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ネプの日記-
今回は猶予がある。それだけを支えに手を考えた。
けれど、進めば進め程、行き止まりだけが見えてくる。
繋いだ手を離せばいいのかもしれない。けれど、もう離せない事を教えたのは、皮肉にも自分達だった。
グレイの記憶-
あれから、あの事は誰にも言わないで過ごしてる。
ネプはフェニックスについての伝承とかを調べてくれてる。でも、書いてあるのは生まれてからの習性ばっかりで、卵から生まれる事も偶にあったけれど、ぼくの場合の記述は何処にも見付からなかった。
何か試さなきゃいけないんだって解ってる。でも、こんなに解らない事だらけじゃ、何をしたらいいかも全然浮かばない。
今日も夜遅くまであちこち行ったけれど、やっぱり何も解らなくて、ぼく達は帰り道を歩く。
「…ごめん」
「ううん」
ぼくも元気が無かった。偶に力が抜けそうになったり、変な疲れが出始めて、今でも足が縺れそうになる。
フェニックスは、疲れたぼくを笑ってるみたいにぐるぐる動いてる。
「なあ」
「何…?」
「フェニックスが食おうとしている物を、消す事は出来ないのか」
「出来ないよ、そんな風に言ってくれるから」
そんな優しい事言ったら、ますます出来ないよ。
「…会わなかったら、こんな事にはなってなかったのかもな」
「会わなかったら…」
ぼくがネプと会わなかったら。ぼくの力は嫌いな侭で、沢山の人とも会わなくて、あったかい気持ちも、何も知らなくて、ぼくは生きてて。
「寂しいよ」
「…そうだな」
ぽつんと取り残されるよりは、幸せなのに。
---あと45日
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