俎上の子羊・4



誰かの手がルシアンの薄い胸板に回った。
まだ小さな粒のような乳首を太い指先が摘み上げる。
「んぅ、んんんっ!」
「お前ら、あんまり勝手に楽しむなよ」
ルシアンの中に潜らせた指で、未開発の内部をたっぷりと先の液体で潤しながらブレイクは笑った。
「最初はオレがいかせてやる予定なんだぞ」
「すいません頭。でも、いった直後にぶち込むのもたまらなくイイですよ?」
「そうですぜ、中が痙攣してるみたいにひくひくっとして」
頭上で飛び交う卑猥な会話もルシアンの心には届かない。
性感帯を探られるたび、細い体はびくびくと震えた。
「いや、最初はオレのでいかせてやらないとな」
つぶやいたブレイクの指が、ルシアンのある一点をくいっと引っかく。
「んんっ!」
びくっと背を逸らした内部に、すかさず二本目の指が押し込まれた。
くちゅくちゅといやらしい音を立てながら、ブレイクはうっすらと充血した穴を繰り返し陵辱していく。
「んん、んぅ、はぅ……」
悩ましく眉を寄せ、ルシアンは潤んだ瞳をあてどもなくさまよわせる。
両手首と足首を縛り合わされた、家畜のような体勢で尻穴をいじられ身悶える様は淫らとしか言いようがない。
「取り澄ました顔をしていても、しょせんこんなものだ」
盗賊の手により追い上げられ、半透明の体液を零す性器の先をブレイクは指先で軽く弾いてやった。
「んーっ…!」
口の端から唾液を垂らしながら、ルシアンは朦朧とした頭を振る。
まだ羞恥を羞恥と取るだけの理性は残っていた。
それが逆に彼の清らかな心を追い詰めていく。
恥ずべき快楽に流され、堕落していく自分の姿を自分ではっきり認識しているのだ。
なのにどうしようもなく感じてしまう。
「う……」
悔しくて、情けなくて、大きな瞳からまたぽろぽろと涙が零れた。
しかし血も涙もない盗賊たちには、獲物の哀れな姿など食欲をそそる効果しかない。
「頭、もういいんじゃないですか」
ぎらつく目をした部下の一人がブレイクに言った。
「入れて欲しくてたまらないみたいですよ」
「ああ、もうそろそろいいな」
深くまで埋めていた指を引き抜き、ブレイクは自分の服の前をくつろげる。
体格に見合った長くて太いものが、ひくつく白い尻に押し付けられた。
小さな尻肉を掴んで開き、彼は性器の先をぴたりとルシアンの濡れた肉穴にあてがう。
「見てろ。敬虔な修道士様が、盗賊ごときに尻を犯されてよがるぞ」
片方だけの瞳の奥に冷たい光を浮かべ、ブレイクはゆっくりと少年の中に身を沈めていった。
「んんんっ……!?」
引き裂かれる激痛に、涙に濡れた瞳がいっぱいに見開かれる。
ブレイクはじりじりと着実に男根を進めていった。
犯されている現実を、思いきり見せつけるように。
「分かるな……? 修道士様。お前が今何をされているのか」
笑みを含んだ低い声がルシアンの耳に注がれていく。
「お前の中に、オレのが入っていってるんだ。お前は今、薄汚い盗賊に強姦されてるんだよ」
彼の残された黒い瞳には、絶望の表情になったルシアンの顔が映り込んでいる。
「しかも、その内自分から犯してくれとせがむようになる」
にいっと笑って言うと、ブレイクはいきなり根元まで深くルシアンの中に侵入した。
「んんんんんんーっっっ!」
広げきられた穴から血が流れる。
ブレイクはルシアンの足を抱え、部下たちに肉棒をくわえ込んだそこをよく見せてやった。
「おお、すげえ、頭のが入っちまった」
「処女でこれかよ。大した淫乱だな」
「お嬢ちゃん、後でオレのもずっぽりくわえてくれよぉ」
下品な野次にルシアンの頭の中は真っ白になる。
しかしブレイクが腰を揺すり始めると、痛みは更にひどくなり彼は死に物狂いで暴れ始めた。
「んん、んぁ、うああああっ…!」
暴れた拍子にその口に押し込まれていた布が飛び出す。
だがもう誰もそれを気にしない。
ルシアンもがくがくと揺さぶられるこの状況では、その気がなくても舌を噛んでしまいそうだ。
全身を支配する激痛があまりにも強過ぎて、自決を試みることすら思い付けない。


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