要姫 第二章・6
「あっ! あっ、んっ…………んっ、やっ、やぁ、ああ、アレクシ…………ッ」
倒れ込んだ視界の端をちらりと過ぎった、クラウディオの顔。
薄い笑みを蓄えたその視線を感じ、巫女姫は白い髪を振り乱した。
「いやっ………、クラウディオ、見てッ、る……っ、ん、んんんっ!」
クラウディオの名を聞いた途端、アレクシはその声をふさぐように強く腰を押し出してきた。
子宮に響くような一撃に声を詰まらせるナイアの体の脇に手をつき、彼は更に激しい出し入れを繰り返す。
「クラウディオ殿のことも考えなくていい!」
「はぁ…………っ、あっ、あっ……!」
アレクシの命に従おうとしたわけではない。
けれどナイアの思考は、圧倒的な快感にたちまち塗りつぶされていった。
小振りの乳房を鷲掴みにされ、乱暴に揉みしだかれる。
痛みにナイアはうめいたが、長年王の暴虐に耐えてきた体だ。
粗雑な扱いを受ければ受けるほど、逆にどこかで悦んでしまう被虐の性質。
己の守るために身に付けたそんな性質に火がつき始めていた。
まして相手はアレクシ。
嫉妬を露わにした余裕のない態度も、愛しい男の自分への想いゆえのもの。
そうと知っていれば、いけないと思いつつも嬉しさを感じてしまう。
「考えるなら、私のことを! 夫であり、いずれ父親になる私のことだけを考えていればいいんです、ナイア様は……!」
白い肌に赤い跡が残るほど指を食い込ませ、アレクシは荒い息を吐きながら叫んだ。
その後ろで笑いをこらえているクラウディオのことなど全く意識している様子がない。
ナイアもナイアで観客を気にする余裕はなくなり始めていた。
「あぁっ! ……ン、ンッ! んっ、だめ……っ!」
執拗に犯され続けた膣は甘く痺れ、濡れた肉を押し広げられるたびに奥から更なる蜜をあふれさせ男を誘う。
「はぁん! あん、あぁ……っ、あっ、やっ、あっ、だめ、突かないで、突かないでぇ、私、私、もう……っ」
摩擦熱で焼けてしまいそうなほどに何度も中を擦られ、えぐられ、突かれる。
結合部からとろとろと愛液を吹きながら、ナイアはひくひくと全身を震わせてよがった。
「ほら、よろしいのでしょう…………?」
力任せの抜き差しをしばらく続けた後、根本まで自分をナイアの中に埋め込んだアレクシは低い声でそう言った。
「……は……っ………、ぁ……」
涙目で彼を見上げたナイアの瞳に映るのは、自分を征服したという自信に満ちた美しくも醜い男の顔。
乳房をなぶっていた彼の指がナイアの細腰を掴んだ。
華奢な体をしっかりと固定した後、アレクシは突き入れた自身をゆるゆると中で動かし始める。
「奥に、当たっているのが分かるのでしょう……ッ……? ほら、ここにっ……」
「ひっ!?」
根本まで埋め込まれた彼の男根。
その切っ先が不意に子宮口を押し上げた衝撃に、ナイアは瞳を見開きあごを仰け反らせた。
「私の物で、ここをっ、こういう風に小突くとッ……!」
がっちりとナイアを押さえ付けたまま、アレクシはたくましいものを深い場所で前後させる。
そのたびごつごつと奥を突かれ、ナイアはぽろぽろと涙を零しながらよがった。
「ひあああっ!? やめえ、だめ、だめぇ…………!」
犯されているという事実をそのまま突き付けてくるような、鮮明で原始的な快感。
子種を受け入れるべく用意されている器官そのものが、熱くなっていくような錯覚さえ覚えてしまう。
「だめっ、いやあ、こんなのっ………! お、奥、当たって……、当たってる………」
ぎゅうっと瞳を閉じ、うわごとのようにナイアはそう繰り返した。
「ごつん、ごつんって……………、や……ぁ、こんなッ…………」
嫌がる言葉とは裏腹に、これ以上ないほど受け入れた男をその体は締め付けて放さない。
後ろを犯されている時のような乱れぶりを見て、アレクシは整った口元に満足の笑みを浮かべた。
「ふふ、ほら…………ぐちょぐちょですよ、ナイア様のここ…………いやらしい汁があふれて、飛び散って、おいしそうに私の物をくわえて放さない……!」
およそ普段の彼からは想像も付かないような卑猥な言葉。
しかしアレクシにそんなことを言われていること自体が、浅ましい火に更なる油を注ぐ。
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