欲望
その電話が来たのは突然でした。
液晶に表示されている名前を見ると、後輩の美少女からの電話でした。
「はい、もしもし?」
「あ、こんばんは。
噂で聞いたんですけど、先輩って
足と脇が好きなんですか?
フェチなんですか?」
突然何を言い出すんだ!
いくら俺が人よりもネタに満ち溢れた人生を歩んでいるからといって、
フェチズムの話をするためにわざわざ電話を掛けてきた人間は初めてです。
はっきり言って意味が分かりません。
「はい?通報しますよ?
されたくなかったら今から言う口座にお金を振り込んでください」
「どうなんですか?
違うんですか?
足と脇フェチですよね?」
正解!
中学時代、足と脇は富士山よりも美しいという名言を給食中に残し、
女子全員から変態扱いされた思い出が少し蘇ります。
「ま、まあ人並み程度に」
「そこで相談なんですけど、
私の足と脇の写メ2枚ずつあげるんで、
宿題手伝ってもらえません?」
何を言っているのでしょう。
そんなもので俺を釣ろうなんて100年早いです。
宿題というものは自分でやるから意味があり、
他人にやってもらうのであればやらない方がマシなのです。
そもそも自分の身体というものを大切にしていないことが俺は許せません。
彼女がした行為を大きくくくって考えれば、
援助交際などと全く代わりがありません。
そのため彼女には一言注意をした方がいいでしょう。
自分の身体を何だと思っているんだ!
ご両親が聞いたら悲しむぞ!
バラされたくなかったら指定の口座にお金を振り込みなさい!と。
そこで俺はこう言いました。
「3枚ずつくれるなら考えとくよ」
・・・・・・・・・・・・。
そんな目で俺を見るな!
現在俺は、欲望に負けたため自分の宿題に全く手を付けていないというのに、
他人の宿題をせっせとやっています。
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