Don't Leave me 第二章・10



軋むベッドの上、ジラルドを目一杯くわえ込まされたアシェンは我を忘れて乱れた。
裂けそうなほど広げられた穴の中、逞しくそり返った男根が出入りする。
「はぁ、ああ、あはぁっ、あん、あッ、僕、もお、僕……!」
内股をアシェン自身から流れ出す先走りと、繋がった部位から漏れ出る体液が伝い落ちる。
蕩けそうな性感に夢見心地で喘いでいると、不意にジラルドは指をアシェンの足へと滑らせた。
「……んっ……!」
両足を抱え上げられる。
アシェンを後ろから深々と貫いた状態で、ジラルドは腰を浮かせ始めた。
「ジラルドさん……? ……ッン……」
何を思ったか、彼はその姿勢で立ち上がる。
見た目にそぐわぬ怪力で軽々とアシェンを抱えたまま、ベッドを降りたジラルドは部屋の隅へと向かった。
「ほら、アシェン。見てみろ………」
静かな興奮を帯びた声に促がされ、アシェンは戸惑いながら前を向く。
そこには大人の胸から上ぐらいが映る鏡があった。
淫らな熱が霧散する。
全身さあっと総毛立つような思いがして、なのに目の前の光景から眼を離せない。
銀の髪と赤い瞳の美青年に両足を開かれた体勢で、少年は背後から深々と貫かれている。
割り開かれた尻肉の中央で、赤い口がぱっくりと口を開け男を飲み込んでいた。
だいぶしわにはなっているが、上の服だけはきちんと着た状態であるのが逆にいやらしい。
「あ……」
ぞくりと身震いし、ようやく瞳を逸らそうとした時だった。
「ああっ!」
軽く、下から小突かれる。
瞬間肉棒を受け入れ、ふくらんだ縁が更に広げられたのが見えてしまった。
「あ……ぁ」
ゆるく一度突かれただけだ。
なのに全身に痺れが満ちていく。
今までだって鏡は同じ位置にあった。
だがベッドからはまず見ることのない位置のため、今までアシェンは抱かれる自分の姿を客観的に見たことはなかった。
それなのに……繋がっている部分をこんな風に、見せ付けるとしか言いようのない体位を取らされるなんて。
「ほら、アシェン……分かるか?」
更にはジラルドが、アシェンの耳のすぐ後ろで低い声でささやく。
彼は左手を動かして、自分を飲み込んでいる箇所をやわやわとまさぐりながら続けた。
「オレのがお前のここに入って…………何度も出入りして、ぐしょぐしょに濡れている……」
半透明の液体が絡みついた赤い肉を、きれいな長い指先が引っ張る。
淫靡な光景と台詞に煽られ、アシェンは全身を真っ赤に染めた。
「やめて……!」
恥ずかしさに足をばたつかせ、泣きそうになりながら嫌々と首を振る。
「なんで、なんで今日はこんなに意地悪するの…………!?」
自分で欲望を処理したことを見抜かれているのだから、軽蔑されても仕方がない。
だけどここまでされるのはいくらなんでもひどい。
鏡に映ったジラルドの、整った顔を涙目で見つめると彼はどこか切なそうに見返して来た。
「……意地悪は、これで最後だ」
うなじの髪の生え際に優しい口付けが一つ落とされる。
「お前のことは、これからもオレが気持ち良くしてやる」
オレが、という言葉にジラルドは力を入れてつぶやいた。
「だからアシェン、約束してくれ。……オレだけが、こうしてお前に触れていいんだと………」
すがるような響きさえ帯びたささやき声が消えていくにつれ、その指にまた力が込められていく。
「……んぁ……っ…………」
わずかに蠢いた男根から、湿った音が漏れた。
「あ、ぁ……やぁ……っ…………!」
抱え上げられた足ががくがくと揺さぶられる。
鏡の中に結合部が映ったまま、アシェンはまた突き上げられ始めた。
「ああっ、やっ、あぅ、嫌、意地悪、意地悪しないって……!」
話が違う、と慌てる少年の声はぬちゃぬちゃといういやらしい音にかき消されていく。


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