触手が今から何をする気なのかは理解しておらず、ただ快楽の波の中でなすすべもなく溺れているような状態だった。
「あ、あっ…」
いぼのような口が、ひくつく穴を周囲ごと吸う。
「ふああっ! あ、あっ、いいっ……!」
ジュクジュクと音を立て、触手は中にたっぷりと粘液を流し込みながらセイのそこを愛撫する。
その一方で、セイには見えない触手の尻尾の方が大きくふくれ始めていた。
獲物を飲み込んだ蛇とは逆の動作で、何かが触手の奥からせり上がり口元に向かっている。
その先にあるのは、ぐしょぐしょに濡れて刺激を欲しがっているまだ何も知らない少年の体がある。
弛緩して広がったセイの淫らな穴の奥底へと、魔物は何かを埋め込もうとしているのだった。
「あ、あ……」
しかし身も心も魔物の意のまま、犯される悦びに震えるばかりのセイはそれに気付かない。
触手に出来たふくれた部分がセイの足首辺りにまで迫って来た、その瞬間だった。
「あ…っ………?」
唐突に愛撫がやんだ。
暗緑色の液体が宙に吹き出し、一部はセイの身体の上にも降り注ぐ。
「……生殖期のテンタクル・ボールに何の用意もなしで立ち向かうとはな」
まだ耳の底に残っている、低い皮肉っぽい声がごく近い場所から聞こえる。
「なるほど、大した腕じゃないか、クソガキが」


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