Don't Leave me 第四章・9
動揺するその手を、ジラルドがぐいと掴む。
はっと上げた瞳の端を、餓えきった切れ長の瞳の赤が過ぎった。
「…………っ、んッ」
顔を上げた瞬間、歯が当たりそうな勢いで唇を塞がれる。
かと思ったらいきなり体を持ち上げられ、あっという間に寝台の上に押し倒された。
その間も、口付けはずっと続いている。
「んん、ん……」
かろうじて鼻で息は出来るが、力強い腕に押さえ込まれ身動きままならない。
混乱するアシェンの口腔を欲しいだけ貪った後、ジラルドはまたいきなりアシェンの体を返してうつぶせにした。
「ひゃっ…!?」
いきなり下肢の服を引き下ろされる。
生地が肌をこすって痛いほどの強引さに驚く暇もなく、尻たぶを割り開かれた。
「ひゃうッ」
狭間の肉に外気が流れ込んだと思うが早いか、熱い吐息とぬるりとしたものまでが潜り込んでくる。
何とか顔だけ振り向くのと、ジラルドの舌先がアシェンの奥の穴に触れるのが同時だった。
「はふ………っ、ん、んんんッ」
とがった舌先に入り口をまくり上げられ、内部に侵入される。
何度もされたことではある。
けれど他のどこにも触れられず、口さえろくにきかないままにこんなことをされるのは初めてだ。
この間の、あの恥ずかしいほどに甘ったるい愛撫を繰り返された時との落差があり過ぎる。
混乱するアシェンの体を、ジラルドはひたすらに攻め続けた。
「ジ、ジラルドッ…………はぁ、ああっ……」
濡れた舌先が強引に潜るたび、ぐちゅっという卑猥な音が響いた。
「はあ、あ、だめ…………っ、あ、ああンっ………」
戸惑いを次第に凌駕する快楽に、体の芯が勝手に熱を持っていく。
先日ここを訪れた際は、エルゼに襲いかかられた直後だった。
さすがにアシェンも欲望を感じることはなく、ジラルドもていねいに体の具合を見てくれただけだった。
けれど無事に家に帰ってしまえば、浅ましい感情が再び頭をもたげてくる。
会いたいと。
抱いて欲しいと。
そういう思いを抱え、再びジラルドを訪ねたのは事実。
突然すぎる行為に心構えはまだ出来ていない状態なのに、触れられてしまえばこんなにもたやすい。
「あふ、あ…………はぁ……ん」
舌全体を中に押し込まれ、蠕動する舌先にしとどに濡らされる。
ぎゅっと敷布を掴んだまま、アシェンは小刻みに震えその羞恥と快楽に酔った。
「はあ、はっ………」
まるで舌で犯されているような錯覚を覚えるほどに、無心に中で蠢いていた舌が引き抜かれる。
形良い唇をその舌でぺろりと舐め上げたジラルドは、顔を上げアシェンの尻を自分の方へと引き寄せた。
ささやかな衣擦れの音とともに、衝撃が少年の体を貫く。
「ああああっ………!」
唾液に濡らされた粘膜をこすり上げ、突き入ってくる熱いもの。
舌と同じぐらい急に、そして舌とは比べものにならない質量と熱量を備えた侵入者にアシェンは喉を仰け反らせた。
「ひぃあ、だめえ、まだッ、あっ、あっあっ…………!」
狭い通路が深くまで無理矢理広げられる感触も束の間、今度は引いていく肉棒に内壁を擦られる。
そうかと思えばまた突かれ、息苦しいほどに満たされたかと思えばぎりぎりまで引き抜かれて。
「ふぁ、あ……っ、ああ……っ! やらぁ、おっ、おっき過ぎるよぉ………!」
いつものように体中に隈なく施される、甘い前戯が不足しているせいだけではない。
すっかり慣れたはずの内部を限界まで広げ、犯しているジラルドの大きさはすでに覚えてしまったものより確実に大きい気がする。
おまけにその動きも、背後から覆い被さられた体位もまるで獣の交合。
蹂躙という言葉が相応しい抜き差しに、アシェンは引き裂かれ食われる小動物のようだ。
なのに、一体この体はどこまで淫らになってしまったのか。
気付けば触れられてもいない両胸の乳首は服の下でしこり、敷布の上には先走りがいやらしい染みを付けている。
「あっ、あっ、あああっ……!」
感じている自分を自覚することが、更にアシェンの性感を高めた。
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