ぴくの〜ほかんこ

物語

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停止[648] キッズ暴走族と亜由とカナズミと・・・

ハルアイ #1☆2005.03/13(日)21:48
♪おわび♪ 前のがおかしくなってしまった為に、改めて続きから書きます。感想を書いてくれた人、物語を読んでくれた人申しわけございませんでした。
  
  プロローグ 
亜由はカナズミシティでジムリーダーに挑戦しようとしたとき、ツワブキと名のる若い男が現れる。彼からカナズミのジムリーダー、ツツジがいないことを知る。ツワブキの誘いによって、キッズ暴走族という暴走族の退治に協力することに。そして、家に連れてこられた亜由。自己紹介後、ツワブキは何の理由もなくでていってしまう。そして、亜由と弟子の竜太郎、マーレイ。亜由と同じ理由で参加することになった、ポケモントレーナーのビビアンはツワブキについて話すことに…。
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ハルアイ #2★2005.03/27(日)10:22
第一章  話し合い

水色の髪で背の低い女の子。元ジョウト地方ポケモントレ−ナー亜由と、茶髪で丸顔、中華風の服を身にまとったカナズミシティジムリーダーのツツジの弟子であるマーレイ。同じく弟子である黒髪の短パン小僧、竜太郎。紅色と白のしましま模様の三角帽子をかぶった、ポケモントレーナーのビビアンはツワブキと名のる若い男について話していた。
「でもダイゴさんはとあるポケモントレーナーに負けたらしく、そのためなのか今でも修行しているってツツジさんは言っていたぞ。そんな方がこんな所に姿を隠して来ると思うか?」竜太郎が三人に問いつめる。みんな考えた。そしてビビアンが口を開く。
「そうね。それは,あり得ないことだわ。」
「うん。社長はもちろん無理だね。相手はどう見たって若い人だから。」うなずきながら、マーレイが言う。
「―――ということは誰なのかしら?」亜由がそういうとまた考えだしてしまった。その時、ドアを開ける音がした。ツワブキが帰ってきたのだ。まさにこれが「噂をすれば影となる」である。
「ごめん。今、帰ってきた。もうそろそろだね…。君たち、ポケモンの調子はいいかい?」と言われて四人は、はっとした。――話に夢中でポケモンのチェックとかなんて頭になかった――。ツワブキも顔からなのかそれに気づいたようだ。
「日が沈んでしまうよ。早くしたほうがいいな。昨日みたいに遅れをとらないでくれよ!みんなが困っているんだ!」
前日は今日と同じことを話していたためとツワブキが遅れたためにキッズ暴走族がカナズミシティ内に入ってしまったのだ。そこで今日はいないと思い、町の建物の一部を破壊するなど被害がかなりあった。来たときには半分の物が壊されていた。
亜由たちはうむも言わず、そのまま家を出て隣のポケモンセンターに駆け出していった。そして、回復させたりなんだリしてすぐに戻ってきたのだ。まったく、そんなあせらなくても…。そんな彼らが早く来るとでも言うのかしら?まあいいか。とりあえず、言うとおりにしておきましょう。面倒なことになりたくないから。なんて亜由は思っていた。
「大丈夫だね。では、出発だ。今日は余裕で出発できたね。」
ツワブキはそう言ってまた今度は四人の子供をつれて、外に出た。これからどんなことが待ち受けているのかな…。亜由の心は緊張感に包まれた。

コメント 次回は暴走族VSチルドレンとツワブキの戦いです。
ハルアイが書くポケモンバトルをお楽しみに。
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ハルアイ #3★2005.03/19(土)15:28
第二章 キッズ暴走族との戦いへ

五人はポケモンスクールやカナズミジムを通り過ぎ、到着した場所は亜由がこの町に来た方向とは反対で町と道路の境界線だった。どうやら、彼らはここから来るとツワブキは説明した。
そこには、新しく出来た道路というより橋がその先にあった。もともと海しかなかった場所だった。そこを何ヶ月か前埋め立てて新しい町のひとつ、パワータウンをつなぐ橋にしたのだ。その町から暴走族はやって来るようだ。パワータウンは唯一ポケモンボーリング場があるところで、トレーナーの中でボーリングが好きな人が集まる町である。お年寄りが一番住みやすいように作られたところなのだ。
日が沈み、赤く染まっていた空もだんだんと暗くとなる。一部の電柱に電気がつき始めた。その時に亜由にとっては聞いたことのある音がかすかに聞こえた。亜由の耳だけでなく、頭にも響いている気がするのだ。グウン、グウン。グウン、グウン、グウン。
その音は時間がたつほど、大きくなっていく。これは来た証拠ね。でもいったいどこへ?まだ見当たらない――。今まで暴走族とは戦ってきたけど、こんなことで戦ったことはないわ。うん、町のためね…。そう思って亜由はベルトのモンスターボールに手をやった。バトルの準備だ。もうすぐ来るという合図でもある。彼らとの戦いはジム戦のリハーサルに持って来いね。これも、悪くないわ。そのあとすぐに来た!角を曲がって来た!エンジン音を鳴らして。のんきにバイクにまたがっている。あたりはすっかり闇の空になりかけそうな頃だ。何人いるだろう?
だいたいぱっと数えて六、七人はいる。男子が三人で女子は三、四人といったところだ。その先頭は間違いなく、リーダーである。そいつは青年で黒いサングラスに髪をサンドパンのごとく、とがらせている。それに全く同じ色の髪。服が派手だ。水色のはっぴらしく、金のラメが入っている。それが反射して光る。そんなリーダーが亜由たちの少し前で止まると嫌な笑いをしてこう言った。
「おっと!今度はブルーのリトルガールがパトーナーかい?こっちのエンジョイパートナーが減ったのに?その一人はそっちの方じゃないか。今日でファイナルにしてやるぜ!ほれ、前に出な。」そうリーダーが言うと出てきたのは女の子だ。リーダーのバイクの後ろに乗っていたらしい。赤の白い横の波線のバンダナに茶色の長髪、そしてジャケット。亜麻色のスカート。たくさんの電気が彼女を照らしているため、リーダーよりはよく見えた。
「うちは香織!今日からここの幹部さ。よろしく!みんなの願いはね、早めにあんたたちに勝ってドンパチやりたいのさ!早速、このニューフェイスの子とやらせてもらうよ!」そう言うなりニューフェイスが亜由のことだと、指で示した。何よ。人を指すなんて、おかしいんじゃないの?暴走族で偉いから、調子に乗ってるのね。もう、後悔しても知らないわよ!
「よし!さすが、我らの幹部。全員、敵と向かい合え!何度も言うが逃げるなんてフールはするな!」部下たちはそれぞれの配置についた。そして、にらみ合う。リーダーも位置につく。相手はツワブキだ。一番上同士の戦いだ。部下の一人が合図の声を上げる。それと同時にバトルが始まった。最初、亜由は何だと思ったがそれが始まりだとすぐ分かった。手をやっていた、モンスターボールをつかんだ。そうして投げようとすると、戦いの相手である香織が生意気そうに言った。亜由はやるのをやめて、ボールを握り締める。
「ちょっと待ってよ。あんたの名前は?まだ聞いてないさあ。」
「あたしは亜由。それで、このジムリーダーはどこにいるのよ?一番聞きたいのがそれ。」と冷たく言い放つ。生意気な口を聞いていると、冷たく言うのが亜由の性格のひとつなのだ。
「知らないさ。でも、ジムリーダーがいないからこそ、いつも安心して来れるとリーダーは言うのさ。ただ、代役としてあんたたちがいる。まあ、ジムリーダーと戦うよりはいいと思っているみたいだよ。あとはリーダーに聞いてごらんよ。」と言い、そのあとに勝ち誇ったような笑いをした。それに対して、亜由はむかついた。怒りとむかつきが煮えたぎる。あいつを倒してやる!許せない!あの口といったら?何でもいいから勝って、あれをふさいでやるべきだと。
「さあ、これでいいかい?もうやろう。フルバトルでいくよ!」
話を中断させ、バトルへと入った。亜由はまだ落ち着いてはいなかったが、その気持ちを捨てて、バトルの雰囲気にあわせるかのように心を入れ替えた。
香織がジャケットのすその裏から、ボールを取り出した。
「まずは、これでいくさ!」投げて、その中から出てきたのはポチエナだった。亜由もボールを投げる。出てきたのはスバメだ。
「スバメ、この勝負は絶対勝ってやるわよ!」亜由はそれでも、相手のことが許せなかった――――。
 
 コメント♪ すいません。バトルはまだまだです。次回からは本当に始まりますよ。多分、かなり長くなるかと思います。
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ハルアイ #4★2005.03/21(月)10:52
第三章 本格的なバトル
 
その頃、ほかのところでは亜由たちより前に始めていた。
竜太郎は二人の少年たちにバトルを挑まれていた。変則ダブルバトルである。ツチニンから進化させたばかりのテッカニンで余裕だった。でも難点があった。もう一匹はツチニンだ。対戦相手はゴニョニョ、二匹なので相性的に悪いわけではないが、まだ結構弱いので不利になるのである。それに前までは一発で負けてしまった。今度こそ、勝つ!竜太郎はそんな気持ちだ。
一方、マーレイは少女二人とバトル中である。彼は自慢のサンドでもうすでに、一勝していた。実は前回では勝っていたらしい。マーレイと戦った一人は実はビビアンだったりもする。
ここではシングルバトルになる。次の女子がポケモンを出した。この地方では見かけないポケモン、ブビィだ。マーレイはサンドのままである。
「ああ。確かそれは…ブビィだね。でも、僕のサンドに勝てるかな?」マーレイは自分のサンドに対しては自信満々だった。
そしてビビアンはというと、ダイナイドと名のった少女に戦いを挑んでいた。彼女、ダイナイドはビビアンにこっちに戻ってきて、と言う。こっちというのは、言わなくてもわかるようにキッズ暴走族のことである。でも、ビビアンは前の日と同じことしか口にしない。
「あたいがここにいるのは、ある人が好きになったからなんだ。」それに向こうが「誰なの?ある人って。」と聞いても答えない。それもそのはずだ。もしもばらしたら、彼が大変な目にあってしまうからだ。そんなことはさせたくない。だから言わないのだ。ビビアンはそのためになのか、お気に入りのキルリアで勝っている。
これから亜由と香織のバトルが始まる…。
「先に行かせてもらうさ。ポチエナ、たいあたり!」
と言うとすぐさまポチエナは行動に移った。
「あっ、スバメ…。」亜由が指示する前に、素早くスバメにたいあたりをした。スバメはよろっとしたが、すぐ起き上がった。
亜由は安心したが、速い。このポチエナ、ただものじゃないわ。あまりの速さに見とれちゃったわよ!何をしてるの、あたしは!と感じていた。
「どう?うちのは。素早さが抜群なのさ!もう一回だよ!」とするとまた、たいあたりをしてきた。
「スバメ、すぐかわしてつつく!」スバメはさっとかわし、後ろからおもいきってつついた。ポチエナにとってはかなりのダメージのようだ。後ろからつつかれたら、それはもうひとたまりもないだろう。でも、まだ立ち上がれるようだ。次は言ったらすぐこっちも言わなければ!でないと手遅れになるわ。
「やるね。では、とっしん!」そして、亜由も指示した。
「でんこうせっか!相手の後ろにまわるのよ!」
ポチエナはさっきよりスピードを上げて、目標に向かって走った。スバメはそれに負けずに素早く動く。まさに「スピード勝負」といえよう。とっしんを間一髪でかわし、ポチエナの後ろにまわった。とっしんをしたほうは目標がいなくなり急停止した。そのままスバメはたいあたりをした。香織は気づいた。とっしんは急には止まれない。その弱点を利用されたのだ―――。当然ながら、一度旅をした亜由にとってはとっしんをしたら、すぐに何をすればいいか分かる。ポチエナは前に倒れた。亜由が勝利の声を上げる。スバメがそれを見て、喜んで鳴いた。
「…うん、どうやら勝ったみたいね。さあ、これからが本番でしょ?」自慢げに亜由は言った。香織はそうさ、と言うようにうなずく。亜由にはわかっていた。今のが実力ではないということじゃなく、ポチエナは朝飯前にすぎない。今度は相手のエースとなるポケモンを出してくるということだ。
「しかし、まだなんだ。最後にしておくのさ。じゃあ、これでどうだい?」ポチエナを戻し、代わりに出てきたのはハスボーだ。
なぜ、スバメとの相性が悪いポケモンを出したのかしら?亜由は疑問に思った。何か作戦でもあるの?でも油断はできないわ。
「ええ。それでいくならいいわ。スバメ!でんこうせっか!」真っ先にハスボーに向かって来た。香織はにやりと笑った。何よ。気持ち悪いわ。そんな顔しないでくれる?
「ハスボー、丸描きみずでっぽう!」その言葉に亜由は驚いた。
ハスボーは口から水を噴射し、ぐるぐると円を描いた。スバメは慌てた避け切ろうとしたが、よけきれずにハスボーの描くみずてっぽうに当たってしまった。スバメはそのまま下に倒れてしまった。…これだったのね。だから、あんな余裕だったんだわ。
あんなの、気づくはずないわよ!あれはきっと、鳥ポケモン対策用に作られた技なんだわ!これでやられるなんて…。思っても見なかったわね。
「ありがとう、スバメ。がんばったわ。ではでは、あたしはこれでいかせてもらうわ!」そう言い、スバメをモンスターボールに戻す。そのあと、ベルトからもう一個のボールを取り出し、確認してからそれを投げた。ミズゴロウだ。一番最初にここでもらったポケモン、それが彼なのである。
「ミズゴロウ、いくわよ!」亜由はさらに張り切るようになった。
 
 予告 亜由が相性の悪い、ミズゴロウを出したのは?次回は決着のときを迎える。勝敗はいったいどちらにわたるのか?そして…幹部、香織のエースは誰であろうか?
 
 コメント 今回から予告入りです。ポケモンの技を考えるのに時間がかかった。だから、適当になっているかと思います。
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ハルアイ #5★2005.03/29(火)15:20
第四章 幹部との決着
 
今はどちらも勝っても負けてもいなかった。香織のポチエナは亜由のスバメにやられ、スバメは香織のハスボーにやられる。そして、ハスボーが残って、亜由はミズゴロウを出させている。彼女は余裕だった。あとあれを倒せばこっちの勝ちね。それにそうなったら…。いいわ。それは後にしておくものよね。でも負けたら、どうなるの?――考えないのが一番良いわ。
うん。まだ、ハスボーは草技は使えなかったと思うわ。前に戦ったときはミズゴロウに対して、普通なら絶対使うはずよね。でも、使っていなかった。彼は見た目からして、草と水タイプのはず。だからこの子で平気よ!
そして香織はもっと余裕があった。エースが最後にいるのだから。そのことが顔にはっきりと示されている。
「なきごえ!」亜由である。
ミズゴロウはかわいく、大きく鳴いて見せた。聞いた、ハスボーは後ずさった。攻撃が出来ないと言わんばかりに。彼の攻撃力が下がってしまった。
「みずでっぽう、ハスボー!」弱音を見せないような声で
香織が言うと、指示された者は元の位置に戻ってから、水を噴射した。
「こっちも同じ、みずでっぽうよ!」
亜由もその声に対して、負けずに言ってみた。ミズゴロウは自分に向かってくる、水を勢いよく発射した水で受け止める。これこそが、「目には目を」なのだ。ぶつかりあう水は、一歩もゆずってはいないし、ゆずられない。ただ、見守るしかない二人。有利でも不利でもなかった。
沈黙が続く…。聞こえるのは、ほかの戦っているところの喜怒哀楽の声だけ。
「もうそろそろさ。」と相手は言った。
亜由はそのことが分かっていた。しかしいまさら、口にする必要は全くなかった。
「最大限にするのよ!」
「フルパワーさ!」二人は同時に言った。
ミズゴロウは今の言葉が理解できたのかしら?通じてるといいのだけど。いまいち、自信が持てなかった。
ミズゴロウとハスボーはこれでもかという位の水を噴射させた。
まだ、どちらも同じだ。
―――その時!幸運が舞い降りた。亜由にとっての幸運が。
あれだけ頑張っていた、相手のポケモンの水が弱まった。
二人は驚いた。これには戦っていた、ミズゴロウもびっくりだろう。でも、彼は止めず、ありのままに水を出した。
相手の水の威力はどんどん弱まり、ついにはミズゴロウの水に押されて、そのまま岩壁にたたきつけられた。幹部はハスボーの真後ろに立っていたわけではなかったので、助かった。
水に押されずに済んだ。叩きつけられたことによって、
ハスボーはへなへなになってダウンした。もちろん亜由は喜ぶ。
「やったわ、ミズゴロウ。ナイス!」ウインクをかわした。
ミズゴロウはぴょんぴょん飛び跳ねる。喜びを表しているのである。辺りはもう闇夜であった。次で勝負が決まるのだ。
香織は最後のポケモンを出した。
「さあ、これでいくよ!」
ボールの中から現れたのは、ヌマクロー。今度は中位のポケモンのお出ましね。でもこのポケモン、あたしのミズゴロウとそっくり。色は少し違うけれどね。もしかして…。相手はこの子が進化したポケモンなのかしら?この子はもう体力が少ないはずだわ。でもあきらめずに頑張りましょう。
「地面にみずでっぽう!」
ミズゴロウは地面に水をかけた。次の技を出すためだ。
あいつに対抗するのは、それしかないわ。
「たいあたり!ヌマクロー!」
相手がミズゴロウより数倍の身体で走ってきた。
「今よ、泥をかけるのよ!」
背を向け、後ろ足で走ってくる相手に作った泥を飛ばした。顔にかけられたヌマクローはいきなり立ち止まって、手で自分の顔をゴシゴシと拭いた。チャンスだと思った亜由は、
「止めて、たいあたり!」と言った。
聞いたミズゴロウは泥かけを中断してから、ヌマクローの腹にアタックした。たいあたりされて、あお向けに倒れてしまった。ミズゴロウは息が荒くなっていた。立ち上がれるのがやっとだ。
もう無理そうだわ…。こんなときはどうすればいいのかしら?ただ、見守るしかないの?…ミズゴロウ、最後まで頑張って!それしかできないから。ごめんなさい。
「起き上がってよ。ヌマクロー!」幹部が叫ぶ。
ヌマクローはすぐに立ち上がった。
まるで何ともないかのように――。
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ハルアイ #6★2005.03/29(火)15:16
幹部が深呼吸してから言った。
「みずでっぽうさ!」ヌマクローは水を噴射した。
ハスボーより、かなりの水力がありそうだ。
亜由は思わず、必死で叫んだ。
「水をよけてっ!」しかし、その言葉が届かなかったように、ミズゴロウはまともに水を受けてしまった。もうよける体力すらなかったのである。そのまま、高い建物の黒い柵にハスボーと同じように、たたきつけられてしまった。
「ミズゴロウ!」
そういって、それがいる所に駆け寄った。
力尽きたミズゴロウを抱いて、亜由はささやいた。
「ありがとう。ここまで、がんばったわ…。」
それに対し、相手はゆっくりとうなずいた。最後まで亜由のためにと、努力したのかもしれない。そして取り出した空のモンスターボールに、ミズゴロウを戻した。亜由は気を取り直した。
こいつで必ず勝利してみせるわよ!あんただけが頼りよ!
戻したボールではなく、違うボールを見つめた。
バトルの位置に戻ると次のポケモンを出した。ラストはキノココだ。最後の望みを亜由はキノココにたくす。
「お、キノココ。いいバトルになりそうだね。」
香織はこの時によい戦いができるようで、嬉かったようだ。でも、亜由はむすっとした。わざとらしい言い方だからであろう。
「こっちから行かせてもらうわ。しびれごな!」
キノココはジャンプして頭の先から星のごとく輝く、土色の粉を相手にばら撒いてやった。かけられた相手は手足ががくがくと振るえた。何かにおびえてるような感じで。
幹部が指示する前に粉の力が効いてしまったのだ。
「もう一度みずでっぽうさ。ヌマクロー!」
彼は、はいつくばって水を発射させた。
「ジャンプでかわして!」すぐさまキノココは水を、低いハードルを飛び越えるようにかわした。
「よし!賭けをしようじゃないかい。みずでっぽうの連射!」
ヌマクローはキノココに向かって水を連射した。キノココは得意のジャンプで次々とよけまくる。
しかし――――。キノココは疲れきって、水に当たってしまった。何度も何度も、当たってしまう。キノココが何度も転がっては起き上がり、また直撃してしまうのだ。そしてキノココは転がりながら動かなくなった。また二人の中で沈黙した…。
まさに勝敗が決まったときだった。
亜由にはもう何も言うことはなかった。
しかし救いなのか、そうでないのかは不明だか、はいつくばっていたヌマクローがしびれごなに耐え切れなくなったのかうつぶせに倒れてしまった。
「これは…引き分けかい?」
香織が倒れたヌマクローを見つめてそういった。
ヌマクローも何も動かない。それから変な声が聞こえた。
何だろう思って、二人が耳を澄ました。
「ヌ、ヌムウ…。」それはまぎれもなく、ヌマクローの声である。次にまた違ったものが聞こえた。弱々しい声だった。
よく聞いているとキノココであった。
亜由と幹部はそれぞれポケモンを戻した。
結局、引き分けに暴走族幹部とポケモントレーナーの戦いは終わった。
「どうやら、どっちもどっちのようだね。こんなバトルができたのはあんたが初めてさ。いい報酬は絶対もらえないと思うけどさ。」幹部はあきらめたように話す。
亜由が鼻で笑った。まるで勝ったような調子で。
「実際にはどうしてもいい物をもらいたいんじゃないの?」
「別に。勝った時はそれはそれは、ありがたくもらうけどさ。
引き分けになった以上、それは無理さね。まあでも、次は鍛えておくから、明日は覚悟することさ。じゃあ、また。」
「ねえ、待って!」亜由が幹部を呼び止めた。彼女はグループの偉い人に対して、絶対に聞きたいことがひとつあったのだ。
「何さあ。」
幹部は不思議そうに聞いた。
「あの、何でこの国は人はポケモンで戦うのかしら?ほかのところでは体を張って戦うそうなのよ。」
香織は一瞬ためらった。もちろんそんなことなぞ、聞かれたことがないからである。
「…今の立場では、うちに答える義務はないと思うね。そんなことは考えたこともないからさ。うちは戻らせてもらうよ。リーダーに報告しなければいけないからさ。」
「わかった。また会いましょう。」
幹部はゆっくりと戦いが終わったリーダーのほうへと向かっていった。その結果を彼に伝えたのであった。彼は少し気にくわない顔で自分の幹部を見ていた。
こうして、バトルは終わりを告げた―――。
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ハルアイ #7★2005.04/04(月)14:12
次回  幹部との戦いが終わった亜由は暴走族との話し合いの後に、ツワブキの家に戻って反省をするまで。
前編と後編に別れます。

コメント  やっと香織とのバトル終了です。
長かったですね。お疲れ様です。
ハルアイのポケモンバトルはどうでしたか?
むむっ…。春休みですね。勉強してないなあ。
そうしているつもりなんですか…。
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ハルアイ #8★2005.04/01(金)14:17
第五章 終わってそして戻って…

亜由の周りではすでにバトルは終わっていた。
「みんな、集まってくれ!」ツワブキが呼びかけた。
「お前たち!集合ー!」リーダーもメンバーたちを呼ぶ。
たくさんの子供たちがそれぞれの呼ばれたところに、
集まってきた。
「よおく聞けよ!今日は二勝二敗、引き分けがひとつだぜ!どっちもどっちだが、またフールなことをした奴がいた。今度こそは我らがウィーナーって言えるようにしろよ!あと、もう二度とフールはするなよ!今日は退却!」そう言って、止めてあったバイクにまたがる。
戦った幹部はリーダーが乗ると、ひょいと彼の後ろに乗ってまた生意気そうな口ぶりで言った。
「じゃあね。楽しかったよ。でも、本当は勝てたほうが一番楽しんだという気持ちになるのさ。」と言い残した。
リーダーのバイクを先頭に、次々とカナズミから消えていった。
「引き分けに終わったね。」ツワブキはそうつぶやく。
あんな子供がバイクに乗っていいのかしら?
なぜか、素朴な疑問を感じた亜由であった――。

途中でマーレイと竜太郎と別れて、ツワブキの家に戻った。
そこで反省をツワブキとビビアンと一緒にしていた。
「あたい、ダイナイドに負けた…。
あの人には負けたくなかったのに。強くなっていたんだ。」
ビビアンは落ち込んでいた。無理はない。
今まで勝っていた、友達に負けたのだから。
落ち込んでしまうのも当たり前に近い。
「ダイナイドって?」亜由は初めてだったので、知らなかった。
「ビビアンは前までは敵の一人だったんだ。でもここが好きになったらしく、ここまで向こうの基地から脱走してきたみたいだよ。ダイナイドというのはビビアンと毎回戦っている、少女のこと。彼女とビビアンは友達関係だったんだって。」
ビビアンの代わりにツワブキが説明した。
「そうだったの…。」亜由はそう言うしかなかった。
でもこの町が好きだからって、友達を置いて脱走するかしら?
普通ならその、ダイナイドを連れて来るでしょうね。
もっと深い理由があるはずよ。それを恥ずかしいとかで隠しているだけだと思うわ。
「今日は早く寝てもいいかな?夕食、いらないわ。」
ビビアンは後ろを向くと、目の前にあった階段をのぼっていってしまった。下にうつむきながら上がっていくビビアンを見て、
大丈夫なのかしら…?夕食を食べないなんて言って。でも今から呼びに行くのはかわいそうよね。困ったわね。
亜由も心配になった。そして亜由とツワブキはテーブルに座った。亜由はキッズ暴走族を完全に倒すまで、ツワブキの家に泊まることになった。ジムリーダーがいない限り先に進めないので、仕方なく泊まることにした。
夕食を一緒に作った。その光景が亜由にはワカバタウンにいる父親と料理を作っているような気がしてならなかったのだ。
と思ったとき、ふと気づいた。ツワブキがフードを脱いでいた。
ツワブキは亜由より濃い青の髪で、まさしく若き青年といえる。
今までは「若者と偽った化け物」だと思っていたけど、こんなに素敵な人はいないわよね。ビビアンはいないし、せっかくだから質問してみようかしら?亜由の心が踊った。
夕食はシチュー。ヒマワキシティの野菜を入れたものだ。炊いたご飯を器に入れながら、また思っていた。
ビビアンったら、こんな美味しそうなシチューを何で食べないのかしら?久しぶりだわ。何年、これを食べてないのかしら?
亜由とツワブキは向かい合ってシチューを食べた。亜由はゆっくり口にほおばりながら食べた。ジャガイモの歯ごたえとご飯のかみ具合が最高だった。亜由は泣きそうになった。
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ハルアイ #9★2005.04/04(月)11:37
その気持ちもやんでそろそろかなと思ったからか、バランスよく食べているツワブキに質問タイムを試みた。
「あの…色々と聞いてもいいかしら?」
「うん?いいよ。」
その言葉に亜由は少し驚いた。答えてくれるようだ。
「じゃあ、まず。あなた、ダイゴという人知ってる?」
そう聞くと相手はスプーンを置いてから、
「ダイゴ?それは僕のいとこだよ。」といった。
亜由はまたも驚きを隠せなかった。
あたしの前でこんなこと言っていいの?ばらしてしまうかもしれないのに。それに彼がいとこだったなんて。彼がそれならそれでいいわ。こっちはそんな気はないもの。
「それと約束事がひとつ。ビビアン以外には、まだこのことだけは話さないでくれよ。」亜由は頷く。
やっぱりそうだったかというように。
質問は何十分にわたって続いた―――。

質問タイムが終わり、亜由は風呂道具を借りて「カナズ銭湯」に向かった。その銭湯は数ヶ月前に、ポケモンセンター内にできたものである。
体をずぶりと沈めた。気づけば、誰もいなかった。
ビビアンがいたらなあ。と思っていたとき風呂の入り口の引き戸の音がした。亜由はその音を無視した。
ゆっくり入っているんだから。もうっ、脅かさないでよ。
すると、入ってきた人が声をかけた。もう湯船に入っていた。
「あのー。今日はお一人で?」と聞いてきたので、
「ええ、はい。そうですが…。」そう答えた。
そして相手を見ると、とろんとした顔が急変してしまった。
思わずあっと叫んでしまった。声が風呂中に響き渡る。
そこには寝ていたはずのビビアンがいた。
どうしてだろうかと聞いてみた。
「あたい、気を取り直したよ。こんなことでぐずぐずしててもしょうがないでしょ?でツワブキさんから亜由ちゃんが、この銭湯に行ったってことを言われていそいで来たんだ。」
ビビアンに伝えた。心配していたということと、ツワブキのことを。
「心配してくれて、ありがとう。なるほど、ツワブキさんはダイゴさんのいとこだったんだ。ところで亜由ちゃんはダイゴさんのこと知らないんだっけ?」
相手が頷いたのをみて、ビビアンが説明した。
そして体と頭を洗ってもらった二人は銭湯を出て家に戻り、着替えてすぐに眠りについた。
翌日…朝目を覚ますと、目の前に何かが書かれたメモが置いてあった。目をこすってよく見ると、手紙だ。走り書きされている。この人はきっと急いでいたんだろう。読んでみた。
「このメモを見た人へ
起きたら1階のテーブルに置いてあるパンをもらって、115番道路の近くに来てください。キッズ暴走族と戦った辺りで。
ではそこで待っています。    ビビアンより 
追伸   ポケモンの状態を万全にしてくださいね。」    
ビビアンからのバトルの誘いであった。
それを承諾した亜由はささっと着替えて、バックの中に入っていた三個のボールをベルトにつけてから下の階に降りた。
本当に機嫌が良くなったららしい。ポケモンバトルに誘っているのだから。亜由はまた胸が躍った。それに嬉しくなった。
ツワブキはまだ寝ているらしい。時計を見ると早朝ではないか。手紙にあった通り、テーブルにコッペパンが置いてあった。
それを奪うように持っていき、玄関のドアを開くと走り出した。
ポケモンセンターに寄って、ポケモン状態確認と回復をしてまた目的地に向かって走り出した。
「よおし、早いけど頑張りましょう!」とボールに目をやった。
三匹はそうだね、というように喜びを表していた。
それをみて、亜由は張り切った。ついに目的地…。
そこにはビビアンが背を向けて待っていた。
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ハルアイ #10☆2005.04/04(月)14:11
次回 ツワブキの正体がわかり、亜由はついに仲間の
ビビアンと対戦!亜由は彼女に勝てるのか?
実力はどんなものだろうか?

コメント  私の学校は春休み、今日で終了です。
皆さんはどんな春休みを過ごせたでしょうか?

新学期、頑張って(亜由やビビアンのように)いきましょう!
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ハルアイ #11☆2005.04/10(日)16:09
第6章 終わってそして戻って・・(後編)

パンを飲み込んで食べ終わらせてから、
背を向けている女の子に声をかけてみた。
「ビビアン!」その声に相手はふっと振り向く。
そして体ごと亜由のほうに向けた。
「待ってたよ、亜由ちゃん!うん、では勝負しましょ。」
「いいわよ。ビビアンの実力、見せてもらうわ!」
「では。二対二でいいかな?」
「そうね。それでいきましょうか。」亜由は余裕の表情を見せ、ビビアンも同じくらいとても余裕そうな顔する。
これが女の熱き戦いの始まりの前兆なのだろうか?
彼女たちはベルトからすぐさまモンスターボールを取り出し、
勢いよく投げた。出てきたのは亜由側はキノココ。
ビビアン側はジグザグマである。彼女はジグザグマのことを「ビリート」と呼んだ。 いよいよバトル開始だ。
「まずは…ずつきよ!」
あの幹部のポチエナぐらいのスピードで駆けて来た。
そのスピードに慣れたのか全く動揺せず、
「キノココ、ジャンプして!」と指示した。
キノココは駆けて来る相手を待ち、ぴょんとジグザグマの頭上を跳んだ。ビビアンもこれには驚いた。
「キノココに特技あったなんてね!でもこれはどうかなっ?」
ビビアンの性格が変わったな。亜由はそう感じた。
彼女、バトルすると性格が変わる人?
珍しくもないけど、久しぶりだわ。
「ビリート、ミサイルばり発射!!」
ジグザグマの体から、無数の針がミサイルのごとく
キノココに襲いかかって来た。キノココがあわてて逃げ回る。
亜由もキノココと同様になってしまった。
これではどうする事もできないと。
そしてキノココはその無数の針をまともに受けてしまい、仰向けになって倒れた…。
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ハルアイ #12☆2005.04/17(日)16:48
彼は動かない。落ち着きを取り戻して、呼びかける。
「キノココ、起きて!」でもその声に何も応じない。
というより応えられないのだろう。
「ふふふ。これは負けね。」
相手は片手を口にあてて笑っていた。でも亜由はむかついてはいなかった。その表情もない。それは相手が性格は違うが、『立派なビビアン』だからであろう。
しかし心の中はそうではないことは確実だ。
するとうなり声らしきものが聞こえてきた。かすかに聞こえるその声は…キノココだった。ビビアンが言ったとおりだ。
キノココは負けを示してしまった。
「さあ、次に行きましょ。あたいはこのままでいく。」
「ビビアンは強いわね。あれほど、弱音を口にしていたのに。」
「そうね。あいつは強いくせにそう言うわ。」
と昨日のビビアンをもう一人の自分として扱っている。
それを悟った亜由は、キノココをボールに戻す。
それから彼と引き換えにミズゴロウを出した。
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ハルアイ #13★2005.05/22(日)17:39
相手は香織がキノココを出したときと、同じようなことを口にした。それに対し、
「なるほどね。そうやって言うならそれでいいわよ。」
と亜由はあの時と同じ気持ちだったが、今回はそれほどでもなかったようだ。
「うーん。あなたにはうんざりね!そいつも倒してやるから!」
ビビアンは怒鳴りそして不敵な笑みを浮かべた。続きに言う。
「相手をかく乱させて!」ビリートはすぐに行動に移った。
目にもとまらぬ速さでミズゴロウのほうに向かい、相手の真上を飛んだり、相手のを周囲をまわったりして惑わせてくる。
えー、これじゃ手を出せないじゃない!
何か良い方法はないのかしら?ぐるぐる回ったりしてるから、どんな攻撃でも当たるはずが…。
ぐるぐる?そうよ!ぐるぐる攻撃をすれば勝ち目はあるわ!
「もしや、ボロ負けで終わらせるつもりなの?」
その後に言い出した。
「いいえ、それは違うわ。ミズゴロウ。あのハスボーのやった特別な技、覚えてる?」
聞くと後ろに体ごと向き、ミズゴロウはあった、あった!と言わんばかりに頷いた。
「ミズゴロウの目に焼きついているようね!その技よ、ビビアン!丸描きみずでっぽう!」聞いて、ビビアンは驚きを隠せなかった。幹部のと同じく、水を噴射させてぐるぐると丸を描いた。
「嘘でしょ!?ど、どこでそんなっ――。」指示も出来ないままに円を描いた水はビリートに直撃した。ビリートは物を落としたように一撃で倒れた。その姿を見つめる、ビビアン。
「もうジグザグマは瀕死状態なのよ。戻しなさいよ。」確かにそうだ。しかし亜由のほうに向いて、泣き顔を見せた。それは怒りを表しているし、くちびるがふるえている。
「ビリートのことを普通にジグザグマって呼ばないで!」
まさかはビビアンが怒るとは思わなかったわよ。
ビビアンはジグザグマのビリートに向き直るとボールに戻した。
亜由は何も悪いとは感じてもいなかった。
しかし、なんか調子が狂う。これはなぜだろうか?
次に出したのは、お気に入りのキルリアだった。
ビビアンはクリスタルと呼んだ。出てくると同時に華麗な踊りらしいものを見せてくれた。思わず感心してしまう。
「先手必勝!クリスタル、めざめるパワー!」
キルリア…クリスタルは、手を上にあげて回りに球状のエネルギーを出して、放った。虫のようにミズゴロウに襲いかかる。
「み。み、みずでっぽう!」久しぶりの攻撃に、なぜか慌てる。
まさかこんなのが来るなんて、これっぽちも考えてないわよ!
ミズゴロウは水を発射したが、壊れずに当たった。どうやら効果抜群なのか技のダメージが相当大きかったのか、数秒後にばたりと寝るようにうつぶせに倒れた。
「ミズゴロウっ、大丈夫なの!?起きてよ!」必死で叫ぶ。
しかし願いは叶わない。またあの沈黙が訪れる。
声をかけられているのも起きないし、対戦相手も何も反応せず。
キルリア、ビビアン、亜由の三人はただ一匹を見つめている。
「亜由ちゃん、負けたわねえ…。」ぼそりとつぶやく。
こうして沈黙の中で、このバトルの終わりを告げた。結果は亜由の負けとして。
ビビアンも「普段のビビアン」に戻ったみたいで、ポケモンをボールにも戻すと家のほうへと向かって行った。
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ハルアイ #14☆2005.06/15(水)17:09
二人は無言のまま、まずはポケモンはセンターにあずけ、家に帰ってきた。
無地の水色のパジャマ姿で、のんきに両目をこするツワブキは朝食中だった。ゆっくり食べている。
二人が帰ってくるのを見て、声をかける。しかしどちらも反応なし。
色々と質問してみるが、答えない。亜由とビビアンは階段を上り、それぞれの部屋に入ってしまった。
いったいどうしたことか?ツワブキにはわけがわからなかった。
その頃――。亜由は部屋でベッドに横たわっていた。
負けたことについては何も思っていないらしい。ずっと亜由が無言だったのは、ビビアンの性格が変わったからであろう。
あの口調、性格、戦いは見覚えがあった。ビビアンのほかにいたのだ。それを思い出せない。ジョウトを旅をしていたときに…、
死を覚悟して戦った、あの時。誰だかはもう忘れていた。
いや自分がその記憶を消したのだ。そうでないと旅が続けられないから――。見るだけで凍りつくような、感覚。
今頃なぜ、思い出すのかは不明だった。
…っていうかどういうことを思ってんのよ、あたし!そんな過去のことでくずくずしてちゃ、だめじゃない!
よーし、今日は何があるのかしら?思い切って頑張るぞー!
悪い過去のことを頭からどうにか追い出した。急にベットからひょいと起き上がるとビビアンの部屋に行った。

それから数時間後、まだ亜由はいた。ビビアンの部屋に。話で盛り上がっているではないか。
さっきのが嘘のように、そしてより仲良くなっているような気がした。
ツワブキが一階から、とても通る声で二人を呼んだ。亜由が返事をすると、てきぱきと準備して二人は階段をおりる。
「今日は各自で、この町の他のトレーナーとバトルしよう。その方が自分の作戦が立てやすくなるよね。」
一旦全ての準備をした後、ポケモンスクール前で昨日のジムリーダーの弟子達と顔を合わせた。
ツワブキの説明が終わると、夕方までに要するに「自由行動」となった。途中までビビアンと一緒だったが、ジムの近くで別れた。
亜由の気持ちはすっかり晴れたし、今は楽しみにしている。だが、あのことは追い出してもまたやって来る。
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ハルアイ #15★2008.01/20(日)19:49
やったーっ!自由に好きな人と!この町の中で戦ってオーケー。こんなに嬉しいのは久しぶりよ!

胸がときめく。目は星のごとく輝いているように思えた。
期待を胸に膨らませている。
もうすでにあれについてはすっかり忘れていた。
デポンコーポレーションから
ポケモンジムの辺りをうろうろしていた。
その目的は理解できるだろう。数十分後に亜由の目についた人。
それはまぎれもなく、見たことのなさそうな相手。
髪の色が全く同じで、
白地に黄色のラインが何本かあるTシャツと
七部のジーパンを履いている…男の子。
そんな子に向かって走っていく、同じ髪の少女がここに一人いる。男の子はこちらに気づかないのか、
ポケモンスクールやセンターの方面に歩いている。
もうこれは仕方ないと思ったのか。全力で走って相手のもとへたどり着こうと何が何でも、走ってやる!という気持ちで。
そして、そのもとへ背後から肩をぽんとたたいた。男の子がびくっとして振り向いた。自分の体型にそっくりな女の子がいる。
彼は後ずさりをする。多少、怯えている様子がうかがえる。  
   
君は一体何者なんだ?


「あら。初対面の人に対して、それはひどいわよ。あなた、あたしが来たのを知らなかったの?」
「…知るはずないだろう!君は僕を襲いに来たのか?それともポケモンを奪いに来たのか!?」
彼は明らかに動揺していた。いかにも、彼をそうさせる行動を起こしたからだ。
「何言ってんの。仮にそうだったら、とっくにやっているわ。あなたに用があるのよ。」
しかしそう言ってもまだ、信じない。
「一体、何?まさか、僕を…!」
「もう。だから、そういうことじゃないって。バトルよ。」
飽きれたように説明する。
「…へ?バトル?でもこれで負けたら…。」
少年は間が抜けた言い方したがまだ信用しない。
「はいはい、何もしません。
あたしはそんな馬鹿な真似をする人ではありません。」
と敬語ですんなりと答える。
「あ、そっか。僕の終わりかと思ったよお。」
とにかくどうやら相手の誤解が解けたらしい。
その後、簡単な挨拶と自己紹介をしてからシングルで1匹だけのバトルが始まった。
男の子の名前は、ユウというそうだ。ベイリーフを繰り出してきた。こちらは同タイプのキノココである。
ジョウトのポケモンが何でいるのよっ?こいつ、はるばるこの地に来たっていうのかしら?
「行け!ベイリーフ、はっぱカッター!」
いきなり急所に当たりやすい技で押してきた。
「飛べっ、キノココ!」
得意技でさっとかわした。はっぱカッターを見事によける。

「たいあたりよ!」
ベイリーフに向かって走っていく、キノココ。その姿はまるで自然を壊した人間に立ち向かっていくようなものだ。

「ずつき!」

突っ込んできたキノココと相手の頭が石のようにぶつかり合い、たいあたりをした方が弾き飛ばされ、
自分のトレーナーの手前ぐらいで止まった転がった。と、起き上がらずそのままぐったりしてしまった。
これはもう勝敗が決定したと二人は思った。しかし…。
ベイリーフの目がとろんとして、最後にはその場に座って、目を閉じていた。とくせいである、ほうしが効いたのだ。

「まさか。このポケモンがほうしという、とくせいを持っていたんだ。知らなかったなあ…。」
どちらも起きない。これでは引き分けだ。
とゆっくりとポケモンが起き上がった。それは…キノココだった。

立ったわ! これで―――。

と思っていたらばたりと倒れてしまった。
ベイリーフもその音に全く気づかず、寝息を立てながら夢の世界へと旅立っている。
その時に全てが静まり返ったように。
ユウはかすかなため息をついた。
「どうやら…こいつも起きなさそうだね。あいにくだけどここは引き分けってことだね」
亜由から笑みがこぼれた。それに連なってユウも微笑み返す。
「そうみたいね。キノココも無理みたいね。ありがとう、あんたとバトルができてよかったわ」
「こちらこそ。今回はまだ手持ちが一匹だけしかいないけどまた会ったら…今度は3匹で勝負しよう!
僕が必ず勝ってみせるさ!」
「ええ、望むところよ! …それであんたに質問があるんだけど…」
あの質問をユウにもぶつけてみることにした。バトル後に質問するのが彼女のお決まりである。
「僕に質問…?」
「昔聞いたことなんだけど他の世界では自分の体を張って戦うと聞いたことがあるの。
この国の人はなんでこうやってポケモンを使って戦うのかしら?」
あの幹部と同様、なぜそんな質問をするのだという感じでためらいをみせたが、
少しだけ待ってくれ、というと考え始めた。
そしてユウのくもった顔がっぱと晴れた。答えが出たようだ。
「その辺は僕も気になる。いつもそんなことなんて考えもしないけど。
変な返答だけど多分…僕らは魔法が使えるとか戦力が元々ないからだよ。
だから何事もポケモンに戦わせて決めたりする。
ポケモンは魔法や術みたいなものも使えるからね」
亜由はその答えに呆然としてしまった。
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ぴくの〜ほかんこ