ハンター・ハンティング・6
「あっ!? あ、ラヴェルさんッ、だめ、まっ、まだっ……あーっ!」
両足を胸に突くほどに折り曲げられ、ラヴェルの精液でもぐちゃぐちゃになった穴を繰り返し突かれる。
「あっ、あっ…………熱いの…、がぁ………」
間もなく二度目の絶頂を迎えたセイは、更に注がれた白濁にまみれひくひくと四肢を震わせながらとうとう意識を失ってしまった。
***
目を開けると空が赤い。
「…………夕焼け……」
「目が覚めたか? 未来の大ハンター様」
はっとして身を起こせば、セイはあの岩が見える位置にある木にもたれた状態で座らされていた。
体には乾いた毛布がかけられているが、それ以外は全裸だ。
そしてすぐ横に、セイのナイフを鞘から抜いたり入れたりして遊んでいるラヴェルの姿があった。
「……オレのナイフ!」
反射的に立ち上がろうとした瞬間である。
「おい、急に動くと腰に響くぞ」
ラヴェルの忠告は当たった。
下肢にずきりと走った痛みに、セイは声もなくその場にうずくまってしまう。
「だから言っただろうが」
いけしゃあしゃあとほざく男の前で、セイは痛みと恥ずかしさで死にそうな気分を味わっていた。
「……あ、あっ、あ、あんたっ……!」
顔が上げられない。
段々気を失う前のことを思い出してきた。
「よ、よくもっ…」
「よくも? ありがとうの前にそんな言葉を使うのは、この地方の方言か何かなのか?」
田舎者がと馬鹿にされ、とっさの台詞を失ったセイを見てラヴェルはにやにやしている。
「助けてもらったことぐらいは覚えてるんだろう?」
「……お、ぼえて、る」
「その後は」
「……!」
口ごもるセイをラヴェルは追及して来た。
「オレのを」
「いい! いいよ言わないで! 分かった、ありがとう、助けてもらって感謝してます!」
一気にセイがそうまくし立てれば、ラヴェルはくつくつと笑い始めた。
「……全く、面白いガキだよ、お前は」
言い返そうにも言葉が出ないセイのナイフを、ラヴェルは鞘に収めながらふと真面目な顔になる。
「しかし、腕はとにかくハンターに賭ける情熱だけは少なくとも一人前のようだな」
突然の言葉に戸惑うセイに、ラヴェルはナイフとついでにホルダーとを投げ寄越してこう言った。
「そのぼろっちいナイフ、そこまで手入れをしていたからこそこれまで使えて来たんだろう。普通なら骨董品の部類に入るぞ」
飛んで来た物を慌てて受け止め、セイは少し感傷的な顔付きになる。
これはセイの父が森で使っていたナイフだ。
今回のテンタクル・ボールのような、本来ならこの地域にいないはずの魔物に突然襲われ母といっしょに食い殺された父。
唯一の形見が、その場に残されていたこのナイフだった。
「ま、お前程度の腕じゃ武器を使うような場面に当たることもそうないだろうが。暇にあかせて手入れをする時間もあるだろうからな」
黙り込んだセイの顔を見ながら、ラヴェルがまた皮肉を言って来る。
むっと来て彼をにらみ付けてみるが、その後が続かない。
ラヴェル程の腕の持ち主なら、確かに自分などお前程度、で済んでしまうだろう。
テンタクル・ボールを呆気なく切り伏せた彼の腕、想像していた以上だった。
「…………ありがとう、ございました」
言い方はやや硬かったが、セイは案外素直な声でそう言った。
ちょっと意外そうな顔をするラヴェルをあまり見ないまま続ける。
「た、助けてもらったのは本当だから…………あんたはどうせあいつを探してここへ来たんだろうし、そんなの当然だろうと思うけど、一応ちゃんとお礼は言っておくよ」
後半ふてくされたような態度を取ってしまったセイにすっとラヴェルが近寄って来る。
ぎくりとするセイを見下ろすその顔は、しかし特に怒っているようではなかった。
←5へ 7へ→
←topへ