付ける薬もないぐらい 第二章・12
「………ルーン」
吸い寄せられるように身を屈めようとした寸前、クルーガーはわざとらしくため息を吐いた。
「仕方のない奴だな………」
渋々、といった前置きをして師匠の威厳を取り繕うと、彼はルーンの体を反転させる。
正面を向いて抱き合う格好になり、濡れた唇に優しく口付けをした。
「ん……ふっ…………」
あやすように舌先を彼のそれで舐められて、もどかしさにルーンは腰をくねらせる。
口付けで焦らす一方で、クルーガーは片手をルーンの尻へと回した。
「はう、うっ……」
ついさっき中に出されたばかりの穴に指を差込み、ぬるぬるとぬめる内壁の感触を楽しむ。
「なるほど…………とろとろだな。いやらしい音がする……」
からかうように彼が太い指を回すたび、くちゅくちゅという水っぽい音が上がった。
「ふあ、ん、ししょっ…………ししょ、意地悪……ッ、んっ……!」
もう片方の手が、精液を欲しがっている赤い裂け目へと潜ってきた。
後ろと同じぐらいに濡れたそこからは、指が入って来た瞬間更に熱い泉が湧き出してくる。
「だが、こっちももうぐちょぐちょだ。ふん、こんなに濡れているならこれ以上濡らす必要があるか?」
「い、意地悪ぅ………っ、や、師匠の、師匠の入れて、ずんずんって、びゅくびゅくってしてえ………!」
限りなく頭の悪そうな発言にも、クルーガーは低く喉を鳴らすだけだ。
「分かったよ。お前が欲しいだけ注いでやる……」
先ほど尻を犯した時のように、彼は両手でルーンの足を開いて抱える。
物欲しそうに見つめてくる瞳に薄く笑いかけると、抱えた腰をゆっくりと下に降ろしていった。
だが、一息に貫くことはしない。
もたらされるはずの圧迫と快感を予想し、豊かな胸を高鳴らせていたルーンは途中で師が動きを止めたことに驚いた。
「あ、あ、ししょ……」
不安定に抱えられたルーンの充血した割れ目は、今にも男を飲み込もうという位置で止まっている。
「し、ししょっ…………、あぁんっ…!」
不安げな声を出したルーンを、クルーガーはほんの少しだけ下に降ろした。
ぽたぽたと愛液を零す裂け目が彼の男根の先に触れる。
それだけでルーンの奥からは、とろとろと熱い液体が流れ出た。
だがクルーガーはまだこのお預け状態を続ける気のようだ。
ぎりぎりの位置で抱えたルーンの体を、彼は軽く揺するようにして前後に動かす。
「ひゃっ……!? あ、ああっ、ししょお……」
淫らな筋を、クルーガーの亀頭がぬるりとこすった。
「やっ………、い、意地悪っ……やだあ、こんなのっ……!」
時折軽く先を潜らせてくれるのに、すぐにまた体を浮かされ先端で割れ目をなぞられる。
ひどい生殺しに震える一方で、被虐の快楽がルーンの体を熱くした。
「あ、やぁんッ……ン、は、早くっ……」
「早く、なんだ?」
けなげに吸い付くようなしぐさをする割れ目の感触を味わいながら、クルーガーはなおも意地悪く尋ねた。
目尻に涙を浮かべながら、両の性器から蜜をしたたらせてルーンは懇願する。
「早くっ…………、オレのぉ、女の子のとこ、ししょの、入れてっ……じらさないでっ……」
「女の子のところって?」
なおも知らぬふりをしてクルーガーが問いを重ねて来た。
「あ、あっ……」
ぴくぴくと体を震わせながら、ルーンは自由な両手を下肢へと伸ばす。
クルーガーを欲しがってひくつく裂け目に両手を添え、彼によく見えるように大きく開いて見せた。
「こ、ここぉ………ここに欲しいの、師匠のっ…………」
赤い裂け目の奥からあふれ出した愛液が、クルーガーの男根を濡らしてしたたる。
乳首と性器、女陰の先で赤く充血した肉芽までも勃たせての懇願に、クルーガーの意地悪をする余裕もなくなったようだった。
「……分かった。ここだな……!」
「ひゃううっ!?」
いきなり視界が下に下がった。
広げていた割れ目を押し広げ、奥まで深く侵入してきたものの感触にルーンは裏返った声を上げる。
「あっ、あーっ……! ん、んんん、すごっ、ししょお……!」
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