付ける薬もないぐらい 第二章・7
「あっ、ふぁっ…………吸わないでぇ、吸っちゃだめえ…」
さながら乳を欲しがる赤子のように、彼らは競い合ってちゅうちゅうと乳首を吸う。
少年の証である男性器にさえ誰かの手が触れて来た。
乱暴に上下に扱かれると、先走りが止まらない。
「はぁ、あ、あ、あぁん…………!」
全身の性感帯を犯されながら、とうもろこしに貫かれてルーンはびくびくと震えた。
「はぁう……っ……、…あんッ、いやあ、だめ、あっ、あぁーっ…………!」
びくん、と爪先を反らせ、彼の動きが止まった。
「はっ…、あ、あ…………」
薄赤く紅潮した全身から力が抜ける。
くたんと脱力したルーンの、とうもろこしをくわえ込んだ裂け目から大量の愛液があふれ出て来た。
「あ………、あ、ああん……」
絶頂の余韻に蕩けた顔はひどく艶めいて映る。
大半が童貞の少年たちの股間は、いつしか誰のものも硬く張り詰めていた。
「…………へ、へっ、こいつ、とうもろこしぶち込まれていっちまったぜ」
笑うような声でヒースは精一杯嘲ったが、その性器は力強く脈打っている。
「乳首もまだこんなだしな…………足りないんだろ?」
「あ、やっ……!」
しこり立った乳首をつまみ上げられ、ルーンはいやいやと首を振った。
けれどヒースの言う通り、乳首もそして男性器もまだ硬いまま。
恥辱に心は震えるのに、体は引ききらない快感にわなないていた。
「嫌、いやっ、やだヒースやめてよぉ、もう離して………!」
足を開いた格好のまま、ばたばたと暴れてもその中心には野菜を挿入されたままの割れ目があるのだ。
たまらなく嗜虐心を誘う光景に引き寄せられ、ヒースは上ずった声で言った。
「うるせえな、ここまで来てやめられるか……! おい、ちゃんと押さえてろよ!」
覚束ない手付きで彼はズボンの前を開く。
飛び出してきた肉棒を目の当たりにしルーンは息を呑んだ。
天を向いてそそり立ったそれは完全に臨戦体勢。
一応男のつもりであるルーンにはヒースの状態は分かる。
「や、やめてぇ! やだっ……んあッ……!」
真っ青になって暴れるルーンから、淫らな液を垂らしたとうもろこしが引き抜かれた。
中に収まっていたものを失った裂け目は、てらてらと物欲しそうに濡れた内部を覗かせている。
「入れて欲しいんだろ!? へっ、どうせクルーガーのおっさんとやりまくって………、うわわわわ!?」
性器を出しっぱなしの間抜けな状態でヒースの足が浮く。
その首根っこを引っ掴んだクルーガーが、怒りの形相でこう言うのが聞こえた。
「……このクソガキどもが、人んちの弟子に何してやがる…………!」
彼が薬師と知っていてなお、その顔付きは山賊に近く見える。
頂点に達した怒りの最中にあればなおさらのことだった。
クルーガーはヒースを軽々と横に投げ飛ばし、他の少年たちを問答無用で蹴り倒していく。
彼が出て来た時点で戦意喪失状態だった少年たちは、いてえとか何とかわめきながら呆気なくルーンから離れた。
そしてクルーガーは、のろのろと身を起こしたルーンの足元に立つ。
「ししょ……」
助けてくれて嬉しいというよりも、ルーンがとっさに思ったのは怒られる、ということだった。
「ご、ごめんなさ、ししょ……あっ」
ぐいっと腕を引っ張られ、腕の中に抱え込むようにして立たされた。
四肢のあちこちに絡まっていた服を、クルーガーは手際良く直していく。
いつも持ち歩いている、仕事用の乾いた布で下肢の体液まできれいに拭いてくれた。
あらかた普通の状態に戻ったルーンの手に、何とか無事に残っていた野菜入りのかごを持たせる。
それからそのルーンを、クルーガーは腕に担ぎ上げた。
「帰るぞ」
静かな怒りを辺りに撒き散らしながら、彼はそう言ってその場から歩み去ろうとした。
「なんだよ、あんただってそいつとやってんだろ!?」
前をしまいながら叫ぶヒースを、クルーガーはちらりと振り返ってつぶやく。
「オレがこいつと何かやっていて、それとお前に何の関係がある」
「今更も、もったいぶるなってことだよ! どうせ人買いに売られるとこだったんだ、そんな無駄飯ぐらいそれしか能が……ッ」
がき大将として、仲間の手前格好を付けたかったのだろう。
いきがって叫んだヒースの頭を、クルーガーは問答無用で思い切りぶんなぐった。
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