付ける薬もないぐらい 第二章・4



服の上から触れるのとはまた違う。
豊満な乳房のなめらかな触り心地に、性に目覚め始めていた少年の好奇心は歯止めを失いつつあった。
「なあ、おい、俺たちにも触らせろよ」
ヒースの仲間たちの息も荒くなり始めている。
「ずるいぞヒース、お前ばっか」
「うるせえな、分かってるって」
たっぷりとルーンの胸を楽しんだヒースが手を離す。
待ってましたとばかりに、数人の少年の手が薄赤く染まった胸へと伸びて来た。
「や、やぁっ、痛いっ……!」
一度に乳房を掴まれ、ルーンは痛みに悲鳴を上げる。
「やだあ、師匠、師匠、助けて…………!」
泣き声を上げる彼に構わず、少年たちは柔らかな感触を好き勝手に楽しみ始めた。
「すげえ、うちのかあちゃんよりでけえぞ」
「お前のかあちゃんは腹もでけえだろ」
妙に日常的なことを口走りながら、彼らの指先は乳房を、そして乳首を攻め立てる。
「ん、んんんっ」
朱鷺色のとがりをこりこりと揉まれると、ルーンの声は自然にうわずってしまった。
嫌なのに、こんなことされたくないのに、乳首が勝手に芯を持ってしまう。
「うわ、硬くなってきた」
「色も濃くなって来たよな」
一々そんな風に言われると、恥ずかしくて情けなくて涙が目の端ににじんだ。
「うえ、えっ…………、ししょ、ししょお……」
大きな瞳を潤ませ、彼はぽろぽろと涙を流す。
けれど意地悪な少年たちは、泣いているルーンの顔を見て更に嗜虐心を煽られたらしい。
「へへ、泣いたってだめだぞ。お前これ、感じてるんだろ?」
一人の少年が片方の乳首をつまみ上げ、くりくりとこね回す。
乱暴な扱いにも、ルーンの吐息は熱を帯びてしまう。
ふたなり化した時からずっと、下腹の底に留まっているうずきが大きくなって来ていた。
「や、やあ…………嫌ぁ、そんなにしないでっ……」
ぴんと硬く天を向いた乳首が、ルーンが暴れるたびにぷるぷると揺れる。
硬度を増しているのは乳首だけではない。
少年の証である性器もまた、だぶついたズボンの下で硬くなってきている。
しかも鼻息を荒くしたヒースが、そのズボンへと手をかけて来た。
「こっちも確かめないとな!」
「あっ! だめ、やっ……!」
身もがこうとしたルーンだが、両手両足は押さえつけられたままだ。
ほとんど抵抗出来ないまま、下着ごとズボンを引き下げられてしまった。
「あ、あれっ?」
途端に先を濡らした男性器が飛び出し、ヒースが変な声を上げる。
「お前っ……畜生、だましたな、男じゃねえか!」
別にだましたつもりもないのだが、勝手な期待を裏切られた彼は大声でそう罵った。
他の少年たちもルーンの下肢を見てぎょっとした顔になる。
男装した少女かと思いきや、その下半身から生えているのはどう見ても男のそれ。
胸同様明らかに本物の性器を見て、彼らはざわめき立った。
「何だよ、お前のその胸、クルーガーのおっさんが失敗して……、あれ?」
クルーガーが薬の調合でも間違えたのかと言いかけて、ヒースはあることに気付いた。
ルーンの足の狭間、自分と同じ物の下。
そこに明らかに、自分とは違う部分がある。
「おい…………足、もっと開いてみろ」
言われてルーンは縮み上がった。
「な、何でもな……離して、いや、やだあっ!」
必死に首を振り、何でもないと言うこと自体何かあると教えているようなものである。
言うことを聞かないルーンの足を、ヒースは乱暴に掴んで割り開いた。
「や、やあっ! 見ないで、見ちゃだめえ!」
掴まれた足先を振り、泣き叫ぶルーンのそそり立った男性器の根元。
寒さと怯えに小さくなった睾丸の下に、濡れてひくつく赤い裂け目がある。
大きく広げられたせいで左右に淫らに口を開き、中を覗かせた女陰に少年たちの目は釘付けになった。
「ひっ、う…………やだ、やだあ…………」
ぷるぷると胸を震わせ、ルーンは恥ずかしさに顔を背ける。
一方の悪童たちも、予想外の光景に全員言葉を失っていた。
「…………おい、ヒース、どうするんだよ……」


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