付ける薬もないぐらい 第二章・5



一人がおずおずとかけた言葉に、ルーンの二つの性器を凝視していたヒースははっとする。
「ど、どうって、こ、これも、本物か、確かめないとな……」
吸い寄せられるように、ヒースの指先はルーンのぽってりとした女性器へと触れた。
「……んっ…………!」
じかに触れられた感触に、ルーンはぴくりと身を反らせる。
「うわ、すごい、ぬるぬるして…………」
ヒースにはまだ女性経験はないらしい。
初めて生で見るそれに、彼はごくりと喉を鳴らした。
欲望の赴くまま、胸をいじられ愛液を零す割れ目をなぞる。
「はぅ、う、嫌っ…………」
ぴくぴくと全身を震わせるルーンの中に、やがて抑え切れなくなったように一本の指が潜り込んで来た。
「ひゃんっ」
冷たい指の感触に驚き、思わずぎゅっと入ってきた指を締め付ける。
ぎゅっと引き絞られ、こちらも驚いたヒースだが、その驚きで彼は我に返ったらしい。
「…………おい、すごいぞ。ここも本物だ。奥から熱いのがどんどん出て来る……」
乾いた唇を舐めた彼は、潜らせた指をくにくにと蠢かせた。
その刺激により、ヒースの指に絡み付くようにしてルーンの中から淫らな液がにじみ出る。
吹き零れ、内股を伝って地面を濡らすそれを、少年たちは食い入るように見つめていた。
「やだあ、だめ、そんな風に…………ッ、あぁッ!」
ルーンの足を仲間に押さえさせたヒースは、両方の指を淫らに濡れた割れ目にかけた。
そのままぐいっと広げられ、奥の方まで欲情した視線にさらけ出される。
「すげえ、こんな風になってるんだ」
秘部を視線で犯される恥辱に、ルーンは顔を真っ赤にした。
「ふえっ……、う…………」
ぎゅっと唇を噛み、ぽたぽたと涙を零すその表情にヒースは一瞬動きを止める。
男としては小柄で細くて、妙に可愛い顔をしていて、だけどどじで馬鹿でからかいやすい。
典型的ながき大将であるヒースにとって、ルーンは実に面白いおもちゃだった。
師匠のクルーガーを怒らせるとまずいとは分かっている。
だけどルーン本人はかつて、あまりの役に立たなさに危うく売り飛ばされそうになっていたような何も出来ない少年だ。
師匠にくっついて村に出て来るのを見付けては、つい突っついてからかうのをやめられなかった。
そんなルーンの胸がふくらみ、下腹には両性の性器が備わっている。
一体なんでこうなったかさっぱり分からないが、思春期の少年の性的好奇心は否応なしにくすぐられていた。
反面、押さえつけられて泣く顔を見ると何となく胸の奥が痛い。
「なあ、ヒース、どうしたんだよ」
すっかり興奮した様子の仲間に声をかけられ、ヒースはちょっと慌てた顔になった。
ルーンの女性器からも手を離し、心なしか目線を伏せて問い返す。
「ど、どうしたって……」
「なあ、これからどうすんの? その…………い、入れてみるとか、するのか?」
直接的な一言に、他の少年たちもいっせいに色めき立った。
もちろん当の本人であるルーンは真っ青になる。
「いやー! やー! だめだめっ、入れちゃだめぇー!」
じたばたともがき始めたのを慌てて押さえ付けながら、一人の少年がヒースに決断を迫ってきた。
「なあ、どうするんだよ、ヒース」
「……うん、そうだな」
「何だよヒース、らしくねえぞ。やらねえんなら代われよ」
心なしか股間をふくらませた別の少年の声に、ヒースはちょっとむっとした顔になった。
この少年が村の少女相手に、こっそり童貞を捨てた自慢をこの間聞いたばかり。
勢いで俺もとっくに、などと調子を合わせてしまった手前がある。
みんなが見ている前で、本当はどうするのかよく分からないのに行為に及ぶにはためらいがあった。
それもルーンに相手に。
怯えきった顔をして、今までどんな風にからかった時よりも切羽詰った表情をしている彼相手に。
不安そうにちらちらとこちらを見ているルーンを見返し、ヒースはわざとらしい意地悪な笑みを作る。
「……そうだな。入れてやろう」


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