「こんにちは、初めまして。私の名前はマリーよ。私はあなたに会いに来たの。たった今、あなたに会うためだけに来たんだわ。私はあなたを愛しているから会いに来たのよ。私昨日まで、学校でグループから外れた子を虐めたり、憧れの先生とホテルに泊まったり、手首を切ったり三階から飛び降りてみたり、それから無難な男と結婚して子供を作ったりしてみたわ。でももうそんなことはどうでもいいの。私そういう過去は全部忘れたわ。私はあなたを愛しているからよ。あなたのことを愛しているから全部捨てることにしたのよ。あなたはこれから私とキスしなさい。それも情熱的なディープキスよ。そしてあなたは私に愛しているよと甘い声で囁くの。もう絶対君のことを離さないと強く抱きしめるのよ。あなたはこれから私のことを永遠に愛し続けなければならないのよ。自慰だって許さないわ。でも大丈夫よ。私があなたを癒してあげるもの。だから私のことだけを見つめ続けるのよ。そうでないと許さないわよ。私はあなたを許しはしないわ。だって私はあなたを愛してしまったのだもの。あなたがもしそれでも私を愛してくれないと言うのなら私はあなたを殺すわ。愛する人が自分のことを愛してくれないのなら、どうしても自分の物にならないとしたら、自分が死ぬか、もしくは殺すしかないじゃない。それでもあなたは私のことを愛してくれないのかしら。殺してでも私はあなたを手に入れたいのよ。私はそれほどあなたを愛しているのよ。でも私は死にたくはないもの。だから私はあなたを殺すしかないわ。許して欲しいわ優しいあなた。行きなさいカルテット。」
マリーがそう言うと、彼女の首に掛けられたロケットからは赤い血が噴き出し、その血はいつの間にか普通より二つほど首の数が多いダチョウの形に固まっていた。
僕は一端逃げようと思ったのだけど、ダチョウと言うのはとても足が速いことを僕は知っていて、僕の走る速さがこのダチョウに敵う自信は恥ずかしいのだけれど無かったし、第一このダチョウの三つのクチバシが順番に僕の頭を突いたらそれはとても痛そうだと思ったんだ。
マリーは奇妙なダチョウに飛び乗りもう一度行きなさいと叫んだのだけれど、しかしダチョウはマリーを乗せたまま激しく転げ回っていた。
その間マリーはずっとダチョウの三つある首の内真ん中の首の根元を掴んでいて、気が付くと真ん中の首は泡を吹いて死んでいた。
残った二つの首とマリーはそのことをそれはとても悲しみ、三日三晩涙を流し続けた。
四日目の今日、残った二つの首も死んでしまった。
首が沢山あっても身体は一つしか無いのだから、一つの首が死んだせいで他の首も死んでしまうことはままあることかも知れないと思った。
だけどもおかしなことにダチョウはずっと立っていて、首から上が死んでしまったているのに身体が生きているといったことも成る程ままあることなのかも知れないと思ったのだけど、でもダチョウのお尻からもう一本首が生えて来たのを見ていややはり違ったようだと思った。
マリーはドウドリオでもドウドウでもなくただのドウになってしまったと悲しんだのだけど、僕はドウもドウドリオもよく知らなかったのでマリーを慰めることは出来ない気がした。