付ける薬もないぐらい・4



「……あっ……! や、やだぁ、師匠、師匠いや……っ…………」
ふるふると首を振るルーンだが、彼の女の部分はクルーガーの指を悦んでいるようだった。
人差し指で数度なぞり上げた後、押し開けば半濁した愛液がとろとろとあふれ出す。
「……きれいな色だ」
鮮やかな紅色をした陰部、更にその上にぽつりと覗く肉芽を見つめて言うクルーガーの声にはかすかな興奮が混じっていた。
「やっ……、だめ、ししょ…………」
涙のにじんだ声でつぶやくルーンの体は、そろそろ最初の恐慌状態から抜け出しそうとしていた。
代わって堪えることの出来ない、熱い火照りが全身を包んでいく。
戸惑いにより制御されていたその感覚は、まだルーンがよく知らないものだった。
訳が分からず、震えるばかりの少年の下肢に触れながらクルーガーは低い声でこう言った。
「お前には、今まで散々迷惑をかけられて来た」
ルーンと二人この小屋で暮らし始めて早五、六年。
その間に起こった様々な、主にルーンのやらかしてくれた数々の失敗をその師は思い出しているようだ。
「薬草をすらせればすり鉢ごと床にぶちまける。掃除をさせれば何もかもごみ箱に放り込む。使いに出せば道に迷う」
つぶやく内に、怒りが蘇って来たらしい。
元々よくない人相を更に凶悪なものに変え、クルーガーは何度怒鳴りつけようがはたき倒そうが一向に学習しない弟子を見つめた。
鋭い眼光が、薄暗い部屋の中で危険な光を放っている。
今までに感じたことがないほどクルーガーが怖く見え、ルーンは小さく喉を鳴らした。
無意識に体が逃げようとしてしまったが、でも逃げてどこへ行くというのだ。
親なしの上に能なしの役立たずをずっと養ってくれるような、親切な男が彼以外この貧しい地域のどこにいるだろう。
「ごめんなさい、師匠、ごめんなさい…」
がたがたと震えながら謝るルーンの胸元で、ふくよかなふくらみが同じように揺れている。
「ごめ、オレ、役に、役に立ちたくて、ご、ごめんなさいっ…!」
濡れた青い瞳に精一杯の想いを込め、彼は必死に「ごめんなさい」を繰り返した。
無論ルーンは、決して師を怒らせたくて失敗している訳ではない。
訳ではないが、結果的に常にクルーガーを怒らせていることはまぎれもない事実。
今回の極め付けの失態に、師匠の怒りが我慢の限界を越えてしまったことはルーンにもちゃんと分かっている。
けれどどうすることも出来ず、ただ一心にクルーガーを見つめるばかり。
今の彼から漂う恐ろしさは、今まで叱られたり殴られたりした時のものとはどこか違う。
けれどどんなに怖くても、捨てられてしまうよりはましだ。
だがルーンの切なる願いは、今のところ師匠に通じている様子はなかった。
「せめておとなしくしておけばいいものを、ちょっと目を離すとこれだ」
冷たい、なのに妙に奥底に熱いものを秘めた目をしてクルーガーは言った。
その指先が、淫らに濡れた割れ目へと不意に潜る。
「あっ!?」
びくんと背筋をしならせ、驚きの声を上げたルーンの唇からは続いて悩ましい声が漏れた。
「はっ、ぁ…………やっ…………、んっ……」
くちゅくちゅと粘ついた音を立てながら、クルーガーの指先はルーンの女性器を出入りする。
一突きするごとに愛液を漏らし、ますます淫猥に濡れ光るそこを見つめてクルーガーはつぶやいた。
「一度痛い目を見ないと分からないようだな」
「んっ、んっ……!」
与えられる感覚に翻弄され、くぐもった声を上げるばかりのルーンの表情を言いながら彼は観察する。
クルーガーの指は、すでに根元まで深々とルーンの中に入っている。
狭い内部が締め付けてくる感覚はあるが、処女特有の引っ掛かりは感じられない。
ルーンも恥ずかしそうにはしているが、痛みを訴える様子はなかった。
それらを素早く見て取ると、彼はゆっくりとルーンの耳元に唇を近づけてささやいた。
「犯してやる」
直接的な一言に、ルーンははっとしてすぐ側にあるクルーガーの顔を見る。
するとクルーガーは、薄く唇を卑猥に歪ませ更に直接的な一言を吐いた。
「妊娠させてやる」


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