■-3
グレイの日記-
やっぱり間違えられちゃった。
どうして間違えられるのかあんまり解らないんだけど、よく間違えられる。
ネプは物凄く慌ててた。でもその時の顔はやっぱり、優しかったな。
ちょっと冷たいけれど、本当は優しい人なんだろうな。
ネプの記憶-
「ところで、どうして護衛を探してたんだ?」
あまり弱くはなさそうだし。いや、こんなに無防備なのは大問題か。
「工房の人が…あ、ぼくは装飾を作ってるんだ。でね、言われたんだ、あんまり一人で歩いてると危ないよって」
「この町の治安はそう悪くないって聞いてるけどな。それに自分で応戦しようって思わないのか?それくらいの腕力は付けなきゃ」
「無理だよ、男の人にはやっぱり勝てないもん」
「…え?」
今何て言った。それは、つまり。そして俺の反応をグレイが見る。
「…ネプ」
残念そうな顔は、やっぱり。
「ぼく、女の子だよ」
「え…あっ、ご、ごめん!背が低いなとは思ってたけど、いやまさか…って、あの、そうじゃなくて、名前からも解りにくかったし…」
自分でどんどん墓穴を掘ってどうするんだ。
「ええと…ああ…、ごめんなさい、グレイ」
観念して謝るしかなかった。全く情けないな、俺は。
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