Marionette



第二話 堕

「どうしました……? 我慢しないで、いいんですよ」
 ぷっくりと小振りな唇を薄く開き、佳帆は妖艶に笑って見せた。
 己が肉棒をびくびくと痙攣させながら、自身もそれに同調するように身体を引き付かせる芽々。
 今まで押し殺してきた、夢幻としての欲情。その光景が今眼前に見開かれ、彼女は動くことすら憚られていた。少しでも動いてしまえば、箍の外れた狂獣と成り果ててしまう。今は見えずとも、鮮明に脳裏に映し出される未来が、彼女を寸でのところで抑止していた。
「佳帆ちゃん……私は……」
「こんな状態じゃ授業にも出られないでしょう? あくまで私が保健委員の仕事をしているんだと思えばいいんですよ」
「くぁあ……っ」
 芽々を繋ぎ止める理性の糸を引き千切るように、佳帆は彼女の肉棒をなぞり上げる。その人差し指は執拗に裏筋を擦り、かと思えば亀頭をつんつんと突っついてくる。
 たったそれだけ。それが肉棒でさえなければほんの些細な動作のはずなのに、芽々はその一つ一つに敏感に反応した。
「もうこんなにお汁が出てるじゃないですか。また、出したいんですよね?」
「そんな……ことぉ……」
 言うと、佳帆は鈴口に唇を沿え、いやらしく音を立てて先走りを啜り始める。湧き水の如く絶え間無く溢れ出るそれを一滴逃さず吸い上げ、その間も肉幹を扱くことを忘れない。芽々にとって、刹那の間でも気を抜けばあっという間に達してしまうであろう快楽だった。
「いや、ダメっ……! もう、出したくないよ……!」
 芽々は悲涙で目元潤ませながら、そっと佳帆を自らの肉塊から離していく。
 一度は手放しかけた、粗末なまでの自我。だがクラスメートを犯してしまうのは、何よりも越えてはならぬ一線であり、禁忌であった。だからこそ彼女はもう一度理性を紡ぎ上げ、佳帆の誘惑に耐えんとした。
「……芽々ちゃんは、自分におちんちんがあることを恥じてるんですね。じゃあ……」
 佳帆は上気させた頬をさらに赤み付けながら、芽々の胸に猿臂を伸ばしていく。不意を突かれた芽々に抵抗の余地は無く、服の上からではあるものの意図も簡単に恥部に触れさせてしまう。
「ひぃぁ……や、やめてぇ……」
 汗水でほんのりと濡れた制服の上から、佳帆はつんと立った乳首をこりこりとほぐすように揉む。すると見る見るうちにそこは充血し、更なる刺激を求めて天を仰いだ。
「こんなに大きなおっぱいしてるのにブラしてないんですね……えっちな芽々ちゃん……」
「ダメ、そんなにしたらっ……どうにか、なるぅ……」
 佳帆は彼女のたわわに膨らんだ乳房を揉みしだきながら、視認出来るほどに尖った蕾を舌先で転がしていく。電撃が奔るような快感が髄まで響き、その余韻は芽々の視界を蕩けさせた。だが、最たる快楽の媒体であるペニスには触れられず、服の上からというもどかしい愛撫は、彼女を一入大きな刺激を求めさせた。
「はぁぁあ……芽々ちゃん、直に触って欲しいんじゃないですか? おちんちんも、こんなに切なそう……」
「ひゃぅぅうっ!」
 佳帆の細指の腹が亀頭を掠めただけで、芽々は腰を痙攣させるほどに悦んだ。
 一方の佳帆も芽々に負けず劣らず色欲に溺れ、自らの淫裂を片方の指でぐちゅぐちゅと掻き混ぜていた。
 既にトイレはむわりとした少女の猥臭に埋め尽くされ、二人を更に快楽に狂わせていく。
「お、おねがい……」
「なぁに? どうして欲しいんですか? 芽々ちゃん」
 芽々の蚊の鳴くような声も逃さず捉え、佳帆は尚一層胸の愛撫を強めた。
 芽々の制服は自身の流汗と佳帆の手汗で徐々に透けていき、相共に愛欲を昂らせていく。
 佳帆は彼女の胸を貪るように吸い上げ、芽々は面白いようにそれに反応しては甘く鳴く。佳帆はそんな彼女を愛おしく思ったか、その口を芽々の唇に移していった。最早芽々に抗する色は無く、それを待ち望んでいたかのように互いに舌を舐め合った。二人は抱き合って唇を、そして更に奥までを求め合い、二人の艶やかな太股が淫靡に擦れていった。
「ねぇ、直に触って欲しいんでしょう? 言ってくれたら、すぐにいっぱい気持ち良いことしてあげますよ……?」
 佳帆の吐息が掛かるほどに近くで、その瞳が挑発的に揺らめいた。芽々は既に逆上せたかの如く目も虚ろで、ただただ目先の悦楽のみを欲した。佳帆の思うがままに愛でられ、快感に喘ぎ、そして絶頂する。それだけが芽々の頭をぐるぐると回り、それ以外の感情など路傍の石に過ぎなかった。
「して、欲しい……」
「もっとえっちに言って……」
 自身も発情した吐息を隠そうとしないまま、扇情的な動きで芽々の頬をなぞる。彼女の一語一句が鼓膜に触れられる度に下腹部が疼き、芽々は佳帆のスカートに肉棒を押し付けては擦る。だがやはりそれだけでは何もかもが足りず、芽々は夙に佳帆に従う他無かった。
「佳帆ちゃんに、おっぱい揉まれて、乳首吸われたい……もう、どうにでもしてぇ……」
「可愛いですよ、芽々ちゃん……」
 言うと、佳帆は芽々の制服を乱暴に取り去り、その姿を堪能する間も無く乳房に貪り付いた。佳帆自身も衝動を抑えるのがやっとであったらしく、その愛撫は苛烈を極めていた。
「はぅぅ……おっぱいイイよぉ……っ! もっと、もっとぉ……」
 芽々はそれしか物言えぬように喘ぎ、お返しとばかりに佳帆の乳房を揉みしだく。佳帆もまた絶頂が近いのか、肉襞を擦る自身の指にびくびくと身体を戦慄かせた。彼女の股から滴り落ちる淫液に、芽々は我知らず官能に震えた。
「はぁ、はぁぁ……っ! 佳帆ちゃんも……佳帆ちゃんもイキそうなのっ……?」
「う、うん……イク……っ! おまんこ、良くってぇ……っ!」
 唐突に耳朶を抜けた淫語に、芽々も同じように絶頂を感じた。自身を慰めながらの愛撫だというのにその勢いは増すばかりで、何よりその悩ましげな姿が芽々の享楽を押し上げていく。芽々はもう我慢出来ないとばかりに、いよいよ声を張り上げた。
「あぁん、おちんちんもっ、おちんちんも触ってぇ! もう……私ももう、イキそうっ!」
 佳帆は言われるがままに手を彼女のそそり立った肉棒へ移し、愛撫の勢いそのままに激しく擦り立てる。芽々は快楽に目線を彷徨わせ、佳帆も強く自身の淫芽を捻り上げた。
「イクっ! あうっ、イッちゃうぅぅぅぅううっ!!」
 二人は互いに眉を顰め、奇声とも言える叫号を喚き散らす。芽々の湧き起こる衝動は深く濁った精液へと形を変え、堰を切ったように鈴口から噴き出されていく。それは折重なるように凭れ掛かった佳帆に次々と鎮座し、その主である芽々の顔をも汚していく。しかし芽々はそれに嫌悪感を感じられないほど余韻に陶酔し、あらぬ方向を見つめてはびくびくと痙攣していた。
「はぁ……はぁぅ……っ」
 どうして、という声すらも出なかった。
 度重なる射精を経ても彼女の肉棒は衰えることを知らず、女体を求めて鎌首を擡げる。情欲の熱に魘されそうになりながら、芽々は奇怪なまでに奔命するそれを懼れた。
「芽々ちゃんばっかりずるいです……今度こそは、私のおまんこに入れてくれますよね?」
「佳帆……ちゃん……」
 佳帆は既に色欲に埋もれた双眸を煌かせ、腰を芽々に突き出して陰唇を淫らに拡げる。膣口も、尿道口すらも晒されたそこは、芽々の心をぐらぐらと音を立てて揺るがせた。
 佳帆ちゃんはクラスメートなんだ。やっちゃいけない。求めちゃいけない。私は異端だから、我慢しなくちゃいけない。
「でも……でも挿れたい……。めちゃくちゃに、犯したいっ……!」
 芽々は彼女の白濁に濡れた腰を乱暴に掴み、一思いに貫いた。めりめりと肉襞を抉じ開ける快感がそのまま彼女の脳髄に染み渡り、芽々はあらぬ方向へ瞳孔を泳がせる。
「ふぅぁ……っ!! くるっ、きてるよ芽々ちゃんっ……!!」
 既に淫液に満たされた蜜壷は容易く彼女の剛直を捉え、それは底無し沼のようにずぶずぶと肉棒の姿を消していった。
 佳帆は待ち焦がれた快楽にだらしなく舌を出し、襞を擦られる感覚に喘ぐ。芽々もまた本能的に腰を振り乱し、激しく肉がぶつかり合う音が交錯する。
「佳帆ちゃんの中、熱いよぉ……! 良い、き、気持ち良いぃ……!」
 手淫だけでは味わえない至上の快感は、芽々の精神を滅茶苦茶に掻き乱した。憂慮する自我は消え失せ、唯一つの器官から発せられる雄としての本能が目覚めていく。芽々はそれに対する拒絶すら喪失し、脳髄を侵食する性衝動が徐々に発揚していく。
 彼女の双眸が捉えるは、自身の肉棒に貫かれた愛しい女性器。抽送する度、淫靡に形を変えては愛液を滴らせるそれに、芽々は眼も心も奪われてしまっていた。くちゅくちゅと膣を掻き混ぜる水音も、神経を駆け上がる快楽も、全てが愉悦であった。
「んあぁっ! すごいぃ、大きいのが、出たり入ったりして……すごいよぉ……!!」
 色欲に溺れているのは、やはり芽々だけではなかった。痛々しい位に拡げられた淫裂からは考えられないほど、佳帆は遍く興に入っていた。
 激しく肉壷を出入りする肉棒は淫液に潤み、最奥を突く度にそれは水飛沫となって飛び散っていく。芽々の張り詰めた肉棒は佳帆の子宮口までも抉り、その度に互いの絶頂感を煽った。
「あはぁっ! どうしよう佳帆ちゃん、イキそう……膣内に、膣内に出しちゃうかも知れないよっ……!」
「いいよ、膣内に、膣内に出してぇ!!」
 それを合図とするように、芽々は更に腰を掴む手に力を入れた。そして、思うが侭力任せに腰を打ち付け、思い思いの嬌声を絞り出していく。
 膏汗と精液が佳帆の腰の上で混ざり合い、歪な臭気が個室を満たす。それと共にクラスメートを犯しているという背徳感が芽々を刺激し、彼女の肉棒もまた反り返る力を強めた。絡みつくように蠢く佳帆の肉襞は彼女のそれを離そうとせず、芽々は鎌首を擦られる度に呻きを上げる他無かった。
「はぁっ、うくぅ、はうぅぅっ! そんなにしたら……私、もうっ……!!」
 熱く蠕動する膣襞に揉まれ、芽々は肉塊の根元で鬱積する快楽の爆発を予感する。しかし、最早芽々は己を抑圧する理性など忘却の彼方へ押しやり、目先の悦楽のみを悪戯に貪っていた。
 佳帆も絶頂が近いのか、膣内でぎゅうぎゅうと締め付けては自身も確かな感触に喘ぎを上げる。その中を割るようにして、醜怪な肉棒がごりごりと摩すっていく。佳帆の淫らな箇所を貫いているという事実を意識したが最後、芽々の情欲は一気に亀頭にまで迫り上がった。
「で、出る、膣内で出ちゃうぅぅぅ……っ!!」
「うん、きて、きて芽々ちゃんっ……!!」
 上半身をぴったりと佳帆の背中に押し付けたまま、芽々は膣内に有りっ丈の白濁を注ぎ込んだ。どくどくと土石流の如く打ち付けられるそれは、佳帆の膣内を、そして子宮を真っ白に染め上げていく。それでも芽々は夢見心地な表情のままにゆっくりと抽送を続けながら、最後の一滴までを漏らさず佳帆に流し込んだ。
「あはっ……あったかいよ、芽々ちゃん……」
 燃え上がるかのように熱い精液を腹に感じながら、佳帆は淫靡に笑って見せた。そして自ら腰を引き、あまりの快楽に自失している芽々の肉棒を引き抜いていく。
 栓を失った淫裂からはどろどろと黄ばんだ白濁が滴り落ち、それを虚ろに見送った芽々は歓喜すら感じていた。
 これも種付けを遂行したという、雄としての本能なのか――。
 しかし、芽々はそれが不自然な感情であるということにも気付かず、佳帆の陰部を凝視しては小さく微笑んでいた。
「芽々ちゃん、今拭いてあげますからね……」
 佳帆は言うと徐にポケットティッシュを取り出し、度重なる射精で恣に芽々に飛散した精液を優しく拭い始める。その献身的な姿に、芽々はぴくぴくとまた肉棒が微動するのを感じたが、それに罪悪感を覚えられる理性も既に残ってはいない。
 木偶人形の如くされるがままになる芽々を認めた佳帆は、次はとばかりにてらてらと醜猥に濡れた肉棒に手を掛けた。
「ふふ……芽々ちゃんだぁいすき……」
 ティッシュ越しに肉棒を擦りながら、佳帆はやおら彼女の唇を奪った。芽々はそれに驚くことも無く、それが当然のように自身も唇を押し付ける。そして互いに腕を回しては、舌までも求めて彼女らは何度もキスを繰り返した。

2010年 7月 8日

瓦落多