Don't Leave me 第三章・14



薄闇にらんらんと光る赤い瞳。
バベルの目が獲物を狙う捕食者の目なら、ジラルドのそれは美味なる獲物を独り占めしようとする獣の目。
激しい独占欲に満ちた目で彼はアシェンを、恐ろしいほどまっすぐに見つめていた。
「……ジ、ジラルドさ……」
普段の彼は、寡黙であまり表情を動かさない静かな男だ。
なのに今ジラルドが見せた表情は、アシェンを抱く時にだけ見せる意地悪な表情ともまた違う。
飢えた赤い瞳で見つめられると、本能的な恐怖に囚われ身動き出来ない。
冷たい水を浴びせられたように、高まっていた体が冷やされていく。
我知らず身を引いたアシェンをにらむように見つめ、彼は言った。
「バベルは、どんな風にお前を抱いた……?」
「……あっ!?」
いきなりうつ伏せにされ、腰だけを抱え上げられる。
続いていきり立った肉棒を根元まで押し込まれ、圧迫感にアシェンは仰け反った。
「ああーっ……!?」
スライムの放った粘液にぬめる穴はたやすく彼を飲み込んだ。
数日間に渡り魔物をくわえ込んでいた場所である。
痛くはないにしても、衝撃は大きい。
「あぅ、んっ…………! あ、あ……!」
一瞬寒気を覚えた体を貫く、熱い肉棒。
その温度差に火傷したような気持ちになり、アシェンは敷布に顔を押し付けてびくびくと震えた。
男根を飲み込んでひくつく尻を大きな手で撫でながら、ジラルドは暗い熱を帯びた声でつぶやく。
「教えてくれ、アシェン…………あいつは何度、ここに入れたんだ……?」
背後から伸びて来た指がアシェンの乳首をつまみ上げた。
こりこりと揉まれ、押し潰すようにして転がされるたび、むず痒いような刺激が絶え間なく生まれる。
そうしながらジラルドは、串刺しという言い方が相応しい動きでアシェンの尻を犯し始めた。
「あっ……、はぁ、んっ…………や、やめてぇ…………」
執拗にそれを繰り返され、アシェンはいやいやと首を振る。
下がらない微熱の中、さっきまでは半分夢を見ているような状態だった。
いきなりジラルドが家に来たこと、それによる驚きも大きかった。
だからここが自分の家で、今は昼間だということが頭から飛んでいた。
スライムから解放された今、早く彼に抱かれたいと、それしか考えられないような状態だったのだ。
だが先程、初めて見たジラルドのけだものめいた表情がアシェンを我に返らせてしまった。
室内にはいなくても、カルアンだって今どこにいるか分からない。
仕事に出ている両親だっていつ戻って来るか知れないのだ。
こんなところを見られたらと思うと、それだけでアシェンは今更のような恥ずかしさに震えてしまう。
「あ、あ、兄さん、父さ…………、帰って、来ちゃ……」
ぐちゅ、ぬちゅりと卑猥な音を立てて貫かれながら、アシェンは必死になって彼を止めようとした。
「み、見られちゃう、よぉ……っ…………、やめて、ジラルドさんっ……」
その声に苛立ったように強く、ジラルドが腰を打ち付けてくる。
「……っ……!」
一度限界ぎりぎりまで抜いた物で、根元まで深々と一突きされて悲鳴も出ない。
その上ジラルドは、無言でアシェンの左足を肩に担ぎ上げた。
「んっ………………!」
体位を変えられたことにより、中に入った物が感じやすいところを擦る。
かすかに声を上げたアシェンの体は横向きになり、右肩が敷布に触れた状態になった。
不安定なその体勢で、ジラルドはまた激しく腰を使い出す。
「あ、あん、あぁっ……!」
開かれた足の狭間、先程までより奥にまで彼が潜り込んでくる。
全てを奪い尽くそうとでもするような強引な挿入に、アシェンの意識はまた朦朧とし始めた。
「ん、んっ…、…深ぁ…………」
薄い尻を突き破ってしまいそうなほどに突きまくられて、奥がじんじんする。
ひくひくと震える細い体を容赦なく犯しながら、ジラルドはなおも問いかけて来た。
「言うんだ、アシェン……たくさん出してもらったのか? ここに……」
今は自分のものでいっぱいになっている狭い穴を見つめ、彼は赤い目を吊り上げる。
「あいつに中に出されて、お前は何度達した…………? 答えろ、アシェン……!」


←13へ   15へ→
←topへ