Don't Leave me 第四章・4



先端を含んだまましゃべられると、舌先と吐息が微妙に敏感な部分をくすぐる。
切れ切れに訴えるアシェンだが、ジラルドはなおもおかしそうに笑うだけだった。
「オレと会わない間、自分でしたりはしなかっただろうな…………?」
以前はこの台詞と共に、乱暴に犯されたのだ。
だけど今の彼の口調には、あの時のような疑いの気配はなかった。
ただただ、甘い。
何かを覆い隠すかのように、甘い。
「ふあ、は……、し、してないよお…………」
二本の指で中をかき回される快楽に流されそうになりながらも、アシェンは懸命に否定した。
「他の誰かに、させたりもしていないな……?」
「してないっ……! あ、ああっ!」
また唐突に視界が回る。
ころんとその場でひっくり返されたアシェンの腰が持ち上げられ、ジラルドは指を埋めた箇所をしげしげと眺めて言った。
「確かにな…………とても狭いし、おまけに餓えきっているようだ……欲しそうに、ひくひくしている…………」
「ふや、あ……っ、やだ、見ないで…………」
白い尻の狭間、指で責められ薄赤く染まった穴に注がれる視線にさえ感じてしまう。
敷布に顔を擦り付け、哀願するアシェンだがその性器はまだ固く下腹に沿うように勃ち上がったまま。
背後からそれを確かめたジラルドは、アシェンを惑わせる甘い声でこうささやきかけて来た。
「きつ過ぎるから、もう少し慣らそう…………指だけでもう一回いかせてやる…………」
「あっ、ああっ…………!」
甘すぎる声に震えた耳朶を柔らかく噛まれたかと思うと、埋められた指が動き始める。
アシェンの弱いところを知り尽くした器用な指先。
それに感じやすい前立腺の真裏を押し潰すようにして攻められ、アシェンはぶるぶると体を震わせた。
「やぁ、あっ…………! そこ、そこぉだめえ……!」
濡れた指先が蠢くたびに、男根を挿入されている時さながらのぐちゅぐちゅという粘着質な音が響く。
敏感な性感帯をこね回されて、アシェンはますますきつくくわえた指を締め付けた。
「あはっ、あっ、ああ、あっあっ、ジラルドっ、やぁ、やらぁ……!」
感じすぎて呂律が回らぬあえぎを発するアシェンの耳元で、ジラルドは可愛いと繰り返す。
「可愛いアシェン………可愛い……寂しかったのか……? オレの指に、きゅうきゅうと吸い付いて来る……」
「はふ……っ、あっ、んん、んっ……!」
寂しかったのか、と問われて、アシェンは訳も分からぬままこくこくと首を縦に振った。
寂しかった。
会いたかった。
「オレも寂しかった。お前に会いたくて、たまらなかった…………」
真摯な声音がアシェンの胸を内側から熱くする。
もう指だけじゃ足りない。
いつしか三本にまで増えた指に休みなく犯されながら、アシェンは髪を振り乱して訴えた。
「あっん…………、はっ、ジラルドさん……ジラルドさん、来て…………っ」
「オレはここにいるぞ……?」
分かっているくせに、とぼける彼の意地の悪さにさえ焦らされる悦びを感じてしまう。
けれどどこまでも淫らになってしまった自分を、もうこれ以上隠していられそうになかった。
「ちが……のっ、指じゃなくて……、ジラルドさんので、僕、して…………!」
肉棒をねだるいやらしい台詞に、ジラルドは満足そうに笑う。
「ああ…………そうだな。してやる、たくさんな……」
ゆっくりと指を引き抜いた彼は、腰帯を解きとっくに形を変えていた男根をアシェンの尻穴に擦り付ける。
熱く濡れた感触にぞくりと総毛立った次の瞬間、ジラルドが強く腰を押し出してきた。
「ああっ、あああーっ…………!」
じりじりと小さな穴を押し広げられていく得も言われぬ感触に、それだけで達してしまいそうになる。
だけどそれではもったいない。
もっともっと、たくさん彼を味わいたい。


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