付ける薬もないぐらい・11
「えっ?」
一瞬言われた意味が分からなかったらしく、きょとんとした顔になったルーンのとろとろと体液を零す内部にクルーガーはぐっと指を突き入れた。
「んぁっやっ、ししょッ……!」
「つまり、このまま卵を出せば解決するはずなんだ。ほら、力を抜いて全部出してしまえ……!」
内部の卵を掻き出すように、クルーガーは濡れた肉の中を指先で掻く。
驚いて逃れようとしたルーンを素早く抱き締め、彼はなおも同じ動作を続けた。
「ああっ、ンッ、師匠っ、師匠やだっ怖いっ…………!」
「怖くても出すんだ、いきめ! でないと腹の中で卵が腐っちまうぞ……!」
ぐちゅぐちゅと中を捏ね回されながら脅されると、ルーンは余計に竦んでしまう。
大体いきめ、と言われたところでどうすればいいのか分からない。
本来自分にはなかった器官の中に、化け物の卵が挿入されている状態なのだ。
それをさあ出せ、と言われても、一体何をどうすればいいのだ。
「うっ、うぇっ、ししょ、だめ、だめっやっ出来ないっ……!」
怯えきり、逃げようともがくルーンにクルーガーは舌打ちした。
そして一瞬の逡巡の後、いやいやとわめくルーンの唇を自分のそれで塞いだ。
「んっ!? んむ、んっ、ふ…………」
そういえば、処女まで奪われたというのに口付けをされるのは初めてだ。
どうでもいいことを考えていられたのもわずかな間で、潜り込んで来た舌にたちまちルーンの意識はさらわれていく。
「ふぅ、ん、んぁ…………っ……」
恐れのためにきつく寄っていた眉根がほどけ、瞳が自然と閉じられた。
至近距離でそれを見取ったクルーガーは、おとなしくなったルーンのまぶたに軽く唇を触れさせる。
「……ししょ……?」
愛しさの込められた行為に、それまでとは別の恥ずかしさが込み上げた。
瞳を開き、戸惑ったように見上げてくるルーンにクルーガーは微苦笑する。
そして彼は、ルーンの内部に潜り込んでいた指先は真っ赤に腫れた陰核へと移動させていった。
優しくそこをすり上げられると、塞がれた唇の隙間から熱っぽい息が漏れる。
「……そうだ。力を抜いて」
導くようなクルーガーの声が、すぐ間近に聞こえる。
「オレが悪かった。いいんだ、お前は何も考えるな…………素直に、体がしたがっていることをさせてやるんだ」
そう言うと彼は、もう一度ルーンに口付けをした。
クルーガーの精子を受け、ルーンの体内の卵はすでに排出の準備を整えている。
後は宿主であるルーンが下手なことをしなければ、このまま出てくるはずなのだ。
「ん、んっ…………」
口付けにあやされ、ルーンはよく分からないままにこっくりとうなずく。
「いい子だ。……ほら、ここが気持ちいいな」
普段薬草を選別しすり潰す指先が、柔らかにルーンの女の部分を愛撫した。
そのたびにルーンの体に切ないうずきが生じ、同時に腹の奥で何かがゆっくりと下降していくのが分かる。
「もっと足を開いて……そうだ。何も考えるな。お前は気持ちいいことだけ、感じていればいい」
クルーガーの指先が動くたび、ルーンのふくらんだ裂け目から愛液と卵の分泌物と思われる粘液が入り混じって伝い落ちる。
ぽたぽたと敷布を濡らすそれの音を聞きながら、クルーガーの息も次第に早くなり始めていた。
「あ、んっ……」
巧みな愛撫にされるがまま、ルーンは彼の肩口に顔を埋めため息のようにつぶやく。
「ししょ……上手……、気持ち、ぃ…………」
あまりにも素直な言葉を聞いて、クルーガーは一瞬しまった、とでも言うような顔になった。
「……ししょ?」
「…………いや、……くそ、なんでオレまで」
悪態をついたクルーガーの顔を、ルーンは下から見上げてみた。
初対面ではまず薬師とは見てもらえない、強面の顔がかすかに苦しげに歪んでいる。
びっくりして、ルーンは思わず尋ねた。
「師匠っ……まさか師匠も卵産まないとだめ!?」
「なんでだ!」
思わず怒鳴り返したクルーガーは、違う、と忌々しげに吐いた。
「万一オレがお前と同じ化け物に遭遇したとしてもだ。オレみたいに成人した状態だと肉体の変化に耐え切れない。卵を受け入れる前に死んじまうよ」
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