あなたの夢おてつだい だけ します
■-16 瓶詰めの記録
透明な硝子の体を持った依頼者は、細かい金属を鳴らしたような声で僕に言った。
「ワタシ、死ヌン、ダロウ、ナ」
言葉に反して、声はとても穏やかだった。
ホムンクルス。人工の生命。作り方は詳しく知らないけど、フラスコに色んな材料を入れて作るってやつだ。
依頼者はその、ホムンクルスのフラスコだった。けど、フラスコに魂が生成された。フラスコの望みに魔力が応えて、フラスコは人型の動く硝子になった。
「あんたの夢の手伝いは確かにするよ」
依頼者が選んだのは肉で構成された、人型の女の体。ちょっとでも確率を上げる為だ。
「だからって訳じゃないけど、最後まで可能性を捨てないでほしいかな」
希望なんて言葉は使わない。綺麗な言葉だと、簡単に壊れてしまいそうだから。
「ソウ、ダネ。タトエ、決マッテタト、シテモ、信ジナイト、悲シイ、ヨネ」
依頼者はそっと自分の体を撫でた。中には、やっと出来たホムンクルスがいた。
フィオリと僕は映像を見てる。子供が野原を走ってた。その後ろから笑い声がする。
「続くって、こういう事でもあるんだなあ……」
独り言に近かった僕の言葉に、フィオリがゆっくり頷いた。
「これも答えの一つだろうな」
これも現実でしかないし、沢山の内の一つでしかない。けど、其処には誰かがいるんだ。
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