Don't Leave me 第二章・8



人外の存在と恐れられ、一人ぼっちでここに住んでいたジラルド。
美しくも冷たい顔の下に隠された優しさを、町のみんなにも理解してもらえたらと願っていた。
いつかはジラルドを家に呼んだり出来ないか、もしかしたらいっしょに住んだり出来ないか、そんな風にさえ思っていた。
だから自慰で我慢しようと思っていたのだが、今思い返すと逆にあれがまずかったのだろう。
身の内に溜まった精液こそ吐き出すことは出来ていたが、中途半端な快楽では真の満足は得られない。
貫かれることをこの体はすでに覚えてしまった。
思い出すのは六日前。
浅ましい欲望を見透かされ、導かれるまま彼に抱いてもらった。
気にすることはないと言ってくれたけれど、アシェンはあれ以来ずっと後悔し続けている。
また同じことを繰り返してはだめだ。
ただでさえジラルドとの関係は、彼が自分を助けてくれたことに端を発しているのである。
利用するようなことはしたくない。
年齢も性格もおそらくは種族さえ違う人だからこそ、会いたいという素直な気持ちだけで繋がっていたかった。
「ジラルドさんに、迷惑、かけたくなかったから……」
そう言いながら、アシェンは震える手でジラルドの指を払おうとする。
「だから僕……、ちゃんと、あっ!?」
無言のまま、ジラルドの腕がアシェンの腰から下を抱え上げる。
下肢に絡まっていた服が物凄い力で引き抜かれた。
「い、嫌! 嫌だやめて、違う、僕ッ、ああっ…………!」
問答無用で尻肉を割り開かれる。
そのままねじ込まれたものの熱さに、アシェンは息を詰まらせた。
「ひいっ………、だめっ、やめて、や……!」
指と舌で執拗になぶられた後だ、急な挿入にも痛みはほとんどない。
けれど衝撃は大きくて、アシェンは敷布を掴み揺さぶられるしかなかった。
「あっ……! ああ、ん、んっ……やぁ…………」
服の前だけを開き、膝立ちのジラルドは黙ったまま乱暴に腰を揺する。
いつにない強引さと性急さに追い立てられ、嫌なはずなのにすでにアシェンの性器は先走りを零していた。
初めて自分を犯した、あの魔物にされたことを思い出す。
服を裂かれ、四肢を拘束され、精液を流し込まれて辱められた。
女の子ではないにしても、心と体に傷を負ったのは事実。
なのに今こうして、例え相手がジラルドだとしても尻をえぐられて快感を感じている。
多分僕はどこかおかしくなってしまったんだと、かすかに残った理性でアシェンは悲しく思う。
こんな情けない、いやらしい自分をこれ以上ジラルドに見せたくなかったのに。
彼のことが好きだから。
そう思うと、今でも目一杯迎え入れた男を締め付けている部分が更にきゅっと締まったのが分かった。
「気持ちいいんだな」
ジラルドも気付いたのだろう。
ようやく開いた唇から漏れるのは、かすかに乱れた意地の悪い声。
「ここだろう…?」
腰を捻るようにして、彼はアシェンを攻める角度を少し変えた。
肉棒の先端で性感帯をくじられると、頭の中が甘く溶け崩れていく。
いけないと思う気持ちとは裏腹に、更なる攻めをねだるような声を止められない。
「……はぁっ……あん、あぁん、いい……っ」
細く見えるがジラルドは案外逞しい肉体を持っている。
その肉体に見合った男根に繰り返し突かれるだけで、気持ちが良すぎるぐらいなのだ。
その上彼は、自分で言った通りアシェンの弱いところをすでに知り尽くしている。
男根で休みなく攻めながら、長い指先を濡れた性器の先端に回して来た。
「あぁ、だめっ、今触っちゃだめ……!」
本心からの台詞だったが、応えてジラルドは低く笑う。
「そんなに触って欲しいのか」
温度の低い指先が熱くなった性器を握り込む。
先のくぼみを指の腹で撫でられると、半開きの唇の端から唾液が零れ落ちた。
「ああ……、ん」
甘やかなため息が、次の瞬間止まる。
ジラルドの指が、いきなり性器の根元をきつく握り締めたからだ。


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