要姫 第二章・15
ぴくん、ぴくんと身を震わせながら、ナイアは懸命に彼を押し戻そうとした。
しかしけなげな抵抗を示す腕に、足に、理術の波動が無情に絡み付く。
「あ……んッ、む」
唯一自由だった唇はアレクシのそれにふさがれた。
苛立ちを流し込むような深い口付けに、あえぐことさえままらない。
「ふぁ…………、ぁ……、んんっ!」
口付けをされたまま、いきなり抱き起こされた。
敷布の上にあぐらをかいたアレクシの上に、座り込んだような格好にされる。
「ん、んっ……、はぁ……」
そうしながらも、彼の指はナイアの中に潜ったままだ。
真下から突き上げるように侵入した指が、くちゃくちゃといやらしい音を立てながら割れ目の中を執拗に出入りしている。
「んっ………、んっ、ひ……! う、ん」
見えない力に拘束され、なす術もなく愛撫を受ける華奢な体が一際大きく跳ねた。
不意に伸びてきたアレクシの指が、尻の穴へと触れてきたのだ。
「だっだめ、そこはだめっ………!」
怯えたように叫んだナイアの顔を、アレクシは薄笑いを浮かべて見つめている。
「だめ……? そんなはずはないでしょう。あなたはここがお好きだ……」
「ァ…………!」
自分の精液か、ナイアの愛液かにぬるつく指先で、アレクシはこれみよがしに尻肉の狭間で震える桃色の穴をなぞる。
それだけでナイアはまたびくんと身を震わせた。
要の神殿でそこを犯して以来、アレクシはほとんどナイアの尻の方には触れていない。
女の部分で自分を感じる体に仕込むこと。
そのことにひどく執着しており、女性器ばかりを繰り返し犯し精を注ぎ入れてきた。
おかげでだいぶナイアも前の裂け目で男を受け入れることに慣れてはきたが、やはり後ろの穴は使われてきた回数が違う。
女の部分を限界まで突かれながらも、尻穴がひくひくと震えてしまうことをナイア自身よく知っていた。
浅ましい、恥ずかしいことだとはよく分かっている。
けれどそれだからこそ、ここを犯して欲しいという暗い欲望が消えない。
「入れて欲しいのでしょう?」
「違ッ、あっ、やぁぁっ……!」
つぷりと指先が、本来なら男を受け入れる機能のない狭い穴に埋まっていく。
ひどく鮮明な感覚に、たちまち頭の一部が白く染まるほどの快楽をナイアは覚えた。
「いや、いやぁっ、だめ、そこはだめ、だめです……!」
泣きながらかぶりを振る巫女姫を見て、クラウディオがくすくすと意地悪く笑うのが聞こえた。
「相変わらずお尻を犯してもらえると思うと、我慢が出来ないようですね。前も早速びしょびしょにしてしまって、恥ずかしい方だ」
いやらしいからかいの言葉にも反論できない。
事実女性器からも熱い液体がどろりとにじみ出て、そこを出入りするアレクシの指の動きを助けている。
「ふ……っ、んっ、あっ、んんっ、はぅ……っ」
二つの穴を指で犯され、声を殺そうとするのでやっと。
小振りな乳房とつんと立った乳首を震わせながら、快楽と戦う要姫の姿はその思いとは裏腹に例えようもなく淫らだ。
「まずは手つかずの女性の部分から、私の色に染めてしまおうと思っておりましたが…」
つぶやいたアレクシの瞳がきらめき、その全身から強い理術の気配が放たれた。
何をする気かと身を硬くしたナイアだったが、例えば四肢を戒める拘束などが強まった気配はない。
それでも何かは起こったはずだと、荒い息を吐きながら辺りに視線を配るナイアの髪にふと誰かの手が触れた。
まさか、とうとうクラウディオも私を。
そう思い慌てて首だけ背後を振り返ったナイアは、そこに信じられないものを見た。
アレクシ。
今ナイアを膝の上に座らせ、前後の穴を愛撫している男と寸分違わぬ青年がナイアのすぐ後ろにいる。
「なっ……、あっ、あぁんっ!」
混乱するナイアの胸元に、背後のアレクシの手が伸びてくる。
とがった乳首を両手の指先で摘み上げられ、声が裏返った。
「こ、これも、これも理術っ、あっ、いやあ!」
なめらかな感触を楽しむように、乳首を転がしていた指がすっと下がった。
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