要姫 第二章・3
「ああ、ぬるぬるがこのように……中も、いいですよ…………熱い襞が私に絡み付いて、奥へ奥へと引き込んでいく……」
かすかにかすれた声で言うと、アレクシはナイアの足を更に大きく開かせた。
「そ、そんなの、私………ッ、あっ、ああっ……!」
これ以上ないぐらいに足を広げられた弾みで尻が浮く。
尻の穴さえ丸見えの姿勢になったナイアに、アレクシは瞳を細めてしばし見入った。
「とてもいい眺めですね、ナイア様………男を知ってなお清楚なあなたのここに、私の物が根本まで埋まっております………」
恥ずかしい言葉で責められて、ナイアは思わず迎え入れた男をぎゅうっと引き絞ってしまった。
案の定アレクシは、すぐにそれについて言及してくる。
「ほら、またそのように締め付けて…………可愛い方だ、下のお口は大変素直ですね……」
繋げられた身には、くすくすと彼が笑う振動さえ伝わってきてしまう。
「ん、ンン……っ」
悩ましく眉を寄せ、あえぎを押し殺そうとするナイアにアレクシはいきなり顔を寄せてきた。
「んふ、ぁ…………っ」
ついばむように始まった口付けは、すぐに舌を絡めた深いものに変わる。
喉の奥に逃げようとした舌を強引に引き戻され、呼吸すら出来ないような激しい口付けにナイアはたちまち翻弄されていった。
「……ん、ん、あ…………っ……!?」
いったん挿入の衝撃から逸れていた意識が、動き始めた肉棒の動きを意識する。
深い口付けを続けながら、アレクシはゆっくりと腰を動かし始めた。
「あぁ、あっ、ん、ふぅ………………っ」
抵抗しようとしても、四肢はがっちりと理術に押さえ込まれている。
悲鳴すら甘い唇に封じられ、声も上げられない。
ただ、ねちゃねちゃと卑猥な音を立てては自分の中を出入りする男の生み出す快感を、なす術もなく享受するしかなかった。
「ふぁ……、はぁ…………、ん」
恥ずかしい。
でも、どうしようもないぐらいに気持ちいい。
そんなことを思ってしまう自分がもっと恥ずかしい。
一定の速度での挿入を繰り返される内、ナイアの体に入っていた力はゆるゆると解けていった。
時折アレクシの指は気まぐれに巫女姫の肌をさまよう。
つんととがった乳首や、触れられぬまま切なく体液を零す男性器、突かれるたびにあふれる愛液にまみれた肉豆。
それらをさすられ、優しく撫で回されるたびに背筋を新たな甘い痺れが駆け抜ける。
「あぁっ……、あ…………っ」
目尻から快感の涙を流しながら、ナイアはふさがれた喉の奥であえいだ。
掲げられたつま先が無意識に反り返る。
快感にむせびながらも、その一方で一線を越えないそれにもどかしさを感じ始めていた。
分かっている。
これもアレクシの手だ。
「もっと欲しいですか……?」
唇を合わせたままで彼がつぶやくのが聞こえる。
「ん、んん……っ」
何とかゆるく首を振ってみても、アレクシは余裕の表情で微笑むだけ。
「嘘つきですね………腰が動いていますよ、ナイア様」
言われてナイアははっとした。
アレクシの律動に合わせ、我知らず体を揺らしていた自分に気付く。
少しでも快感をあさろうとする浅ましさを指摘され、ナイアは真っ赤になって顔を背けた。
けれどアレクシは、その様子を「可愛い」と更に微笑む。
「嬉しいです。こちらでもずいぶん感じて下さるようになった……もう、こちらだけでも十分いけますね………」
そう言いながら彼は、二人が繋がった部分へと手をやろうとした。
そこへ唐突に、扉が開く音が聞こえてきた。
「おや、お楽しみの最中でしたか」
事もなげな一言にナイアの全身が凍り付く。
理術師クラウディオ。
全身を拘束され、アレクシに犯されるナイアを見ても彼は露ほども表情を変えない。
いつものように口元に薄い笑みを蓄えたまま、平然とこちらに向かって歩いてくる。
「い、嫌、来ないで、見ないでっ!」
顔どころか全身を紅潮させてナイアは叫んだ。
「ナイア様?」
一方のアレクシは、ナイアの反応に逆に驚いた顔をしている。
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