ぴくの〜ほかんこ

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[303] ユウキとハルカの冒険〜三大化身と夢幻竜2

華苗 #1★2004.04/26(月)18:52
【第88話 ユウキとハルカ!2人の秘密】
ディアーが、ゆっくりと口を開く。
《あたし達には、ある使命がある。その1つが、あなたたちに隠された秘密の力を明かすこと。》
ユウキ「隠された、秘密の力…?」そうつぶやくユウキ。
そこへディークスが、ユウキとハルカに鋭いまなざしを向ける。
ディークス《少年ユウキ、少女ハルカよ…お前達は、伝説のトレーナー、ルビーとサファイアの生まれ変わりなのだ。》
ダイゴ「ルビーとサファイアの、生まれ変わり…!」
フヨウ「やっぱり、アタシが2人から感じた力は、ルビーとサファイアのものだったんだ…」
フヨウの言葉に、ハルカが驚く。
ハルカ「えっ?じゃあフヨウさんは私達のこと、分かってたんですか?」
フヨウ「うすうすと感づいてはいたわ。」
ユウキ「でも、何でオレ達がその2人の生まれ変わりだって分かるんだ?」
その質問に、ディアーが答える。
ディアー《すぐわかったわ。ルビーとサファイア色の瞳なんて、そうそうあるもんじゃないし。》
ディークス《それに、オレ達の昔の主人が、ルビーとサファイアその人だったからな。》
フヨウ「えっ!?」
ユウキ「お前達の主人だった…!?」
ハルカ「それって…何年前の話なの?」
ハルカが恐る恐る聞いた。ディークスが答える。
ディークス《もう…数百年は前の話だな。な、ディアー?》
ディアー《そうね。》
ナツキ「数百年って…」
ミツル「一体何年生きてるんだろう?」
そんな2人の言葉をきいて、ディアーが言う。
ディアー《あ! あなたたち今、『すっごいおばあちゃんポケモンだ〜』とか思ったでしょ!?》
ミクリ「そんなことはないよ。むしろ、昔からずっとそのかわいさを保てていたなら、すごいと思うよ。」
ディアー《かわいい? やだも〜v そんな、本当のことv》
ディークス《おいディアー、ふざけるなよ。》
ディアーをにらむディークス。
ディアー《はいはい。》
ナツキ「でもしゃべり方から、そんなに長く生きてるなんて思わないよね…。」
ミツル「同感。」
ディークス《これでもオレ達は一族の中では若い方だ。オレもまだ592歳の若輩(じゃくはい)だからな。》
この言葉には人間たちは度肝を抜かれた。
ディークス《おっと…また話がそれたな。オレ達は、お前達の前世、ルビーとサファイアに従っていた。》
ディアー《2人は昔、今のような事態になったホウエンを救った。
暴走するグラードンとカイオーガを止める珠玉の力を扱えるものもそういなかったし、何より強大な力を持つ2匹に立ち向かう勇気のある者なんて、ほとんどいないもの。》
フヨウ「2匹の眠りを覚ましても、珠玉の力をコントロールできなくては、力が制御できなくて今の様になってしまうのね。」
ディークス《そうだ。オレ達自身、それに立ち会ったからな。その事については、はっきり言える。》
ハルカ「あれ?」
ふと、ハルカが首をかしげ、フヨウに言う。
ハルカ「フヨウさん、ホウエン地方の言い伝えでは、ルビーとサファイアやラティアスとラティオスのことは出てなかったはず…あれって、実際にあったことなんでしょう?」
フヨウ「ええ。…この際、ついでに言うわ。あの言い伝えは、ちゃんと伝えてない部分もあるの。その1つが夢幻の竜のこと。2つ目は…ルビーとサファイアの活躍。3つ目が…空の化身のこと。」
ユウキ「え? それって、グラードンやカイオーガみたいな、ナニの化身って奴…ですよね。」
フヨウ「そうよ。」
ディークス《グラードンとカイオーガを鎮めるには、あの方の力を借りねば…》
そういい、ディークスは何か念じるように目を閉じた。
すると…!?
アオギリ「む…紅色の珠玉が!?」
マツブサ「藍色の珠玉も…!」
2つの珠玉が、マツブサとアオギリの手から離れていく!
そして、珠玉はディアーとディークスの手に収まった。
ディアー《あの方を呼び出すには、ユウキとハルカの力が必要よ。この珠玉を手に持って。》
ユウキ「…ああ。」
2人は、紅色と藍色の珠玉を受け取る。
…すると、突然!
 ピカ―――――ッ!!
ハルカ「きゃッ!?」
2つの珠玉は、目もくらむような強い光を発した!
フヨウ「2つの珠玉が…光ってる!」
天に向かって、白い一筋の光の柱が立つ。
これから起ころうとしている事とは、一体…!?
 つづく
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華苗 #2☆2004.04/12(月)17:39
【第89話 空の化身、レックウザ】
ユウキとハルカが手にした珠玉から、強い光がほとばしる!
やがてそれは、天へと伸びる光の柱となった。
ディークス《珠玉はお前達を認めたようだな…珠玉に選らばれし者でないと、光の柱は作り出せない。》
ユウキ「ま…まぶしい…!」
ハルカ「目を開けてられないわ…」
ディアー《ごめんね、ちょっとガマンしていてもらえる? あのお方が来てくださるまで…》
その時、フヨウが口を開いた。
フヨウ「光の柱…! 言い伝えにある通りよ。」
ナツキ「フヨウさん、その言い伝えのあたし達が知らない部分、話してくれませんか?」
フヨウ「そうね。」
フヨウは話し始めた。
フヨウ「実は…グラードンとカイオーガを鎮めたのは、珠玉の力だけじゃない。ルビーとサファイア、ラティアスとラティオスも関わりがあるわ。」
ミツル「じゃあ何で、そのことは話してくれなかったんですか?」
フヨウ「そのところはどうも、ルビーとサファイアの2人が、自分たちがそんなたいそうな事をした、って語り継がれることを嫌がったからのようね。」
ナツキ「立派な事したのに…」
フヨウ「偉大な人の多くは、謙虚なものなのよ。2人も、とても偉大なことをした人間だった。それと…」
空を見上げて、フヨウが続ける。
フヨウ「2人は、もう一匹、伝説のポケモンを従えていた。それは…空の化身、レックウザ…!」
フヨウがその名を口にしたとたん、空の色が変わる。
先ほどまでの灰色でなく、いつものスカイブルーでもなく…エメラルド色の空だった。
そして、雲の合間から、翠色(みどりいろ)の体が見えた…
ディークス《現れたようだな、あのお方…レックウザ様が。》
ミツル「もしかして、あのポケモンが…!?」
ディアー《そう。》
フヨウ「“紅と藍、2つの珠玉が選らばれし者の元へそろう時、地上と天とを結ぶ光の柱が立たん… その時こそ、空の彼方より 天空の竜は来たれり…”」
ミクリ「なるほど…」
ダイゴ「その時が、今ってわけだ。」
やがて、その竜はルネの空を覆うほどに近いところまでやってきた。
翠色の竜。翼はないが、悠々と空を飛ぶその姿。
吸い込まれそうな金色の瞳の、神々しいポケモンだ。
光の柱は、いつしか消えていた。
レックウザ《我を呼ぶのは誰だ…?》
ディアー《セシル様、こちらの少年少女です。》
ディアーがユウキとハルカを見ながらレックウザに言った。
どうやらレックウザはセシルという名があるらしい。
ディークス《覚えておいででしょうか、我ら兄妹の主であった、ルビーとサファイアの2人を。》
セシル《もちろん。してこの者達はあの2人と関係が?》
ディークス《この者は、ルビーとサファイアの生まれ変わり…珠玉に認められた者達です。》
セシル《ふむ…》
セシルはその目でユウキとハルカをまっすぐ見つめた。
2人は、セシルの威圧感に圧倒され、声が出ない。
セシル《確かに…あの2人と通じるものが、この者達にもある。
少年、少女よ、名を何と言う?》
ユウキ「あっ…オレは、ユウキ…です。」やっと口を開く。
ハルカ「わ、私は…ハルカです。」
セシル《ふむ…そうカタくならんでも良いぞ。
我はレックウザ。名はセシル。空の化身と呼ばれている。》
ナツキ「すっごーい…伝説のポケモンなんて初めて見たわ!」
ミクリ「さすがは伝説のポケモン…思わずひれふしそうになる…」
ミツル「すごいです…」
セシル《少年ユウキ、少女ハルカよ。グラードンとカイオーガの暴走を鎮めるため…我が力を貸そう。ただし…》
ユウキ「ただし…?」
セシル《お前達にとって、ポケモンとはどんな存在だ? 我の望む答えであれば、お前達に力を貸そう。》
ハルカ「なるほどね。」
ユウキ「答えてやろうじゃん!」
セシル《ほほぅ。…して、答えは…?》
2人は口を開いた。
ユウキ「オレにとって、ポケモン達は、信頼できる相棒だ!」
ハルカ「私にとっては…かけがえのないお友達よ。」
セシル《ふむ…それは本当だな?》
ユウキ&ハルカ「「はい!」」
セシル《我の目を見るがいい。》
そういわれ、2人はセシルの金色の瞳を見つめる。
気押されそうだったが、負けじと見つめ返す。
すると、セシルはほほえんだ。
セシル《良かろう…我とともに、あの2匹を再び眠りにつかせてやるとしよう…》
ディークス《わたくし共も…お供いたします。》
ユウキ「ありがとう!」
ハルカ「助かるわ!」
ミクリ「それでは…僕についてきてほしい。」
一行はミクリに続いて、歩く。
ルネシティのでこぼこな道を歩きながら…
ミツル「…あれ? そういえば、いつの間にか雨がやんでる。」
そうつぶやいたミツルに、ディアーが言った。
ディアー《これも、セシル様のお力の1つよ。ポケモンの力によって変えられた天気の影響をなくすの。》
ダイゴ「そうか。それならきっと、ルネ周辺の海にも効果が出ているだろうな。」
歩いていった先には、舗装(ほそう)されていない洞窟の穴があった。
ミクリ「『めざめのほこら』という所だ。珠玉に認められたものなら、誰でも入ることができる。君達2人も、入ることができるはずさ。」
ユウキ&ハルカ「「はい。」」
ミツル「ボク達は…入れないんですか?」
フヨウ「そうね。入ることができるのは2人だけよ。」
ナツキ「そっか…」
ダイゴ「僕も、力を貸してあげたいところだけど…ね。」
マツブサ「だが…相手は強大な力を持つあのグラードンとカイオーガだ。」
アオギリ「どうやって、暴走を止めれば…?」
2人の言葉に、一同はうつむいて首をひねる。
ミツル「そうだ、伝説のポケモンって言われても、結局はポケモンなんだから…ゲットすればいいんじゃないかな?」
ナツキ「それよ! ミツル君、ナイス!」
ダイゴ「それはいい考えだな。ユウキ君、ハルカちゃん、ボールは持っているかい?」
ハルカ「はい。でもモンスターボールとスーパーボールが少しずつしかありません。」
ダイゴ「それなら…ハイパーボールをあげるよ。スーパーボールよりも性能がいい。だが、5個しかないから、大切に使うんだ。」
ユウキ&ハルカ「「はい!」」
2人はダイゴからボールを受け取った。
ミツル「2人とも…」
ナツキ「気をつけて!」
ユウキ&ハルカ「「うん!」」
そして2人は、洞窟の中へ入っていった。
ディアーとディークスも後に続く。
ダイゴ「僕達には、あの2人の無事を祈るしか、ないのか…」
フヨウ「そうね…」
ミクリ「でも、伝説のトレーナーの生まれ変わりと言ったって、結局10歳かそこらの子供だろ。どうしてそこまで信じられる?」
ミクリの言葉に、ミツルとナツキが言う。
ミツル「ユウキ君とハルカさんは、絶対に負けたりしないよ!」
ナツキ「そうよ! あの2人、すっごく強いのよ!」
ダイゴ「そうだな。あの2人は強い。心の強さを持っているんだ。」
ミクリ「心の強さ?」
ダイゴ「ああ。なにがあってもくじけない、心の強さ。それに、前にフウとランが言っていた。『ユウキとハルカって2人組に負かされたよ。あの2人はきっと、僕らよりずっと強いきずなの力を持っているのかもね。』って。」
フヨウ「きずなの強さね。フウとランが認めるほどなら、それほどあの2人は強いのね。」
ミクリ「なるほど…信じられるだけの腕が、彼らにはあるんだな。」
ダイゴ「そうだな…」
伝説のポケモンの暴走を止めるため、動き出したユウキとハルカ。
夢幻の竜と、空の化身を味方につけて…さぁ、戦いの始まりだ。
 つづく
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華苗 #3☆2004.04/13(火)17:59
【第90話 →めざめのほこら 最深部へ急げ!】
ユウキとハルカの2人は、ラティ兄弟のディアーとディークスとともに、
めざめのほこらの最深部を目指していた。
ユウキ「この洞窟、すげー暗いな!」
ハルカ「真っ暗ね…ディアー、ディークス、どこ?」
ディークス《オレ達には見えるんだけどな…仕方ない。『ラスターパージ』…!》
次の瞬間、真っ暗な洞窟の中に光があふれた。
ユウキ「今度はまぶしい! 目ぇくらむよ!」
ハルカ「でも、なれてくればちょうどいいかな。」
ラティオスのディークスは、両手に光る球体をかかえている。
ディアー《お兄ちゃんの得意技、『ラスターパージ』よ。光を放出して相手に攻撃するんだけど、お兄ちゃんはこんなふうに応用できるの。》
ラティアスのディアーが得意げに説明した。
ユウキ「へぇ、すごいな! …あれ、セシルは?」
ディアー《セシル様なら、『しんそく』でとっくに行っちゃったよ。》
ハルカ「へぇ、レックウザって『しんそく』使えるんだ…」
ディークス《あぁ。それにしてもお前達2人は、見れば見るほどルビーとサファイアに似ているな。》
ユウキ「そうなのか?」
ディアー《うん!》
ハルカ「ルビーとサファイアって、どんな人だったの?」
ディークス《それはじきに話してやろう。》
そういうディークスに、ディアーが言う。
ディアー《もー、お兄ちゃんってばケチだよね! …もしかして忘れちゃってるの?》
ディークス《そんな事はない! …仕方ないな…。話してやろう。》
2人と2匹は、洞窟の奥へと進んでいく。
ディークスは、2人のスピードに合わせて低空飛行をしながら、話し出した。
ディークス《もう何百年も前の事だ…オレ達夢幻一族の住む島、南の孤島へ、2人の男女がやって来たのは。男の名はルビー、女の名はサファイア。2人とも優しい心の持ち主で、オレとディアーは2人に心を許した。》
ディアー《2人とも、あたし達にすごく優しくしてくれたんだ! もちろん2人の持ってたポケモンたちにも優しかったよ。》
ユウキ「へえ〜! いい人だったんだな!」
ハルカ「そうみたいね。続きは?」
ディークス《そんな中、邪(よこしま)な心を持つ者どもが、グラードンとカイオーガの2匹をよみがえらせ、その結果…今のように陸と海のバランスが崩れかけた。》
ディアー《あたし達は、その時もセシル様を呼んで、ルビーとサファイアと一緒にその2匹を鎮めたんだ。》
ディークス《今回もあの時のようにうまくいくといいな…》
ユウキ「がんばれば何とかなるさ!」
ハルカ「そうよ!」
ディアー《そうね。…霧までかかってきたわね…》
ディークス《視界が悪いな…》
その後、無言で2人と2匹は洞窟を進む。
その先には、光の差し込む大きな部屋のような場所が…
そこに、レックウザ・セシルはいた。
セシル《フフ…久しぶりに体を動かす事ができる。あれからはほとんど我の動くような事もなかったからな。ちと体が鈍っているかもしれん…》
ディークス《セシル様…ここを崩壊させない程度でお願いしますよ。》
セシル《わかっておる。さて…ユウキ、ハルカよ。覚悟は良いな?》
ユウキ&ハルカ「「はい!」」
いつものように、声をそろえて返事を返す。
セシル《良い答えだ…。では、参ろう!》
部屋の奥は行き止まりになっていた。どうやらここが最深部のようだ。
海水とマグマのたまったところに、その2匹はいた。
紅いヨロイのグラードン、藍の巨体のカイオーガ。
グラードン《我らの眠りをさまたげるのは誰だ…》
そう、グラードンは言った。
続けてカイオーガも口を開く。
カイオーガ《我らの力を狙う者どもはどこだ…》
セシル《グラードン、カイオーガよ…ここにはそのような輩はいない。再び眠りにつくがいい…》
しかし、グラードンはセシルのセリフを無視した。
そしてユウキとハルカの2人に、その鋭い眼差しを向ける。
グラードン《お前達か、我の力を狙う者は…》
カイオーガ《おろかな人間どもよ、消えるがいい…!》
カイオーガの口から、ハイドロポンプが放たれる!
それは、ユウキとハルカを狙っていた!
セシル《む…!》
セシルは片手でハイドロポンプを受け止める。
セシル《相変わらず気性の荒い… ディアー、ディークスよ、戦いの始まりだ…!》
ディアー&ディークス《はい。》
ユウキ「行くぞ!」
ハルカ「ええ!」
伝説のポケモン、グラードンとカイオーガ。
ついに、伝説の戦いが始まる…!
 つづく
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華苗 #4☆2004.04/13(火)18:22
【第91話 大地の化身、海の化身との戦い〔前編〕】
ついに始まった、伝説のポケモンとの戦い!
ユウキとハルカは、ポケモンを繰り出す。
ユウキ「行け、カシス、ルクス!」
ルクス(ライボルト)『出番だね。』
カシス(マッスグマ)『何をすればいいの?』
ハルカ「ヒスイ、リア、GO!」
ヒスイ(キルリア)『バトルですね。』
リア(チルタリス)『私は何をすれば…?』
ユウキ「よく聞けよ。これから、あの2匹…グラードンとカイオーガを捕まえる。」
ハルカ「できるなら、ダメージを与えて弱らせて。でも無茶はしないでね。」
ヒスイ『わかりました。』
ディアー(ラティアス)《あたし達は?》
ユウキ「セシルと一緒に、攻撃に回ってくれ。」
ディークス(ラティオス)《承知した。》
ディアーとディークスは、レックウザのセシルの両脇へと飛んでいく。
ユウキ「よぉし! カシス、グラードンに『ずつき』攻撃! ルクスは『でんじは』!」
カシス『待ってましたっ! いっくぞー!』
せっかちなカシスはすごいスピードで相手に突っ込んでいく。
ルクス『僕も行くぞ…『でんじは』!』
ルクスは弱い電撃を相手にぶつけようとする。が…
カシス『うわっ!』
突っこんでいったカシスと、ルクスのでんじはは、グラードンの巨大なツメでいとも簡単にはね返されてしまった!
グラードン《我にそのような攻撃は効かぬわ…》
カシス『くっそ〜! もう一回だっ!』
カシスは再度突っこんでいった。
ハルカ「こっちも行くわよ! ヒスイ、『めいそう』! リアは『りゅうのいぶき』よ!」
ヒスイ『はい…』
ヒスイは目を閉じて精神を集中し、自らの能力を高める。
リア『『りゅうのいぶき』!』
リアはカイオーガに攻撃をしかける。
攻撃を決める事はできたものの、相手の防御力も高く、ほとんどダメージを与えられていない…!
グラードンもカイオーガも、まだまだかなりの体力が残っている。
ハルカ「く…!(やっぱりこの2匹、強い…! 生半可な攻撃じゃ一切通らないわ…)」
ディアー《あたしも!『ミストボール』!》
ディアーは霧状の細かい羽毛で相手を包みこんで攻撃!、
こちらはまずますのダメージを与えられている。
ディークス《『ラスターパージ』ッ!!》
ディークスは目もくらむような光を放出して攻撃!
その時、グラードンは巨大なツメを振りかぶり、ユウキに向かって振り下ろした!
ユウキ「う…わあぁ!」
カシス『危ないッ!』
とっさにカシスがユウキをかばい、攻撃を受けたが…
カシス『うう…』
大きいダメージを受けているようだ。
ユウキ「カシス! 大丈夫か?」
カシス『な…何とか。眠って体力回復するよ…。』
そういい、カシスは目を閉じて、眠り始めた。
ユウキ「よーし…ルクス! カイオーガに攻撃だ!」
ルクス『オッケー。『10まんボルト』っ!』
ルクスの放った電撃が、カイオーガに命中。
どうやら効果はばつぐんのようだ。
セシルはものすごい速さで相手に近づき、攻撃をしかける。
ハルカ「ヒスイ、『サイコキネシス』!」
ヒスイ『わかりました…! はぁっ!』
強力な念力を相手にぶつける。
しだいに、特殊攻撃が相手に効きやすくなってきた。
ハルカ「『サイコキネシス』の追加効果ね!」
ディアー《『ラスターパージ』のおかげでもあるのよ! よーし、お次は『10まんボルト』!》
ディークス《『れいとうビーム』…!》
ディアーの電撃がカイオーガに、ディークスの冷凍ビームがグラードンに直撃!
だが…グラードンは重たそうな足を上げ、勢いよくふりおろす。
ズドオォンッ!!
その衝撃で、ゆれが起こる。
ハルカ「これって…『じしん』!?」
ルクス『う…!』
じしんを受けたルクス。弱点なだけに、ダメージは大きい。
そこへ、カイオーガのハイドロポンプがせまる!
ハルカ「きゃあぁっ!」
ユウキ「うわあぁっ!」
だが、リアがとっさに攻撃を受けた。
効果はうすいはずだが、ダメージは大きいようだ。
リア『う…っ!…』
容赦なく、次の攻撃がこちらにせまる!
ハルカ「リア、『うたう』のよ!」
リア『はい! チ〜ルル〜♪チ〜ルル〜♪チ〜ルルル〜♪』
リアの歌を聞いたグラードンとカイオーガは、眠ってしまった。
ユウキ「ふぅ…」
ハルカ「チャンスね。攻撃を続けて!」
リア『はい!』
そこで、カシスも目を覚ました。
カシス『ふあぁ〜っ…おはよう!』
ユウキ「起きたな! よーし…カシス、『はらだいこ』!」
カシス『オッケー!』
カシスは体力を削って、攻撃力を大幅に上げる。
カシス『パワー全開! いっくぞー!『しんそく』っ!』
再び、ものすごい速さで走っていくカシス。
眠っている2匹に、力いっぱい体当たりをする。
ハルカ「ヒスイ、リア、あなた達も攻撃よ!」
ヒスイ『わかりました。『サイコキネシス』…!』
リア『『そらをとぶ』!』
ヒスイはサイコキネシスを相手にぶつける。
リアは洞窟の天井近くまで勢いよく上昇する。
ユウキ「ルクス、カイオーガに『10まんボルト』!」
ルクス『わかったよ!』
ルクスは電撃を相手にあびせる。
そしてリアも攻撃をしかける!
が、グラードンとカイオーガは目を覚ました!
2匹に近いところにいるリア。
カイオーガはまたれいとうビームを撃とうとしている。
ハルカ「リア! 戻ってきて!」
リア『は…はい!』 しかし…!
カイオーガが放ったれいとうビームはリアに直撃!
リア『きゃっ…!』
リアは攻撃を受けて、墜落してしまった!
綿雲のような翼のあちこちが凍り付いてしまっている。
ハルカ「リア…ごめんね。ゆっくり休んで。」
ハルカはリアをボールに戻した。
そこへ、グラードンはもう一度じしんを起こそうとしている!
ディアー《『サイコキネシス』!》
ディアーはサイコキネシスをユウキ達にかけて、宙に浮かせる。
じしんが来たが、ダメージは受けずにすんだ。
カシス『うわー。浮いてるよっ!』
ユウキ「ディアー、サンキュ!」
ディアー《どういたしまして!》
グラードンとカイオーガの強さを実感した2人。
果たして、2人は伝説のポケモンをゲットできるのか?
中編に続く!
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華苗 #5☆2004.04/14(水)17:34
【第92話 大地の化身、海の化身との戦い〔中編〕】
ユウキとハルカとポケモン達の、伝説のポケモンとの激しいバトルが繰り広げられている。
2人は、グラードンとカイオーガをゲットできるのか…!?
ユウキ「よーし…ウィング、ユナ! お前達も出てこい!」
ウィング(オオスバメ)『オッケー!』
ユナ(ロコン☆)『うわぁ、おっきいポケモンさん…』
ユナはグラードンとカイオーガ、それにレックウザのセシルを見上げる。
すると、グラードンとカイオーガはユナのほうをにらんできた。
ユナ『きゃっ! こわいよぉ…。』
ユウキ「ユナ、大丈夫だ! 行くぞ!」
ハルカ「コローネ、コーラス、GO! 相手を弱らせるのよ!」
コローネ(エネコロロ)『オッケーよ!『だましうち』っ!』
コーラス(ペリッパー)『わかりました!『ちょうおんぱ』っ!』
コローネはカイオーガにだましうちで攻撃。
そしてコーラスはちょうおんぱで相手を「こんらん」させた。
ハルカ「やった!」
ところが、2匹はめちゃくちゃな攻撃を始めた!
こんらんして、訳が分からなくなっているせいだろう。
カイオーガは、その巨体でこちらにのしかかろうとしている。
ヒスイ(キルリア)『く…『サイコキネシス』…!』
ヒスイはサイコキネシスでカイオーガの攻撃を止める。
だが、そこにグラードンの攻撃がせまる!
グラードンの鋭いツメが、2人とポケモン達に振り下ろされる。
セシル《く…!》
セシルはグラードンのきりさく攻撃を受け止めていた。
セシル《どこを見ている? お前達の相手はこの2人だけではあるまい。我にかかってくるがいい。》
ディークス《私共(わたくしども)もおります、セシル様。》
ディアー《このかわいいあたしをムシするなんて! 見る目無いね、お2人さん!》
ディアーは威勢良く、グラードンとカイオーガの2匹に言った。
グラードンとカイオーガは、その3匹の方を向いた。
ユウキ「よし、今だ! 総攻撃!」
カシス『よーし!『しんそく』!』
ルクス『『10まんボルト』!!』
ヒスイ『『サイコキネシス』…!』
ウィング『『つばめがえし』っ!』
コーラス『『なみのり』っ!』
いっせいに攻撃をしかける。
だがユナは…
コローネ『ユナちゃん、どうしたの?』
ユナ『こわいよぉ…。』
ユウキ「こわがるなよ、ユナ。」
ユナ『だって…。』
ユウキ「ユナ、こわがって前に出れないんじゃ、強くなれない。確かに、あんな強〜いポケモンを相手にすればたいてい誰でもこわいと思うさ。」
ユナ『じゃあ…なんでみんなは戦うの?』
ユナの問いには、ユウキのポケモンたちが答える。
ウィング『それはさ、戦う事でユウキの役に立ちたいから!』
ルクス『まぁ、理由は色々あるよ。』
カシス『強くなりたい!とか、早くなりたい!とか。あ、後のやつオレだけ?』
ユウキ「そういうこと。こわがって前に出れないままじゃ、成長できないよ。」
ユナ『そっか…』
と、そんな時!
グラードンのめちゃくちゃに放った炎攻撃が、ユウキのほうに飛んでくる!
ユウキ「!?」
ユナ『危ないっ!』
とっさにユナがユウキの前に飛び出て、大の字型の炎…だいもんじを受け止めた。
ユナはとくせい「もらいび」のおかげで、ノーダメージだ。
ユウキ「ユナ…」
ユナ『ユウキ、あたしもみんなみたいに、あなたの役に立てる?』
ユウキ「…! もちろん!」
ユナ『わかった!』
ユナは思いっきり息を吸い込むと…グラードンとカイオーガに向かってほえた。
ユナ「コオォ――ンッ!!」
ユウキ「! これって…『とおぼえ』?」
ハルカ「でも、ロコンは普通『とおぼえ』を覚えない…まさか?」
ユナ『『かえんほうしゃ』―っ!!』
「もらいび」で威力の上がった炎攻撃。
グラードンにダメージを与える事ができた。
いまだにこんらんの解けないグラードンは、さらに四方八方、だいもんじを打つ。
ユナは炎を受けて、炎技の威力が高まっている。
ユナ『『かえんほうしゃ』っ!!』
ユウキ「よーし…みんな、行け!」
ルクス『オッケー!』
ハルカ「あなた達もよ!」
コーラス『わかっています!』
全員、一斉攻撃。
ディアー《『ミストボール』!!》
ディークス《『ラスターパージ』…!》
セシル《『ドラゴンクロー』!》
全員の攻撃がうまくヒットし、グラードンとカイオーガはよろける。
だが、この攻撃で2匹は我に返った。
グラードンは重たい足を上げ、じしんを起こそうとする!
ディアー《それなら、『サイコキネシス』…!》
ディアーはさっきのように、ユウキ達を浮かせようとする。
だが技を発動させる直前、カイオーガの冷凍ビームがディアーを襲った!
ディアー《きゃあぁ!》
ディークス《ディアー!》
カイオーガ《同じ手を2度食うほど我らもバカではない…!『れいとうビーム』…!》
今度はディークスが直撃を受ける。
ディークス《うぅ…!》
そこへ、グラードンがじしんを起こした!
ユウキ「うわあぁ!」
ハルカ「きゃあっ!」
ウィング『ユウキ、つかまって!』
コーラス『ハルカさんも!』
ユウキとハルカは、鳥ポケモンにつかまり、直撃は何とかまぬがれた。
だが、他のポケモン達は、じしんによって大ダメージを受けた。
ほとんどが「ひんし」してしまっている。
ユウキ「く…みんな戻れ!」
ハルカ「戻って!」
2人がポケモンを入れていたボールを手に取った、その時!
ガラガラッ!  今のじしんの影響で、天井の岩盤の一部が崩れ、2人の頭上に落ちてきた!
ユウキ「うわぁっ!?」
ハルカ「きゃ――っ!」
岩の直撃を受け、2人はウィングとコーラスごとじめんに墜落。
ユウキ「う…っ!」
ハルカ「く…」
2人とも怪我をしてしまっている。
落ちたときは、ウィングとコーラスがクッション代わりになっていたが…それでもダメージは大きかったようだ。
ウィング『ユウキ! ユウキ!』
コーラス『ハルカさん! 2人とも大丈夫ですか?』
心配そうな表情の2匹。
ユウキ「な…何とか…」
ハルカ「あ…モンスターボールが!」
ユウキとハルカのポケモンの入っていたモンスターボールは、開閉スイッチが壊れて、使えなくなっていた。
ユウキ「くそ…っ! とりあえずこいつらを戻さないと…」
ハルカ「そうね。」
2人は新しいモンスターボールで、ひんししたポケモンを全員戻す。
ハルカ「これでモンスターボールがなくなっちゃった…残りはスーパーボールと、ダイゴさんにもらったハイパーボールだけ…!」
ユウキ「ヤバイな…でも、絶対あきらめないぜ!」
そのころ、ルネシティでは…
マツブサ「! またじしんか…」
フヨウ「グラードンの起こしたものよ。ユウキ君にハルカちゃん、大丈夫かしら…」
ダイゴ「今は…信じるしかないよ。」
と、その時…
ミツルのサーナイト、ミライがいきなりボールから飛び出した。
ミツル「わっ! どうしたんだい、ミライ?」
ミライ『ミツル…! あの2人が危ないみたいだ!』
アオギリ「なんだって!?」
ミツル「本当かい、ミライ?」
ミライ『悪い予感がするんだ…』
ナツキ「うっそ! …こうしちゃいられないっ!」
ナツキはめざめのほこらの入り口へ走る。
だが、ミクリがそれを止めた。
ミクリ「だめだ! 中ではどんな事が起きているかわからない! 今入っていったせいで君まで巻き込まれたら…!」
ナツキ「止めないで! あたしだってユウキとハルカの仲間なんだから! それとあたしの名前は『君』じゃないの!」
無理にでも行こうとするナツキ。
ミツルも口を開く。
ミツル「ボクだって…あの2人が心配なんです! 行かせてください!」
ミクリ「しかし…!」
ミツル「通してもらえないのなら…! ナツキさん、来て!」
ナツキ「うん!」ミツルとミライの所へ行く。
ミツル「ミライ、『テレポート』だ! 2人のところまで行こう!」
ミライ『…わかった。』
ダイゴ「…! 待つんだ、2人とも!」
ミライ『『テレポート』…!』
2人とミライが光に包まれる。
次の瞬間には、彼らの姿はそこから消えていた。
ミクリ「…全く、なんて子供達だ。」
フヨウ「あの2人の仲間を思う気持ち、無理に止める事は無いわ。見守ってあげましょうよ…。」
ダイゴ「そうだな…あの2人なら『テレポート』が無くても、無理にこの中へ入って行っただろうね…。」
ユウキとハルカのピンチ! ミツルとナツキも動き出した。
次回、決着なるか…!?
後編に続く!
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華苗 #6★2004.04/26(月)19:00
【第93話 大地の化身、海の化身との戦い〔後編〕】
ユウキとハルカは、ケガを負ってしまい、手持ちポケモンの半分もが「ひんし」してしまっている。この状況を打開し、伝説の2匹をゲットできるのか…!?
ユウキ「行くぞ、ウォン、ゲイル!」
ハルカ「アール、ランス!GO!」
ウォン『やっと出番か!』
ゲイル『オレの感じた‘災い’…こいつらに因る物か。』
グラードンとカイオーガを見上げるゲイル。
アール『ハルカ、ケガ大丈夫?』
ランス『無理するんじゃないぞ!』
ハルカ「大丈夫…平気よ。このくらいの怪我、どうって事ないわ!」
ユウキ「ディアー、ディークス! そっちは大丈夫か?」
ディアー《大丈夫…!》
ディークス《今回復する…『じこさいせい』!》
2匹は自己再生で、カイオーガからのダメージを回復する。
セシル《ディアー、ディークス。まだ戦えるな?》
ディアー《はい。》
ディークス《もちろんです…。》
セシル《ならば良い。…ん? どうやらこのほこらに誰かが入ってくるようだ…。》
ユウキ「え? 一体誰だろう…」
と、その時、2人の近くに、ミツルとナツキ、サーナイトのミライが現れる。
ハルカ「ミツル君に、ナツキ!? 入れないんじゃなかったの?」
ミツル「ミライが『2人が危ないみたいだ』って言うから心配になって…ミライの『テレポート』で来ちゃったんだよ。」
ナツキ「2人とも、ケガしてるじゃない! 大丈夫?」
ハルカ「少し痛むけど…大丈夫よ。悪いけど、バトルの手助けしてくれない?」
ナツキ「OK!助太刀するよ! ゼット、ライカ、GO!」
ナツキはライチュウとピジョットを繰り出す。
ミツル「ボクも! リュク、行ってきて!」
リュク(ジュプトル)『わかった…』
ユウキ「グラードンとカイオーガの体力を削るんだ!」
ナツキ「わかったよ!ゼット、『フェザーダンス』!」
ゼットは細かい羽毛を大量に相手にふりまいて、相手の体にからませる。
ミツル「リュク、『いやなおと』だ!」
リュクは両腕の葉同士をこすり合わせていやなおとを出し、相手の防御力を下げた。
ライカ『ゼット、行くぞ!』
ゼット『あぁ。』
ライカはゼットの背に乗る。そしてゼットは相手の頭上へ飛ぶ。
グラードンとカイオーガの真上まで来たところで、ライカはゼットから飛び降り、攻撃の体勢になった。
ライカ『行くぜ…! 必殺『かみなり』〜っ!』
ライカのかみなりは矢のように落ち、カイオーガに直撃!
だがカイオーガは反撃に、ゼットに向かってれいとうビームを撃つ!
ナツキ「ゼット!『れいとうビーム』を受けて!」
ユウキ&ハルカ「「えっ!?」」
ゼットはれいとうビームを受ける。
鳥ポケモンにはきつい攻撃だ。体力は大きく減ったが…
ナツキ「よーし…グラードンに『オウムがえし』よ!」
ゼット『行くぞ!『れいとうビーム』!』
ゼットのれいとうビームはグラードンに命中!
ハルカ「よーし…スーパーボールよ!」
ハルカは2匹に向かってスーパーボールを投げつけた!
だが、グラードンとカイオーガはボールに吸い込まれる事なく、ボールを弾き返した!
ハルカ「…! やっぱりスーパーボールじゃだめなのかな…」
ボールをキャッチしながら、ハルカが言った。
ユウキ「まだハイパーボールがある! 大丈夫だ!」
ミツル「よし…ミライ、『さいみんじゅつ』だ!」
ミライ『わかったよ!』
ミライは相手を眠らそうとしたが、グラードンのツメがミライに向かって振り下ろされる!
ミライ『くっ…『テレポート』!』
テレポートで瞬間移動し、かわすことができた。
ユウキ「よし! ウォン、『だくりゅう』! ゲイルも攻撃を!」
ウォン『了解だゼ!』
ゲイル『『つるぎのまい』から…『きりさく』!』
ウォンは泥水で相手に攻撃。ゲイルも攻撃力を上げてからきりさくで攻める。
ハルカ「アール、『かえんほうしゃ』!ランスは『マッハパンチ』よ!」
アール『わかったわ!』
ランス『よーし!せやッ!』
かえんほうしゃで攻撃するアール。ランスは伸びる腕で素早くパンチを繰り出す。
だがそこへ、カイオーガのハイドロポンプがせまる!
ウォン『よぉし…『まもる』!』
ウォンは味方の前に出て、まもる で攻撃を防いだ。
リュク『『リーフブレード』っ!』
鋭く光る葉の刃。見事命中し、グラードンとカイオーガはふらつく。
ユウキ「行け、ハイパーボール!!」
ボールは2匹を吸い込む。が、またしてもゲットは失敗。
2匹はボールから出てきてしまう。
ユウキ「く…残り3個だけか!」
ハルカ「次で決めなくちゃ…!」
セシル《あせるでない、少年少女よ。》
ユウキ「セシル?」
セシル《少しの間…時間を作ろう。こやつらを確実に捕らえる事のできる方法を…考えるが良い。》
ナツキ「そうは言っても…これ以上どうすれば?」
4人とポケモン達は首をひねる。
その間、グラードンとカイオーガは弱っているにもかかわらずセシルたちに攻撃していた。
ミツル「ゲットする時ボールから出ちゃうのは、まだ抵抗する力があるって事だよね。」
リュク『誰もが無防備になる状態と言うと…「ねむり」…か?』
アール『それよ! ミライ君の『さいみんじゅつ』が使えるわ!』
だがミライは困った表情だ。
ミライ『僕の『さいみんじゅつ』じゃ、成功率が低いんだよ…』
ライカ『そっかー…』
と、それまで首をひねって考えていたハルカが、声をあげる。
ハルカ「成功率…! それならランスが一番よ!」
ゲイル『ランス…お前の事か?』
ゲイルはキノガッサ・ランスの方を見る。
ゲイルはまだ比較的新入りなので、ランスにそう問うたのだ。
ランス『あぁ。オイラにできる事があるのかい?』
ハルカ「うん!」
そして、ハルカはグラードンたちに向き直る。
セシル《策はあったか?》
ハルカ「もちろんよ! ランス、行って!」
ランス『わかったぞ!』
ハルカ「行くわよ…『キノコのほうし』!」
ランスは眠くなる効果のある胞子を相手にふりまく。する途、2匹はたちまち眠り始めた!
ユウキ「おぉー! すげーじゃん!」歓声を上げるユウキ。
ハルカ「成功率はほぼ100パーセントなの!」
ウォン『ランス、でかしたゼ!』
ランス『えっ! えへへ…』
ナツキ「2人とも、今よ!」
ユウキ「わかってる…」
ハルカ「これが勝負ね!」
2人は深呼吸をして気持ちを落ち着かせ…そして叫んだ。
ユウキ&ハルカ「「ハイパーボールッ!!」」
掛け声と同時に、グラードンとカイオーガにハイパーボールを投げつけた!
ボールは2匹をすいこみ、地面に落ちてゆれ始める。
とたんに辺りが静寂に包まれた。
1回… 2回… 3回… ボールがゆれるのを、祈る気持ちで見守る。
緊張の一瞬――…  そして。
 カチッ☆
そんな音が辺りに響き、ボールのゆれが止まった。
ユウキ「…! ゲット、できた…?」
ハルカ「…本当に…? 本当に、ゲットできた…?」
ハルカはボールに近づき、何回かつついてみる。
もちろんだが、出てくる気配はない。
ナツキ「…そうよ! ゲットできたんだ!!」
ミツル「や…やったぁ!」
たちまち、彼らの歓声が洞窟の中に響きわたる。
ディアー《ユウキ、ハルカ、ケガは大丈夫?》
ユウキ「ああ! お前達は?」
ディークス《心配するな。オレ達は大丈夫だ。》
ハルカ「良かった…! みんなも、ありがとう!」
ユウキ「お前達も、よくやったな。戻って休んでてくれ。」
4人はそれぞれポケモンをボールに戻した。
セシル《それでは…地上まで送るとしよう。》
ユウキ「あぁ!」
ディアー《お2人さん、これを忘れないでよね。》
ディアーはグラードンとカイオーガの入ったボールを持っている。
ユウキ「おっと…ごめん。」ボールを受け取りながら言った。
ディークス《それでは、行くとしようか…》
4人「うん!」
ユウキ、ハルカ、ナツキ、ミツルの4人は伝説のポケモン達の背に乗り、目覚めのほこらから外のルネシティへ。伝説の戦いの幕が、ついに下りる…。
 つづく
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華苗 #7☆2004.04/26(月)19:06
【第94話 →ルネシティ 三大化身集結!】
ルネシティのめざめのほこらの前では、ダイゴとフヨウ、ミクリがユウキ達の帰りを待っていた。
ミクリ「ん…!? ダイゴ、彼らが戻ってきたようだ!」
ダイゴ「本当か!?」
そしてそのあとすぐ…
洞窟から、レックウザが出てきた!
セシルの体が抜け出たところで、ディアーとディークスに乗った4人も出てくる。
ダイゴ「みんな!大丈夫か?」
ユウキ「はい!」
4人はディアーとディークスの背から降りる。
フヨウ「ユウキ君、ハルカちゃん…ケガしてるじゃない!」
ハルカ「大丈夫ですよ…。」
と、その時。
ディアー《はーい! みんな、こっち注目〜!》ディアーが大声で言った。
ディークス《ユウキ、ハルカ。2匹を渡すんだ。》
ユウキ「あ…ああ。」
2人はグラードンとカイオーガの入った2つのハイパーボールをディークスに渡す。
ディークス《セシル様…》
セシル《うむ。》
セシルはハイパーボールを手に取る。
セシル《こやつらは我が友…陸と海と空の力をそれぞれつかさどる。
我等はまとめて…三大化身と呼ばれる。》
ミツル「陸、海、空…グラードンが陸、カイオーガが海、そしてセシルは空の力を持ってる…って事?」
セシル《その通り。そして今なら、こやつらの膨大なエネルギーが暴走する事もなかろう…。いでよ!》
セシルはハイパーボールを投げる。
そして…カイオーガとグラードンが、ルネシティの町に繰り出される。
カイオーガ《…? セシル、我等はなぜこのような所にいるのだ?》
グラードン《記憶が一部途切れているが…何事だ?》
セシル《お前達は、この世界を破滅させかけたのだ…!》
威厳に満ちた声で、セシルが言った。
セシル《少しは自覚せんか。…まぁ、全ての責任がお前達にあるという訳ではないがな…。》
グラードンとカイオーガは顔を見合わせる。
カイオーガ《む…よく解らないが…我らがそなた達に迷惑をかけたようだな…。我が名はネイブル。海の化身、カイオーガ。》
グラードン《我は陸の化身、グラードン。名はアーミッドと言う。我らにできる事はないか?》
ユウキ「できること…か。とりあえず…ルネの湖、水かさがすごい増えちゃってるから、まずはココ頼むよ。」
アーミッド《承知した…!》
セシルによく似た、アーミッドの金の瞳が光る。
そして…湖の水がどんどん蒸発していくではないか!
ミクリ「これは…!」
そして、元の水かさまで戻ったころ、蒸発が止まる。
ハルカ「これがグラードンの力!」
ユウキ「ありがとう! それと、ホウエン中のあちこちで大雨や日照りの被害がでていると思うから…そっちも何とかできないか?」
ネイブル《やってみよう…。》
ハルカ「あっ! でも、伝説のポケモンをそんな所まで連れて行ったら、すっごい目立っちゃうんじゃ…」
セリフの途中で、セシルが言う。
セシル《我等は姿を変えられる。なんであれば、今やって見せよう。》
セシルは他の2匹と目配せし、次の瞬間―。
パチン! 大きな音がしたと思ったら、3匹のいた場所には、それぞれ人間が立っている!
ミツル「え…これが人の姿?」
セシル「そうだ。」
セシルだと思われる、エメラルド色の髪、金色の瞳をした人間。
ネイブルのいた湖には、藍色の髪の人間が水面に(!)立っている。
アーミッドは紅色の髪。3人とも、どこかの民族衣装のような変わった服を着ていた。
セシル「どうだ? なかなかの物だろう。」
ユウキ「すげー!」
ミツル「どうやったんでしょう…」
その時…
「何だ、今のは!」
声に驚いて振り向くと、そこにはルネの住民が。
「ポケモンが…人間に!?」
「それにあの2匹は、ラティアスとラティオスじゃないか!」
ざわざわ。 ざわっ… 人々の声がざわめく。
ディアー《あっちゃー…見られちゃったか!》
ディークス《セシル様、どういたしましょう?》
ディークスが何かを聞く。
セシル「かまわん。」
ディークス《かしこまりました…》
ディアー《お兄ちゃん、行くよ?》
そして2匹は自分たちの姿を見えなくする。
ただし、ユウキ達には見えるように、だが。
「な!? ラティアスとラティオスが…消えた!?」
2匹は人々の方を向き…声高らかに言った。
ディアー&ディークス《 デ リ ー ト ! 》
一瞬、辺りが目を射る光でうめつくされる…
だがやがて、そのまぶしい光はおさまった。
そして、人々は…
「あれ? 私何で外に…?」
「おかしいなー…」
そんな事を言い、首をかしげながら、それぞれ自宅へと戻っていく。
その様子を見て、ハルカが言った。
ハルカ「ディアー、ディークス、今何したの?」
ディークス《今起きた事の記憶消去だ。》
ディアー《それでは…セシル様。》
セシル「うむ。それでは、行くとしよう。」
ネイブル「あぁ。」
ナツキ「ん〜… なんかめちゃくちゃ目立ちそうな格好だね。」
ナツキがアーミッドとネイブル、セシルのほうを見やる。
アーミッド「気にする必要はない。」
ユウキ「セシル、協力してくれてありがとう!」
ユウキの言葉に、セシルは微笑を浮かべる。
セシル「フフ。我が力は強大よ…我はこの大空ほどの、大きな力を持っている。
また我が力を貸す必要があるときがくれば、いつでも呼び出してかまわん。」
ハルカ「すごいわね…。ついでにしゃべり方も目立ちそうね。」
ネイブル「こればかりは仕方ないのだ。癖なのでな…」
アーミッド「それでは…また会えるといいな。」
セシル「運命の少年少女たちよ…。」
そして3人は姿を消した。
と同時に、ルネの空がエメラルドから普段のようなスカイブルーに戻る。
元通りの美しい、ルネシティの空に。
ユウキ「行っちゃったなー…」
ミツル「そうだね。」
ミクリ「実物のカイオーガをこの目で見ることができたなんて…感激だ…!」
ダイゴ「グラードンも…とても威圧感のあるポケモンだったね。」
ナツキ「そういえばさ、ディアーもディークスもセシルには敬語だったよね!」
ディアー《そうよ! セシル様は尊敬に値する方だもの!
お兄ちゃんなんてセシル様の前では自分のこと「私」だし。》
ディークス《何か悪いのか? …もともとオレはカタイ言葉遣いは苦手だが…セシル様の前では敬語が当たり前だ。》
なぜだかムッとした顔で、ディークスが言った。
ハルカ「ふふっ。 …あれ…」
ユウキ「なんだろ… 力が抜け…」
バタリ。 2人はいきなり地面に倒れてしまった。
ナツキ「!? ユウキ、ハルカ!?」
ミツル「一体どうしたの!?」
ナツキとミツルは倒れた2人をゆする。  が。
ハルカ「すぅ――……。」
ユウキ「ぐぅ――…。」
ミクリ「…眠っているようだな。」
フヨウ「無理もないわね。伝説のポケモンとのバトルで疲れたんでしょう。」
ミツル「なんだ…びっくりしたぁ。」
ナツキ「ホントホント!」
ダイゴ「PCで部屋を取って、休ませてあげるといいよ。」
ミツル「でも、2人を運ぶの、どうする?」
ディークス《オレ達が運ぶ。》
ディークスはそう言ったが…
フヨウ「でも、ラティオスがPCに人間を運んだりしたら、大騒ぎになるわ!」
そう言い、ディークスを止めるフヨウ。
だがディアーはそれに対して、片目をぱちりと閉じて見せた。
ディアー《大丈夫! あたし達だって…!》
伝説の戦いが終わり、とりあえずは一安心。
そしてディアーとディークス兄妹は、2人をPCへ運んでいくのだが…?
 つづく
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華苗 #8☆2004.04/27(火)17:23
【第95話 危機が去って】
ホウエンの危機も去って、ユウキ一行は久しぶりの休息。
そしてここはPCの一室…
ユウキとハルカは2段ベッドで眠っている。
…だが、ベッドの近くにいる、よく似た男女は一体?
 …
「う〜ん…」
ユウキが目を覚ました。そのまま、辺りを見回す。
寝ぼけまなこで、ベッドのそばの少年を見上げた。
「ようやく起きたか。」少年はユウキに言った。
ユウキ「…? お前、誰だ?」
少年は青い髪をしていて、少し変わった服を着ている。
少年というには、少し大人びた顔つきだ。
鋭い真紅の瞳は、どこかで見覚えのあるものだった。
そして、その少年に似た少女は。
「ユウキ、おはよっ♪」
なぜかユウキの名を知っていた。
ユウキは全く知らないのであったが。
ユウキ「なんで、オレの名前を…?」
少女は赤い髪で、少年とよく似た服装だ。
まだ幼さを残す、愛嬌のある可愛らしい笑顔。
大きなこはく色の瞳も、やはり見覚えのある…。
ユウキ「…! お前達、ディアーとディークスか?」
ディアー「あったりー♪ よくわかったね!」
ユウキが口をパクパクさせながら、「何で…」と言おうとした時、
ディークス「オレ達も姿を変えられるんだ。」
すかさずディークスが言った。
ユウキ「へぇ〜…」
その時、ハルカも目を覚ました。
ハルカ「ユウキ、起きてたんだ…。あれ? そっちの男の子と女の子は〜?」
ユウキ「ディアーとディークスだよ。」
ハルカ「え…!? 2人とも、人間になれるの!?」
ディークス「あぁ。」
ハルカ「へぇ… あれ、ナツキにミツル君は?」
ディアー「朝食すませて外行ったよ。」
ユウキ「そっかー。そんじゃオレも…っと!」
ユウキは2段ベッドの上から飛び降り、部屋を出る。
ハルカもそれに続いた。
ディアー「元気だねー! あたし達もいこっか、お兄ちゃん?」
ディークス「あぁ、そうだな。」
2人は窓を開け、そこから飛び降りた!
ちなみにそこはPCの3階。
だが、ディアーは落下しながらも空中2回転を決め、見事着地。
ディークスも身軽に地面に着地した。
ナツキ「わぁお! ディアーやるね!」
外にいたナツキが声をあげた。
ディアー「えっへん!」胸を張るディアー。
その時、ユウキとハルカがPCから出てきた。
ナツキ「あ、2人ともおはよう!」
ミツル「おはようございます。」
ハルカ「おはよう!」
ユウキ「何してたんだ?」
ナツキ「ライカ達と遊んでたんだ!」
見ると、後ろにはナツキとミツルのポケモン達が。
ミツル「ユウキ君達もどう?」
ユウキ「いいな! みんな出てこい!」
ハルカ「私も! 出てきて、みんな!」
2人は手持ちポケモンを全員繰り出す。
そして、インカムのスイッチを入れた。
ユウキ「みんな、今日は自由に遊んでいいぜ!」
ハルカ「ルネシティの外には出ないようにね。」
ポケモン達『はーい!!』
そろって返事を返すポケモン達。
カシス(マッスグマ)『オレは早速ひとっ走りしてこよ!』
言うが早いが、すごいスピードで走っていくカシス。
ユナ(ロコン☆)『ウィング先パ〜イ! 乗せてもらっていいですかぁ?』
ウィング(オオスバメ)『先輩!? よーし、乗って!』
ウィングはユナを背中に乗せて、ルネの上空を飛び回る。
ランス(キノガッサ)『久しぶりにひなたぼっこができる〜♪』
スカイ『お姉ちゃん!』
リア『スカイ、お散歩しましょうか?』
スカイ『うんっ♪』チルタリス姉弟の2匹も、そろって飛んでいく。
思い思いの行動を取るポケモン達。
ユウキ「ハルカはどうする?」
ハルカ「私は…ひなたぼっこ。」
ユウキ「じゃあオレも。」
ユウキはしばふの上に寝転ぶ。
ハルカ「ふふっ。あ、アール、ウォン…リュクも。」
アール(ワカシャモ)『アタシも、久々にゆっくりしたくて。』
ウォン(ヌマクロー)『オレも同じく。』
リュク(ジュプトル)『たまにはゆっくり休まなくては、体が持たないからな。』
3匹はしばふに座り込む。
ユウキ「なぁ、ウォン…」
ユウキは美しいルネの青空を見て言う。
ウォン『なんだい?』
ユウキ「平和だな。」
ウォン『うん、そうだな。』
アール『よかったね、ホウエンを守る事ができて。』
ハルカ「うん。…でも、まだ信じられないよ。私達が、ホウエン地方を救ったなんて。」
リュク『全てはお前達のおかげなんだ…オレ達の故郷を救ってくれた。』
リュクの言葉に、ハルカは少しうなずく。
アール『だけど、ユウキはジョウトから来たんだよね。何でホウエンを救ってくれたの?』
ユウキ「なんでって、そりゃ…それができるのがオレ達だけだっただろ?」
リュク『確かにな。』
ユウキ「それに…もうオレにとっちゃ、ホウエンだって故郷なんだ。見過ごすワケにはいかなかった。ホウエンの色々な所、旅して見て回るうちにさ、ここの事もっと知りたいって、思ったんだ。」
起き上がり、息を吸い込んで、言う。
ユウキ「オレ、このホウエンが好きだよ!」
ハルカ「ユウキ…。」
照れたように鼻の頭をこするユウキを、ハルカは見ていた。
そこへ、ウィングとユナがやってくる。
ユナ『ウォン先輩ー!』
ウォン『お、ユナちゃん! 楽しかった?』
ユナ『はい!』
嬉しそうにうなずくユナ。
それを見て、ハルカが口を開いた。
ハルカ「そういえば…ユウキ、ユナが『とおぼえ』を使った時に思ったんだけど。」
ユウキ「なんだ?」
ハルカ「ユナは…きっと、レナとジンの子なのよ!」
ユウキ「…ジンの…!?」
ウォン『ジンか。元気かな?』
ジンとは、ユウキが初めてゲットしたポチエナ。今はグラエナに進化している。
レナは育て屋の老夫婦の色違いキュウコンだ。
ユウキ「ユナが…でも何でわかるんだ?」
ハルカ「『とおぼえ』は、普通のロコンには覚えられない技なの。きっとジンの技を引き継いだのね。」
ユウキ「そうか…」
ユナ『レナに…ジン?』首をかしげるユナ。
アール『ユナちゃんのお母さんとお父さんの名前。』
ユナ『ユナのお母さん、お父さん…どんなポケモンさん?』
ユウキ「レナはとっても綺麗で、礼儀正しいキュウコン。ジンは強くて、頼りになるグラエナ。前は…オレと旅してたんだ。」
ユナ『そうなんだ! 会ってみたいな…』
ユウキ「会わせてやるよ。旅が終わったらになるかもしれないけど。」
ユナ『うん、楽しみにしてる!』
ユナは満面の笑みを浮かべる。
それにつられて、見ている側も自然と顔がほころんだ。
と、そこへ…
アオギリ「ユウキ君に、ハルカちゃんだったな。」
現れたのは、マグマ団とアクア団のリーダー2人。
ユウキ「何の用だ?」
マツブサ「珠玉を渡してくれ。」
ハルカ「何に使うつもり?」
アオギリ「私達は、自分の手で珠玉をあの山に返しに行こうと思ってね。」
ユウキ「なんだ、そういう事なら、もちろん。」
2人はバッグから紅色と藍色の珠玉を取り出し、マツブサとアオギリに渡した。
マツブサ「ありがとう。」
ハルカ「そのかわり、私達も行くわ。」
ユウキ「フヨウさんはおくりびやまに戻っているよな。」
ハルカ「えぇ。ヒスイ、お願い!」
ハルカに呼ばれて、キルリアのヒスイがやってきた。
ヒスイ『はい。『テレポート』…!』
こうして4人とヒスイはおくりびやまへ飛んだ。
マツブサとアオギリの決意を乗せて―…。
 つづく
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華苗 #9☆2004.04/27(火)17:31
【第96話 →おくりびやま 全てが元の通りに…】
ミナモの南にそびえる山、おくりびやま。
そこの山頂に、ユウキ、ハルカとマツブサ、アオギリがキルリアのヒスイのテレポートで現れた。
フヨウ「あ、あなた達?」
フヨウがそこにいた。いきなり現れたユウキ達に、驚いている。
マツブサ「この間はすまなかった…。」
アオギリ「珠玉を返しに来たんだ。」
フヨウ「…そう! それならこっちに来て。」
フヨウについて、珠玉をおさめる台座のある場所へ。
そこには、老夫婦が立っている。
フヨウ「おじいちゃん、おばあちゃん!」
お爺さん「フヨウ…? その方々は?」
フヨウ「2つの珠玉を返しに来てくれたの!」
お婆さん「…まぁ! それなら…」
2つの台座の方に向き直り、お婆さんが言った。
お婆さん「さぁ、ここに紅色の珠玉と藍色の珠玉をおいて。」
言われた通り、マツブサとアオギリは台座の上に珠玉を置く。
すると…珠玉は淡い光を放ち、台座にしっかりとすいついた。
お爺さん「良かった…珠玉を返しに来てくださって、ありがとう。」
フヨウ「2人とも、この男の子と女の子がホウエンを救ってくれたのよ!」
ユウキ「フヨウさん…大げさだよ。」ユウキは照れたように頭をかく。
お爺さん「おお…なんと、この子供達が…」
お婆さん「ではあんた達が、ルビーとサファイアの生まれ変わり…」
ハルカ「はい。」
お婆さん「本当に…ありがとう。このホウエンを救ってくださって…」
ハルカ「いいえ! 私たちだけの力でホウエンを救えた訳じゃないです。」
ユウキ「ポケモン達と力を合わせて、できた事です。それに、沢山の人たちの協力もありました。こんなに支えてもらえていなかったら、オレ達、きっとこんな事できなかった。」
お爺さん「そうか…。」
するとお爺さんは、空を見上げ、また話し出した。
「わしら人間やポケモン達が命を持っているのと同じように、この大地や海だって生きている。この世界の3つの大いなる力…大地、海、空の力のバランスが取れていることによって、ホウエンの平和が保たれるのじゃ。」
ハルカ「裏を返せば、そのバランスが崩れると、世界中が危機にさらされるって事ね。」
…と、ずっと黙っていたマツブサをアオギリが口を開いた。
アオギリ「私は…何を考えていたのだろうな。自分たちの願望ばかり気にして、この世界がどうなるかなんて、考えもしなかった。」
マツブサ「いまさら気づいたって、過ちを犯したあとなんだ。オレ達の罪…許されるものだろうか?」
そのマツブサの言葉に、ユウキが言った。
ユウキ「2人がそのことに対して反省しているなら、許せるよ。それに、もう解決した後なんだし。」
少しの間、沈黙が流れる。そして…
マツブサ「君達に許してもらえて嬉しい。」
と、2人はクロバットにつかまる。
ハルカ「どこへ行くの?」
アオギリ「警察に…自首するよ。」
そう言って、2人は町のほうへ飛んでいった。
フヨウ「良かった…これで本当に、全てが元の通りに…戻るのね。」
ヒスイ『全てとは限らない。このことによって変わった人もいる。さっきの2人が、その例です。』
キルリアのヒスイはおごそかに言った。
フヨウ「そうね。…ね、リン。」
「チリッ!」
気がつけば、フヨウの隣には、風鈴のような姿のポケモンが。
ハルカ「このポケモンは?」ハルカが図鑑を開いた。
“チリーン ふうりんポケモン。風が強くなると、木の枝や軒下に頭のきゅうばんでぶらさがり、鳴き出す。長いシッポできのみをつまんで食べる。”
リン(チリーン)「チリッ♪」
ハルカ「そのポケモン、フヨウさんのですか?」
フヨウ「そうよ。アタシはゴースト一筋なんだけど…このコになつかれちゃって。ちなみにチリーンはエスパータイプよ。」
ユウキ「へぇ〜ッ。可愛いな!」
その時フヨウは、何か思い出した表情で口を開いた。
フヨウ「そういえば、ミクリにはもう挑戦した?」
ハルカ「あ、いいえ…。」
フヨウ「バッジを集めてるんでしょ?」
ユウキ「はい! 今7つあります。」
フヨウ「7つ! それならこれが最後のジム戦になるわね。ミクリは水タイプ使い。でも、弱点を攻めるだけじゃミクリには勝てないわ。」
リン「チリリン。」
ユウキ「ミクリさん、強そうだよな。」
ハルカ「ナツキに勝ったんだもん。」
フヨウ「でも大丈夫、あなたたちならきっと勝てるわ!」
ユウキ「フヨウさん…
ハルカ「ありがとう!」
おくりびやまの山頂に2つの珠玉が戻った。
そして明日、ルネシティで最後のバッジをかけてのバトルが行われる!
 つづく
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華苗 #10☆2004.04/27(火)17:38
【第97話 VSミクリ!最後のバッジを賭けて〔前編〕】
早朝、ルネシティ。
朝もやが湖に立ちこめて、昼間とは違った不思議な雰囲気を出している。
ユウキはウォン、ハルカはコーラス、ナツキとミツルはゼットに乗ってルネ湖を渡った先のジムへ向かう。
ナツキ「いよいよ最後のジム戦かぁ!」
ミツル「2人とも、がんばって!」
ユウキ「もちろん!」
ハルカ「がんばるわ!」
湖を渡って、ジムの前へ。建物の前には、ジムリーダー、ミクリの姿が。
ミクリ「ようこそ、挑戦者さん達。バトルするのは誰かな?」
ユウキ「オレとハルカです。」
ミクリ「わかったよ。それじゃ始めようか?」
ハルカ「え…待ってください。ジムのバトルフィールドは使わないんですか?」
ミクリ「君達とは、このルネの湖で戦うことにするよ。」
そう言われて、ユウキ達は改めてルネ湖を見渡す。
湖はとても広く、のびのびとバトルができそうだ。
それにしても、湖の周りに見物人が多い。しかも、その過半数は女性だった。
ミツル「なんか…女性の見物人が多いようですけど…」
ミクリ「見物人ではないよ。僕のファンクラブ会員と、応援団の方々さ。」
ミクリが見物人に向かって手を振ると…
女性陣『きゃあぁ〜v ミクリ様―っ!』
…黄色い声が起こった。
ミクリ「さて、それでは始めようか。ルールは水上バトル。トレーナーは水ポケモン一体に乗って指示をする。なお、その水ポケモンはバトルに参加できない。
君達はもう水ポケモンに乗っているね。では僕も…マルス!」
マルス「マ〜ズン。」
ミクリはいつかのナマズンを繰り出して、その上に乗った。
ミクリ「君達の使用ポケモンは2対ずつ。僕は手持ち総動員だ。このうち、トレーナーが決めた「主将」さえ倒せば勝てる。わかったかい?」
ユウキ「よーし、やってやろうじゃん!」
ハルカ「あ…そういえば、陸のポケモンは?」
ミクリ「それは大丈夫。ビーナス!」
ミクリが水面にボールを投げる。出て来たのはなんと、ミロカロスだ!
ミクリ「『れいとうビーム』だ。」
ビーナス「ミロ〜!」
れいとうビームで、水面の一部を凍らせ、足場を作る。
ミクリ「これで大丈夫だろう。」
ユウキ「準備OKか! よーし…ルクス、ゲイル!」
ハルカ「こっちは、ランス、アール!」
ユウキのライボルトとアブソル、ハルカのキノガッサとワカシャモが氷の上に立った。
ナツキ「え…ワカシャモを!?」
アール「シャモッ!」
ハルカ「炎タイプだって、水タイプに勝てるのよ! セオリーをひっくり返して見せる!」
ミクリ「たいした自信だね。でも、この僕に勝てるかな? さぁ、みんな出てきてくれ!」
ミクリはさらに3対のポケモンを繰り出した。
ハルカ「ラブカス、アズマオウに、トドグラーね。」
ミクリ「主将を決めてくれ。僕はミロカロスのビーナスだ。」
ユウキ「ハルカ、どうする?」ユウキはハルカに聞いた。
ハルカ「アールにさせて。」
ユウキ「いいぜ。がんばろうな!」
ハルカ「うん!」
ミクリ「ワカシャモか…炎タイプで僕に挑む人がいるとはね。まぁ、楽しませてくれよ。」
ナツキ「ハルカー!ユウキ!絶対負けんじゃないわよ!」
ユウキ&ハルカ「「うん!」」
こうして、最後のバッジを賭けたバトルが始まった!
ユウキ「先手必勝!ルクス、『10まんボルト』で攻撃だ!」
ルクス「ライボォルッ!」
バチバチッ! 10まんボルトが相手を襲う!
ミクリ「フッ…ジュピター、『オーロラビーム』。」
ジュピター…トドグラーは、虹色の光線で電撃を相殺させる。
ユウキ「なにっ!?」
女性陣『きゃ〜っ、ミクリ様素敵〜!!』
観客の方では大騒ぎだ。ミクリのファンは近所迷惑など気にしていない…。
ナツキ「あれっ、ダイゴさん?」
人ごみの中、ナツキはダイゴの姿を見つける。
ダイゴ「ミクリには単調な攻撃じゃ通用しない…この勝負、どうなるかな?」
ハルカ「ミロカロスを狙って!ランス、『ギガドレイン』!」
ランス「キノォ〜ッ!!」
ミクリ「ビーナス、かわすんだ。」
ビ−ナス「ミロッ。」
長い体をくねらせて、攻撃をかわすビーナス。
ミクリ「それではこちらから…!ジュノー、『メロメロ』攻撃だ!」
ジュノーというのはラブカス。ちなみにメスのようだ。
ジュノー「ラブ〜ッv」
ルクス「ライッ。」
ゲイル「アブ…。」
2匹は興味無さそうにそっぽを向いた。
アールにいたってはメスなので技の対象外。
だが、ランスは…?
ランス「キノォv キノ〜v」どうやらメロメロにかかってしまったようだ。
ミクリ「いいぞ、ジュノー。次はアポロ、『ダイビング』!」
アポロと呼ばれたアズマオウは、水中に身をひそめた。
どこから出てくるのか…?
ユウキ「それなら、ルクス、水中に『10まんボル』…」そう言いかけたが。
ミクリ「いいのか?自分達までしびれてしまうぞ。」
ユウキ「そ、そうか…。」
ハルカ(あのアズマオウ、どこから出てくるの…?)
ユウキ(きっと誰かの足元を突き上げるんだと思うけど、どこに…!?)
と、その時氷の隙間からアポロの影が見える。それはアールを狙って進んでいた!
アールに直撃すれば、足場も崩されて湖に落ちてしまう!
水が苦手なアールにはひとたまりもないだろう。
ユウキ「(ハルカに知らせれば標的を変えられちまうかも…よし!)ルクス、アールを突き飛ばせ!」
ハルカ「えっ!?」
ルクス「ラ…ライ!」
ルクスは一瞬ためらったようだが、指示通りにアールを突き飛ばす。
その時、アールの立っていた場所を、アポロの角が突き上げる!
なんとかアールが攻撃を受けるのを阻止できた。
ユウキ「今だルクス!『スパーク』!」
ルクス「ラァーイッ!」
アポロ「アズッ…!」
スパークは見事命中。アポロに大ダメージを与えた。
ユウキ「やったぜ!」
ハルカ「そういうことか。ユウキ、サンキュ!」
アール「シャモ!」
ユウキ「いいって!よし、次の攻撃だ!」
ゲイル「アブルッ!」
ゲイルは相手に向かってかまいたちを放つ。
ミクリ「フフ、そんな攻撃では僕を倒す事はできない。ビーナス、『みずのはどう』で押し返すんだ。」
ビーナス「ミロッ!」
双方の攻撃がぶつかり合う! 結局攻撃は打ち消された。
ミクリ「フフ。僕のポケモンにダメージを与えるには、もう一捻り欲しい所だね。」
女性陣『きゃ〜っ! ミクリ様かっこい〜!』
ミツル「…すごい声援…」
ディアー「気おされちゃダメ!あたし達もよ!2人ともがんばれ〜!!」
夢幻の兄妹竜、ディアーとディークスも人の姿で応援に来ていた。
ディアーは女性陣に負けじと大声で声援を送る。
ディークス「やれやれ…。こんなでかい声援、正直言ってうるさいとは思わないのか?あのミクリって奴は。」一方、ディークスは呆れ顔だ。
ナツキ「それより…2人とも、負けるなーッ!」
ユウキとハルカは、腕を組んで考える。
ユウキ「一捻りが必要…か。」
ハルカ「どうすれば…?」
ミクリのポケモンに2人の攻撃が届かない。
2人が勝利をつかむには、どう戦えばいい…?
 つづく
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華苗 #11☆2004.04/28(水)17:44
【第98話 VSミクリ!最後のバッジを賭けて〔後編〕】
攻撃をなかなか当てる事ができずにいる2人。
対してミクリは余裕の笑みを見せている。
2人はミクリを倒せるのだろうか…?
女性陣『がんばれ、ミクリ様〜v』
ミクリ「ありがとう! ビーナス、水面に『みずのはどう』!」
ビーナス「ミロ〜ッ!」みずのはどうはルネ湖全体に広がり、水面を揺らす。
ユウキ「うわっ!? 」
ハルカ「きゃっ!」
揺れは大きく、2人はポケモンの上で立っていられない。
ハルカ「ランス…『キノコのほうし』!」
ランス「キノ〜ォv」
ランスに指示を出すが、メロメロのせいで技が出せない。
ハルカ「これをどうにかする必要があるわね…」
ユウキ「ラブカスを倒せば…!よし、ゲイル、『かまいたち』!」
ゲイル「アブルッ!」
ミクリ「無駄だよ…ジュノー、『みずのはどう』!」
ジュノー「ラブッ!」
かまいたちとみずのはどうがぶつかる。
ユウキ「ルクス、『10まんボルト』で攻撃!」
ルクス「ライッ!」
風の刃に電撃が混ざり、みずのはどうを押し返す。
ジュの「ラ…ラブッ!」
ジュノーは力負けして、攻撃を受けてしまう。
アール「シャモーッ!」
アールはジュノーに向かって炎を浴びせる!すると…
 ドッカーン!! なんと、爆発が起こった!
ナツキ「何々?今のどうしたの!?」
ダイゴ「水を電気分解すれば、水素が発生する。そこへ炎と来れば…大爆発が起こる事になるんだ。」ダイゴが説明した。
ミツル「そうなんだ…」
爆発で、ミクリのポケモン達はダメージを受ける。
そして、その影響が大きかったジュノーは、戦闘不能になっていた。
ミクリ「ああっ、ジュノー!」
ジュノー「ラ…ブ。」
女性陣『イヤ〜ン、ミクリ様に何するのッ!』
怒号が発せられる。
ランス「キノ…!?」ランスは目が覚めたような顔をした。
ハルカ「ランス!メロメロが解けたのね!」
ユウキ「しっかし…この声援どうにかならないのか?」
と、その時… フッ、と周りから音がしなくなった。同時にディークスの声が聞こえる。
ディークス『ちょっと小技を使ってみた。これで戦いやすいだろ?』
ハルカ「! ディークス、ありがと!」
ユウキ「よーし、行くぜ! ルクス、『でんじは』!」
ハルカ「ランス、『マッハパンチ』よ!」
ルクス「ライッ!」
ランス「ガァッサ!」
でんじはで相手のポケモン達を「まひ」させる。
そこに、ランスが素早いパンチで攻める!
アポロ「アズ…!」
ジュピター「トド…」
ビーナス「ミ…ロ!」
ミクリ「…! 中々やるようだね。だが…ジュピター、『みずのはどう』だ!」
ジュピター「ト…ド!」
みずのはどうがポケモン達を襲う!
ミクリ「続いて…ビーナス、『れいとうビーム』で攻撃だ!」
ビーナス「ミロ〜ッ!」
ハルカ「みんな、かわして!」だが!
カキーン…! れいとうビームが直撃し、ポケモン達が凍り付けになってしまった!
アールはとっさにかわせたのだが、後の3匹は反応が遅れたようだ。
ミクリ「フフ…これであとはそのワカシャモを倒せば僕の勝ちだ。」
アール「シャモ…!」
ハルカ「アール、あきらめないで!」
ユウキ「そうだ!」
ミクリ「もう無駄だよ!さぁ、一斉攻撃だ!」
相手3匹からの、みずのはどうの連続攻撃!
ハルカ「アール、かわすのよ!」
アール「シャモ!シャモ…!」
アールは2発はかわしたものの、3発目の攻撃を受けてしまう。
ミクリ「おや、中々しぶといね。」
ユウキ「アールがんばれ!」
ハルカ「そうよ!あきらめないの!」
アール「シャモ…。」アールはあきらめたような表情だ。
と、そこへ。
ウォン「クロォ!クロクロッ!」ウォンはアールに何か言う。
アール「シャモ…?」
2人はインカムのスイッチを入れた。
ウォン『アール、こんなトコであきらめちまっていいのかヨ!』
アール『でも…アタシじゃ水タイプ3匹になんて、かなわない…』
うつむくアールに、コーラスも言う。
コーラス『アールさんらしくありませんよ? 相性をひっくり返すんでしょう?』
そのセリフで、アールはハッと顔を上げる。
ユウキ「そうだ!お前1人だってがんばれば、きっと勝てる!」
ハルカ「そうよアール!炎タイプの意地を見せてやりましょう!」
アール『そうだ…アタシは、アンタ達に勝つんだ!』
その時、アールの体を赤いオーラが包んだ!
アール『これは…!?』
ハルカ「ワカシャモのとくせい『もうか』よ!体力が減った時炎技の威力が上がるの!」
アール『よォし!『ほのおのうず』−っ!!』
アールの炎は、ミクリのポケモン達だけでなく、凍らされた3匹をも包み込んだ!
ミクリのポケモン達は、熱でダメージを受けている。
ミクリ「やる気を取り戻したようだね。そうこなくては。」
ウォン『でもナァ…相手は3体!』
コーラス『いえ…このバトルでは、ミロカロスさえ倒せばいいんです。』
と、その時…ほのおのうずに包まれていたせいで、こおり状態が解けた!
ユウキ「みんな!」
ゲイル『やっと動けるか…』
ランス『アール、ありがとな!』
ルクス『僕達だってついてるよ!』
アール『みんな…!』
ハルカ「行くわよ!アール、ミロカロスを狙って!」
アール『オッケー!『スカイアッパー』!』
水上を走る勢いで、ミロカロスに向かっていくアール。
ミクリ「アポロ、ジュピター。ビーナスを守れ!」
だが、ミクリのポケモン達は、体がしびれて動けない!
アールはミロカロスに攻撃を決めた!
ミクリ「く…ワカシャモに集中攻撃だ!」
アポロ「アズ…!」
ランス『そうはさせないぞ!『ギガドレイン』ッ!』
ランスはアポロとジュピターの体力をすいとった!
2匹は急激に体力を失い、動けないほど弱った。
アール『後はアタシが…!』
ゲイル『オレも行くぜ…』
ミクリ「ビーナス、『たつまき』だ!」
たつまきは2匹にヒット。だが、アールのオーラはますます大きくなる。
まるで、アール自身の闘志であるかのように…!
ゲイル『これで決めるぞ…『かまいたち』!』
風の刃が、ビーナスの体を取り巻く。
ハルカ「アール、とどめの『かえんほうしゃ』!」
アール『アタシ達の、勝ちよぉー!!』
炎は風の刃と混ざり合い、より激しく燃え上がる!
ビーナス「ミ…ミ…ロ。」
この攻撃で、ビーナスは倒れた。
ユウキ「やっ…たぁ!」
アール『アタシが、勝ったんだ!』
そこに駆け寄る3匹。
ルクス『おっと、僕達を忘れないでね。』
ランス『やるな、アール!』
ゲイル『いい所は持ってかれちまったけどな。』
そしてアールは2人の方に振り向く。
アール『励ましてくれてありがとう、2人とも!』
ハルカ「どういたしまして。」
ウォン『オレを忘れるなヨ!』
コーラス『僕もですよ、アールさん?』
アール『そうだったね。ありがとう、みんな!』
そして、ミクリも口を開いた。
ミクリ「見事だ。君達の力を認めるよ。さぁ、これがレインバッジだ。」
ハルカ「これが最後のバッジ…!」
ユウキ「ありがとうございます!」
激しいバトルの末、ミクリに勝利する事ができた。
全てのバッジをそろえ、行く先は…?
 つづく
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華苗 #12☆2004.04/29(木)12:07
【第99話 最終目的地、サイユウシティへ】
ミクリ「これがルネシティジム認定トレーナーの証、レインバッジだ!」
ミクリの差し出した手には、雨粒をかたどったバッジが2つ。
ハルカ「これが最後のバッジ…!」
ユウキ「ありがとうございます!」
2人はバッジを受け取った。
そこへ、ナツキとミツルがかけ寄って来る。
ミツル「やったね!」
ナツキ「おめでとう!」
さらに、いつの間にかディアーとディークスも。
ディアー「良かったね!ね、お兄ちゃん!」
ディークス「ああ。」
そして、ダイゴもやってきた。
ダイゴ「おめでとう、2人とも。」
ユウキ&ハルカ「「ありがとうございます!」」
と、そこで。
『ミクリ様〜っ!負けちゃっても大好きで〜す!!』
女性陣が口々に言う。
ミクリ「ありがとう。これからも、応援してくれるかい?」
女性陣『もちろんで〜す!きゃあぁ〜v』
そのあと見物人達は、めいめい自分たちの家へと帰っていった。
そしてダイゴはユウキとハルカに話し始める。
ダイゴ「ついに全てのバッジをそろえたようだね。…ところで、2人とも、ポケモンリーグを知っているかい?」
ハルカ「知ってます!そこに着くには多くの試練を乗り越えなければいけない…そして本部には四天王と、トレーナーの頂点に立つチャンピオンがいるんですよね!」
ダイゴ「その通り。ホウエンのジムバッジを8つそろえた君達2人には、リーグ挑戦が認められる。やってみる気はあるかい?」
ハルカ「私はいいです。リーグに挑戦したかった訳じゃないので。私もユウキについて行けるように実力をつけたかっただけ。」
ダイゴ「そうか。ユウキ君はどうだい?」
ユウキに皆の視線が集まる。
ユウキはしばらくうつむいていたが、やがて口を開いた。
ユウキ「オレは…せっかくバッジを集めたんだし、自分の力がどこまでの物なのか知りたい。やれるところまでやってみようと思います!」
ダイゴ「いい心構えだ。ポケモンリーグは、ここから東に海を渡った先…ホウエン再東端の町、サイユウシティにある。」
ミクリ「そしてそこまでの試練も、生ぬるい物じゃない。それでも行く覚悟はあるか?」
ユウキ「…はい!」
ミツル「さすがユウキ君!」
ナツキ「もうこーなったら、とことん上を目指すのみね!」
ユウキ「おぅ!」
意気込むユウキに、ハルカも言う。
ハルカ「もちろん、1人で行くなんて言わせないからね。」
ユウキ「一緒に、来てくれるのか?」
ミツル「もちろんだよ!」
ユウキ「皆、ありがとう!」
ハルカ「ところで、ナツキは?」
ナツキは少しうつむいたが、顔を上げた。
ナツキ「ごめん…やっぱりあたしは一緒に行けない。」
ミツル「どうして?」
ナツキ「目的果たせたから家に顔出さなくちゃいけないし。」
ユウキ「そっか…。」
肩を落とすユウキに、ディアーが言う。
ディアー「そんなシケた顔しない!せっかくリーグに出られるのに。それに、離れていたって皆、友情のきずなで結ばれているでしょ!」
ディークス「2度と会えないって訳じゃないんだろ?」
ユウキ「ディアー…ディークス。」
ディアー「あたしも、応援してるよ!」
ディークス「同じく。無理しない程度にがんばれよ。」
ナツキ「そうよ!あたしも遠くからだって応援してるわ!」
ミツル「ユウキ君が行ける所まで行くんなら、僕もついて行ける所までついて行くよ!」
ハルカ「私も…最後まで、ユウキと旅をしたいな。」
ユウキ「皆…」
と、そこへレインとリプルスがやってくる。
レイン『サイユウへ行く途中までなら案内できるぜ。』
リプルス『もう僕らが君達を乗せる必要は無さそうだけどね。』
ウォンとコーラスを見ながら、リプルスが言った。
ダイゴ「健闘を祈っているよ。」
そして、その時突然、ディアーとディークスは姿を変える。
元の…夢幻の兄妹竜の姿に。
ディアー《そろそろお別れ。あたし達も、帰らなくちゃ行けない。》
ハルカ「帰る…?一体どこへ?」
ディークス《このホウエンのはずれにある、小さな島。オレ達の種族だけが暮らす場所。いつか招待してやるよ。》
そして、青空へと舞い上がる2匹。
ディアー《じゃあまた会おうね、ユウキ、ハルカ!》
ディークス《こちらからも会いに行くよ。…行くぞ!》
そして2匹の竜は、赤と青の閃光となって、南の空へと飛び立った。
彼らは空を見上げ、手を振って見送る。
ハルカのサファイアの瞳は、空よりもなお美しい青に輝く。
そしてユウキのルビーの瞳もまた、好奇心に輝いた。
2人とも、ウォンとコーラスの背に乗って。
ユウキ「それじゃオレ達、行ってきます!」
ハルカ「最終目的地のサイユウシティに…!」
ミツル「それじゃあ!」ミツルはレインに乗る。
そして彼らは、ルネの町を後にした。
ナツキ「がんばって来なよ〜っ!」
ナツキもまた、ゼットにまたがりルネを飛び立つ。
そこには、ミクリとダイゴだけが残された。
ミクリ「ダイゴ、彼は君の元までたどり着けると思うかい?」
ダイゴ「そうなってくれれば嬉しいね。この所挑戦者が来なくて退屈していたんだ。
…サイユウスタジアムの王者の間で、待っているよ…。」

…ルネの町を出た一行は、東へと海を渡る。
ユウキ「サイユウシティへー!」
ハルカ&ミツル「「行っくぞー!!」」
そして目指すは、ポケモンリーグ。
ユウキの挑戦が今、始まった!

                第四章 〜三大化身と夢幻竜 ―完―

ユウキ「次回からはついに最終章!『〜頂点への道』が始まるぜ!」
ハルカ「サイユウシティポケモンリーグへの、険しい道のり!」
ミツル「ユウキ君は、チャンピオンの所まで行けるのか…!?」
ナツキ「見所たくさんだよ!せーの!」
4人「お楽しみに!!」
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ぴくの〜ほかんこ