要姫・11



無言でクラウディオが突き出した腕から放たれた波動が、ナイアを再び床に這わせた。
肩で息をする巫女姫の細い肢体を、クラウディオは冷ややかに見やる。
さすがに今の力の放出で限界だったようだ。
けれどナイアの中から、長年バルトフェルトの侵攻を防いできた要姫の力が完全には失われていないことはこれで分かった。
「…………なるほど。さすが、歴史上最高の力を持つとも噂される要姫様。処女を奪われてなおこれ程の力を有するとは」
余裕に満ちた薄笑いはその口元から消えている。
代わって酷薄な笑みを浮かべた彼は、アレクシにこう言った。
「アレクシ殿。おてんば姫様には、もう少しきつい仕置きが必要なようです」
「……分かっております」
慎重に自分の顔に傷一つ付いていないことを確かめてから、アレクシはナイアへと手を伸ばす。
「あ、やぁっ……あっ!」
いきなり腰を掴まれ、引き上げられた。
力の入らない上体を床に倒したまま、尻だけを上げた屈辱的な体位。
たっぷりとアレクシに注がれた精が、とろとろと内股を伝うのもよく見える。
恥ずかしさに逃げようとする尻を自分へと引き寄せながら、アレクシは平坦な声で言った。
「困った方だ。クラウディオ殿は、私とあなたのために力を貸して下さっているのに…」
「い……、いやッ」
再び力を蓄えた彼のものが、内股に触れてくるおぞましい感触。
太腿で挟むようにさせられ、扱かれて、あからさまな擬似挿入にナイアはふるふると身を震わせた。
「一度抱いたぐらいでは足りませんか…………これ以上のことは、ランクーガ陥落後にじっくりと思っておりましたが」
太腿に挟まれていた男根が、濡れてひくつく裂け目に押し当てられる。
「いや、いやっ…! あ、んっ……!」
そこにすり付けるようにして前後に腰を動かされ、ナイアは顔を真っ赤にした。
「そうですね………あなたにも早く慣れて欲しいですし、それに私たちの子の顔が早く見たい」
くちゅっと濡れた音を立て、アレクシのものの先が割れ目を開くように軽く突いて来た。
途端にびくんと顔を上げるナイアを、彼は欲情を秘めた目で見てつぶやく。
「まだ少し痛いかもしれませんが…………よろしいですね。もう一度、私の子種を注がせて頂きますよ……」
自らの言葉に興奮したように、彼のものが硬くみなぎっていく。
先がじわじわと中に入って来ようとするのを感じて、ナイアは夢中で頭を振った。
「い、嫌です、だめっ、これ以上だめっ、本当に赤ちゃんが出来ちゃう……!」
このままでは本当に、妊娠するまで中出しされてしまう。
泣きながら逃げようとするナイアの尻に、不意にクラウディオの冷たい指が触れてきた。
「孕むのがお嫌なら、こちらではどうです?」
柔らかな尻肉を押し開き、優雅な長い指の腹がナイアの後ろの穴に当てられる。
途端にナイアはひどく大きく反応した。
「いっ…………、いやっ! いやァ!」
女性器ばかりでなく、尻まで犯されようとしている恐怖。
それにしても極端な反応に、クラウディオは少しだけ驚いた顔をした。
「どうされました、ナイア様」
「いやッだめ、お尻、お尻はだめです、だめですやめて…………!」
両手の指先を床に立て、ナイアは四つん這いのみじめな格好のまま逃げようとしている。
滑稽ですらある怯えように、クラウディオは何か考える顔付きになった。
ややあって、薄い唇がにいと歪む。
「失礼」
笑みを含んだ声で断ると、クラウディオはナイアの後ろの穴に触れていた指先を潜らせた。
「あああッ!」
ナイアの反応は、極めて顕著だった。
処女を失った時よりも聞く者の耳を打つ絶望の悲鳴。
その中に混じる、紛れもない官能の響き。
「…………ナイア様?」
乾いた声で巫女を呼ぶアレクシの前で、クラウディオは埋めた指先で肉壁をぐりっと引っ掻いた。
「ひいあッ!」
またしてもナイアの唇から、悲鳴と浅ましい喘ぎが入り混じってあふれ出る。


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