俎上の子羊・3



「頭、頼みますよ、後でオレたちにも」
「ああ」
うなずくブレイクの顔を、ルシアンは青ざめた顔で見つめる。
この男たちに汚されるぐらいなら…
「おっと」
ブレイクは素早く手を伸ばし、ルシアンの唇に自分の指を差し込んだ。
舌を噛むことは阻止できたが、少年は瞳に涙をにじませながら彼の指を噛み締めている。
白い健康そうな歯が、節くれた指を噛み切らんばかりに食い込む。
すでにそこにはうっすらと血がにじんでいた。
「このガキ、頭に」
「いい。それより、口を開かせて布を押し込め」
ぎりぎりと肉に食い込む指を見つめ、痛そうにするどころかブレイクはくすくす笑っている。
「全く気丈なガキだ。手加減は要らない、そういうことだな?」
彼の目に浮かんだ残忍な光に、ルシアンは思わずその指を噛み締める力を少しだけ抜いてしまった。




「んーっ、んんーっ!」
口に汚い布を押し込まれたルシアンは、くぐもった声を上げながら精一杯あごを仰け反らせ抵抗する。
だが四肢を束縛された少年がどれだけもがこうが、大の男に取り囲まれた状態から脱出できるわけがない。
素裸に向かれた神の僕の姿を、横に転がされた石の神像が無表情に見つめていた。
「大体舌を噛んだぐらいじゃ、すぐ死ねないぞ」
傷付けられた指を見せつけるように振って、ブレイクは笑う。
「噛み切るぐらいの勢いじゃないとな。世間知らずの修道士様には無理だろう」
「そうそう。それぐらいなら、おとなしく頭に気持ち良くしてもらえよ」
「可愛い顔でおねだりすれば、俺たちの便所代わりぐらいで許してもらえるかもしれないぜ?」
下劣な野次に盗賊たちはどっと沸き、ルシアンは耐え切れずぽろぽろと涙を零した。
「泣くのはまだ早いぞ」
言いながら、ブレイクは胸元から小さな陶器の入れ物を取り出す。
中に入っていたとろりとした黄緑色の液体を指に付けると、いきなりルシアンの尻の穴に触れてきた。
「んんんんんっ!」
「暴れるな、まずは慣らしてやる」
そう言うと、彼は太い指の腹でぐりぐりとそこを刺激した。
「んん、んんんっ!」
涙の雫を飛び散らせながらルシアンは左右に顔を振る。
その様を見ながら、彼の肩辺りを一応押さえている盗賊たちがからかった。
「頭ぁ、気持ちいいってよ」
「早くぶち込んで欲しいらしいぜ」
「そう焦るなよ…」
ぬるつく指先を執拗にルシアンのそこに擦り付けてから、ブレイクは頃合を見計らい指を押し込んでいく。
「んーっ!」
異物の侵入を、ルシアンは泣きじゃくりながら拒もうとした。
だが妙な形に束縛された体には思うように力が入らない。
その上ブレイクが指に付けた液体は、ただの液体ではなかったようだ。
「んっ、んんんっ」
徐々に中が熱くなっていく。
「おっ、さすが修道士様は溜まってるなぁ。もう感じてきたみたいだぜ」
可愛らしい性器が頭をもたげて来たのを見つけ、盗賊たちがげらげら笑い始める。
中の一人がにやにやしながら震える性器に触れてきた。
「もうぬるぬるだ」
「んんーっ……!」
羞恥と強い性感の狭間で、ルシアンは泣きながら身悶える。
聖職者である彼は当然性行為は禁じられている。
男女の営みはもちろん、ただ快楽に耽るためだけでしかない自慰などもっての他。
しかしルシアンの若い性は、主人の意思に逆らい異常な状況と卑劣な薬に支配されつつあった。
「すげえ、どんどん硬くなっていく」
ルシアンの性器を握り込んだ男は、過敏な反応を面白がるように乱暴に上下に扱き立てる。
「んっ、んんっ……!」
「顔が赤くなって、へえ、いい感じじゃないか。これでもうちょっと胸があればなあ…」


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