要姫 第二章・2



ずっと自分を守ってくれた騎士と心を通わせることが出来たのだ。
だけどその幸福は、ランクーガ壊滅という災厄の上に成り立つもの。
どれだけ王に、国に搾取されてきた身だとしても。
いやだからこそ、それだけのことをして守ってきた祖国に対する愛着はナイアの中で強い。
おまけに焼かれた顔を取り戻してからのアレクシは……ナイアが心惹かれたあの仮面の騎士とは、明らかにどこかが違うと思えてならない。
「……あ、ぁ…………」
広げられていた足が、理術によって上に持ち上げられる。
目の前のアレクシが立ち上がり、腰のベルトをゆるめ始めた。
ナイアと違って、彼はくつろいだ服装ではあるが着衣のままだ。
上着の上からも分かるたくましい胸板に見合いのものを取り出したアレクシは、それをひくひくしているナイアの割れ目に押し付けてきた。
「……んっ…………」
くちゅ、といやらしい音をさせながら、亀頭が縦筋をなぞる。
ともすれば自分から腰を押し付けてしまいそうになるのを、ナイアは必死で堪えていた。
後ろの穴を長年散々調教されたナイアの体は、そこへの挿入を匂わされると拒むことが出来ない。
けれど処女だけはかろうじて守られてきたために、女としてはナイアはまだアレクシしか知らない。
そのことに彼はひどく執着していた。
「入れて欲しいですか…………?」
じわじわと腰を押し付けて来ながらも、アレクシはナイアに求めさせようとする。
王や他の男達による調教を受けていない、巫女姫のそこを己の色に染めることを願って。
夫である自分だけを求める体に作り替えてしまおうと、彼は昼夜を問わずナイアを抱く。
「ねえ、ナイア様……私が欲しいですか…………?」
伸びてきた手の平が、ナイアのうっすらと汗ばんだ乳房を包んだ。
実年齢よりもっと幼い少女のような、控えめなふくらみ全体が彼の体温を感じて緊張する。
「ああ、ア、レクシ、さま…………」
澄んだ瞳に涙を浮かべ、ナイアは懇願するようにアレクシを見た。
初めての際はひどく痛んだナイアの裂け目は、もうとっくに男を覚えてしまっている。
後ろに入れられた際とまではいかない。
けれどこのように焦らされて、いくらも保たないことは自分でも分かっていた。
しかし快楽に溺れてしまうこと以上に、前に入れられることには危険が伴う。
「だ、め………、あ、赤ちゃん、出来、ちゃう…………っ」
生まれつきのふたなりであるナイアの女性器は見せかけの物ではない。
子宮をも備えたその肉体は、精子を受ければ妊娠することも可能なのだ。
だがそれこそが、アレクシがナイアの女の部分を犯そうとする理由の一つでもあった。
「ですから何度も、産んで下さいと申し上げているではないですか……」
小振りながらも形良いナイアの乳房の感触を楽しみながら、アレクシは何でもないように言った。
「クラウディオ殿にも、顔を見る度にまだかと言われておりますよ。要の巫女はどうやら普通の女性よりも妊娠しにくいそうですが……だからこそこうして、何度も私の種を注いでおりますのに」
そう言うと彼は、軽く腰を押し出してきた。
濡れた割れ目の上を滑った男根が、勃起した肉芽をぐりっとこする。
「ひいッ」
未熟な睾丸をも突いたその動きに声を上げると、アレクシは楽しそうにくすくすと笑った。
「女性がより感じた方が、妊娠の確率は高まるそうですしね……さあ、ナイア様」
濡れた男根の先を焦らすように押し付けられ、知らず知らずナイアの女の部分はそこに吸い付くようなしぐさを始めていた。
恥じらう表情とは裏腹な淫らな反応に、アレクシの息も荒くなる。
「仕方のない方だ…………いいでしょう、私ももう我慢できない……」
片手を己の物に添え、彼はナイアの中に入るために角度を調整した。
腫れた肉芽の裏をえぐるような角度を選び、ゆっくりと、愛しい巫女姫の中に侵入していく。
「あ、あぁ……、やっ、だめ、ああーっ…………!」
感じやすい部分を刺激されながらの緩慢な挿入。
その大きさを、太さを味わわせるための動きにナイアの全身がびくびくと波打つ。
「ああぁ、ああ、……や……あ、アレク……ッ、んん」
自分を飲み込み、一際ふくらんだ女性器の隙間からあふれる恥ずかしい雫をアレクシは指先ですくった。


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