百年の神子 2
儀式の日は明日に迫っていた。
アランはその間ずっと帰ってこなかった。神殿へ打ち合わせのために呼び出された時エゼムから、アランはリアンの居室で寝泊まりして、ずっと調べ物をしていると聞いた。無駄なことだとも。
ただ一つ楽しかったのは、エゼムからアランの話を聞くことだった。剣の勝負で一度も勝ったことが無く、同じ戦士としてとても尊敬していると、今でも将軍として支えてほしいと、……妹の男性の好みを高めているのは少しだけ嫌だと。厳粛な場所にいるのに笑ってしまった。
夜も更けて、そろそろ寝なくてはいけない。
「…………」
寝れば朝が来てしまう。
今すぐにでも逃げ出したい。だが、それによってこの腕に宿る神がどういう報復に出るのか、その恐怖の檻がチャムをここに留めていた。
無音の館に、ギギッと扉の開く音がした。
「! アラン様っ……」
この家の鍵を開けるのは、彼の他にいない。玄関に飛び出すと、正しく彼だった。
「お帰りなさいませ……!」
(嬉しい)
彼の表情はとても暗いものだったが、純粋に彼を想える最後の夜に、彼の顔を見れた。
「チャム」
「はい」
彼が手を伸ばしてきて、どきっとする。チャムの手を取り、じっと見つめた。
「ここに、青い痣があるのか」
「……はい」
気持ちが降下する。自分の手に触れてくれているのに、自分の手ではないような。
「話がある。こちらへ」
手を繋いで連れて行かれたのは、彼の寝室だ。帰ってこないと言われたけど、綺麗に掃除してある。
「儀式は、どうしても避けられないようだ」
外出着を脱ぎながら、アランは言う。チャムは手伝おうとして、手が止まった。
「……」
「神の寄りつく対象を変えればいいと思い、それについて調べてみたんだ」
脱いだ外出着を椅子の上に置き、ボタンをいくつか開けた薄いシャツ姿になり、アランはこちらを向く。
「神が寄りつくのは魔力の強い者。リアンはあれだけ努力しても魔力を上げられなかった」
「アラン様……?」
アランの手がチャムの肩を掴む。
「ならばお前が落ちればいい」
すごい力で、肩を押され、ベッドの上に倒れた。服の襟首にアランの無骨な手が入り込み、
「……ッ」
彼が買ってくれたローブが引き裂かれた。
「や……」
それに衝撃を受けているうちに、下着の紐も解かれた。必死で布を掻き集めて体を隠す。彼は“見る”ことはしないが、好きな人の前で裸など晒せない。
「どうして、こんな」
「神子の純潔は魔力を高める」
力の違いで、簡単に布は取り上げられた。混乱して手足を振り回すが、それも押さえつけられる。
「チャム……」
「……!」
その声が、意外なほどに切なくて、暴れるのが一瞬止まる。
「私に抱かれろ」
男らしい掠れた声を、耳に吹き込まれた。
(抱かれる……)
頭がどうにかなりそうな中、この状況をようやく理解して、愛しい人に圧し掛かられていることに、体が熱くなっていく。
(これで魔力が落ちたなら……)
百年神子の役目を回避できるかもしれない。好きな人に抱かれることで。
甘美な誘惑だった。
アランが顔を撫でる。手探りに相手が誰かを確かめるように。
「チャム」
顔を手で挟まれ、彼とまっすぐに向かい合う。彼はチャムの目に焦点を合わせようと、瞬きもせずこちらを見ている。真剣にチャムを見ようとしている。
「私に抱かせてくれ……、チャム」
(『私に』……)
それが、妹の大切な人にではなく、という意味なのは分かっている。
チャムをこの国に連れてきた、その罪滅ぼしに……、己の体をアランは捧げるのだ。ただの召使いの男など抱きたくないだろうに。
(ごめんなさい)
心の中で呟いて、言葉には出さなかった。暗い任務に臨む彼に、何の慰めにもならないから。
それに、謝りたくなかった。チャムにとっては夢のように幸せなことだったから。
体の力を抜く。いや、胸が高鳴って、強張ってはいるのだけど。
「はい、アラン様」
アランに抱かれたい。
受け入れたチャムに、彼は目を見開いた。そして、泣きそうな表情をしてから、チャムの体に覆いかぶさってきた。
彼はチャムの顔の横に片手をつき体を支え、服を脱いでいく。チャムが仰向けで見上げる目の前で、彼のボタンが解かれ、引き締まった胸板と、そして腹筋が露わになっていく。彼の手の動きに誘われ、視線が下にいく。
(あ…、あ……)
アランのズボンの中心が盛り上がっている。そこから目が離せない。全てのボタンがはずれ、シャツの裾が落ちてチャムの腰を撫でた。
アランの手が彼のズボンに掛かる。ベルトを緩めると、その下の白い下着が見えた。チャムが洗って届けた……。いつも意識して意識しないようにして洗濯板で洗っていたが、本当に彼が使っているんだ。
「少し重いぞ」
「……!」
あらぬところを注視していたら、彼の上半身がその視界を塞いだ。彼が腕で支えるのをやめてチャムの上に体を下ろしたのだ。体を傾け、体重の半分はベッドに乗せているが、ぴたっと、肌と肌が合わさっている。滑らかで引き締まった肌が、チャムの肌の上をうごめく。
「そのまま……」
彼はズボンを脱ぐのに体勢を変えただけだった。チャムから距離を取らないのは、まだ逃げるかもしれないと思っているのだろうか。くっつきながら服を脱がれるのに、すごくドキドキする。
(あそこが……熱いよ……)
目をきつく瞑って顔を逸らした。
ベッドから何かが落ちる音。きっと、二人分の服だ。チャムは何も身に纏っていない。アランの足が、チャムの足に絡んできた。
(アラン様も……)
頭がどうかなりそうだ。チャムの太腿に触れている熱くて硬いものは……。
「チャム、するよ」
「は、……っ」
返事をする前に、太腿を掴まれ足を広げられる。
「……っ――!」
開脚して、その間に彼が体を起こして膝立ちになる。自分の立ち上がったものの向こうに、彼のずっと大きい勃起した男根が見えた。
(アラン様の……)
自分のものがぐっと腹に近付き、股間の向こうがさらによく見えた。
(おちんちん、……触りたい)
そう思っていたら、アランの手がチャムの男根に触れた。触れるだけの刺激に、腰がピクピク動く。アランは驚いたような顔をした。
「もう立っているのか」
「! アラン様、だって」
アランこそ立っているではないか。どうしてそんな恥ずかしいことを言うのだ。
「私は、まあ……」
なんだか言葉を濁している。分からないだろうが、睨みつけた。
「むくれるな」
顔を撫でられ、表情を悟られる。
「まだ気持ち良いことをしてやっていないと言っただけだ」
(気持ち、良い……)
アランがチャムの胸元に顔を寄せる。
「ア、アラン様……?」
舌でじっとりと肌を舐められる。何かを探っているように。小さくでっぱった場所に舌先が触れた。そこをゆっくりと舐め回し、乳首だと確認している。そして唇をつけ吸われた。
「あぁっ」
じゅっと濡れた音がする。もう一方の胸にも手が這わされる。これもゆっくりと乳首の場所を探される。もどかしい動作に煽られ、股間が湿っていく。彼が触ろうとしている乳首が期待して硬くなって、ピリピリと痛みを感じた。それに彼の指が、優しく触れた。すごく優しい触れ方だったのに、悶えるような刺激が走った。
(あ、も、漏れる)
我慢しようとしたが、ぷすっと男根から透明な液が出る。ほんの少しの量だけど、性的な液体が出てしまったことが恥ずかしい。アランは気付かず乳首を吸っている。
「ひゃっ、ぁ」
反対の乳首は摘ままれる。 両方の乳首をいじられて、股間がビクビクと震える。覆い被さられているこの距離では、彼の腹筋に擦り付けて濡らしてしまいそうだ。
彼の肩に手をやって離そうとする。だがその手を彼の手が掴む。指を組まれ、両手ともベッドに押し付けられた。
「離さない」
上から押さえ込まれ、熱い吐息と共に言われた。切なげな表情が色気に満ちていた。
「絶対に……」
アランは片手だけ指を解き、自分の中指を舐めた。じゅぽっと音がするほど、たっぷりの唾液で濡らしている。乳首にされたことを目前でされ、触られていない乳首が疼いた。
濡らした指が下の方に移動する。チャムの股間の、もっと後ろ。ぴちゃっと彼の唾液に濡れた指が触れた。
「え……?」
そこにある穴を、アランの指がぐっと押す。妙な刺激だった。そんなところを触ってどうするのだろう。誰にも見せない場所だし、すぐ上に透明な液を零している男根があるから恥ずかしい。
アランはゆっくりと方向を変えつつその穴を押し、解すようにしている。やがてその指が、中に入ってきた。
(嘘……)
関節一つ分くらいだが、指を入れたりする場所じゃないのに。
「滑りが足りないな」
アランは指を抜いた。訳の分からない行為が終わってほっとした。ヒク……、と指が抜けて開いた穴が収縮して、どきっとした。アランの様子を覗うが、気付いていない。気付かれてはいけないことのような気がした。
それに気を取られていたら、
「んっ……」
アランに首筋に口付けられた。アランは鼻をすん、と鳴らしてチャムのうなじの匂いを吸った。体が火照って、汗塗れなのに。
だがそれよりも、しゅっしゅっ、と掠れるように小さい音がして、さらに頭が真っ白になった。
(……擦って、る)
広げた足に、アランの腰が挟まっている。その腰の熱い一物を、アランは手で擦っていた。どきどきするから目を逸らしていたのに、はっきり見てしまった。
(さっきより、大きい……)
男根ってあんなに大きくなるものなのか。チャムのも限界に近いが、まるで別の物のようだ。
鎖骨に彼の舌が這い、そしてまた、乳首を吸われた。さっきよりすんなり乳首を見つけられる。体を覚えられたのだ。
「……っぁ…」
股間への突然の刺激に声を抑えた。チャムの男根に、とても弱いけど、触れた所からツー、と下に降りてくる感覚……。
「!」
アランの男根の先が濡れだし、そこからポタッと透明な液が、チャムのものに当たっている。
(アラン様の、おちんちんから出た……液……)
チャムのそこもドクドクと脈打つ。立ち上がって露出した裏側を、彼の液が幾筋にもなって撫でる。チャムの先っぽからも液が溢れ出す。先っぽの穴がコポッ…コポと感じているのが丸分かりな収縮をする。
アランは右手で自分のものを擦りながら、左手でチャムのものに触れた。腰がびくっと動いて、一瞬アランの手に自分で擦り付けるかのようにしてしまった。
「濡れてる」
彼の口から言われてしまう。その液体を、彼の手で男根に撫でつけられた。
「感じているんだ」
「ち、ちが……」
そうだけど、
(アラン様の……だって、掛かってる)
そんな恥ずかしいこと言えるはずがない。アランの目が見えないことを嫌だと感じることなどあるはずないと思っていたが、これは、恥ずかしすぎる。二人分の湿りを、チャム一人が濡らしたものと思われているのだ。
「すごい。びしょびしょだ」
「び……!?」
あまりに卑猥な言葉に固まった。
(あ……)
アランの手に擦られる度に、ぐちゅぐちゅと音を立てているのに気付いた。耳の良いアランにこれが聞こえていないはずがない。同じ動きで擦っているアランの男根は、ここまでの音はしないのに。
自分の性器が、すごく厭らしく感じた。
「アラン様が濡らしたんです……!」
羞恥が抑えきれなくて、つい叫んだ。
ぴたっと、アランの手の動きが止まる。
「……?」
彼の表情を覗うと、アランは顔を真っ赤にしていた。
なんだろう。よく分からないけど、
(握ったまま、固まらないで……)
彼の手が激しく動いていない今、チャムの男根が充血してビクビク震えていることが知られてしまう。
「チャム……」
アランはまた、己の性器を擦りだす。
「その殺し文句、嬉しい……」
アランはチャムの男根を擦り、玉袋を撫で、さらに尻の穴をついた。触るだけの弱い刺激だが、煽られ続けたチャムは自然と足を広げ、腰をつきだしてしまう。
チャムが腰を揺らしていることに気づき、アランは自分の男根を擦る手を速くした。
「腰揺らすの可愛いけど、少し待って」
片手で腰を掴まれた。それだけだというのに、力が強くてびくとも動かない。
その手に腰を持ち上げられ、お尻が浮く体勢になる。前のめりになったアランの男根の先は、まっすぐチャムのそこに向いている。
「いく……」
彼が眉間を寄せる。その表情に、
(色っぽい)
と見蕩れた。
ドビュッと、アランの精子が勢いよく尻の穴の辺りを圧した。
「……あ」
熱くてとろっとした精子が、たっぷりと掛かっているのを感じる。
アランは体の力を抜き、チャムの胸に頭を置いてベッドに横になる。彼の腕がチャムをぎゅっと引き寄せる。
「んっ……」
チャムの男根が、彼の引き締まったお腹に擦れる。限界だったチャムは、ドクンと、彼の腹筋に射精してしまった。
おそるおそる彼を見る。髪を撫でてくれて、胸がいっぱいになった。
(アラン様と、性交したんだ……)
チャムの胸に耳を寄せているアラン。どきどきしながら、その頭を引き寄せるように首に手を回そうとした。
「……!」
自分の手が目に入って愕然とする。
「腕の印、消えてない」
青い痣が浮かんだままだった。
お互いに精子を出し合ったのに、どうして。
これを消すために抱いてくれたのに。この方法は駄目なのだろうか。魔力が落ちた感覚が無いのだ。
「これで終わりだったら私が困る」
「え……? ふぁっ……」
アランは呟いたその口で、またチャムの乳首にしゃぶりついた。
「こういうのは、種付けするまでだろう」
乳首を含んだまま話されて悶える。
尻を撫でられる。そこはアランの精液で濡れているのに。
(終わりじゃない?)
彼の中指が精液をすくう。その指を、チャムの後ろに突き刺した。
「……ぁ…ッ!」
体内に彼の……。中で指を動かされる。狭いそこは動ける隙間なんてないのに、強い力と精液の滑りで少しずつ解れていく。
「なに……? アラン、様…あ……どうして……」
先程もそこに指を入れていたけど。訳の分かっていないチャムの声を聞き、アランは指を抜いた。先程より穴が広がって、空気が入ってしまいそうだ。
痺れて震える両の手を引かれた。熱いものが手に触れ、上から覆うように握りこまれる。一度射精したはずのアランの男根はまだ硬かった。
(アラン様のおちんちん、触ってる)
固まりながら、手の中の感触に集中し、凝視してしまう。体温のある肉の感触、先に残った精液。それを握らされる手により力を入れられ、チャムの手はアランの男根に密着した。
「君の体の中で……私を、いかせてくれ」
「中……で」
「そう……」
アランはチャムの手の中で、腰を揺らした。驚いて手を開こうとしたが、アランの手が許してくれない。
(す、擦……)
自分の手が、好きな人の男根を擦っている。チャムが知っている自慰より、ずっと激しく。こんなに握って大丈夫なんだろうか。
「こうやって、私の男根を締めつけてほしいんだ」
また、チャムの穴に指が触れる。
「君のここで」
濡らされた穴に、さらにアランの先走りを追加される。
「ん、あっ……」
穴の入口を弄られる。二本の指で広げられ、入ってくる。
(ここで……)
入るわけが……、そう思うが、アランが解すのでだんだん広がっていくのが分かる。彼の精液で濡れているため、きつくても指が滑って入ってきてしまう。
(締めつける……)
チャムの手を握っていたアランの手は離れた。だがチャムは彼の男根から手を離せなかった。
二本目の指が奥に入り込み、その手のひらが尻についた。
(入れことができるんだ)
ならば……。
「アラン様……」
彼はチャムの声のした方に顔を向けた。
「おちんちん、入れてほしいです」
ここで、きつくきつく彼と繋がりたい。
「……馬鹿」
呟いた声が聞こえなくて、問い返そうとした時、中の指がぐっと上の方を押すように曲げられた。
「……――!」
そこから快感が沸き起こり、背を反らした。まるで性器に刺激を与えられたような感覚。
「もう少しで入れられるから」
尻の穴の中で指を動かされ、彼の精液でくちゅくちゅと音がする。
「我慢して」
「はい……っ」
何を我慢すればいいんだろう。
(気持ちいい……)
腰が揺れてしまうのを抑えようとするが、この状態で下半身に力を入れられそうもない。彼に刺激されるままに喘いだ。
解れてきて、指の動きが探り探りでなくなった。優しかった指が、チャムを途切れない快感の波に容赦なく引きずり込む。滑りをもって指が入口まで抜かれ、それを奥まで一気に突かれる。そして中でばらばらに指を動かされるのだ。
「中、ヒクついてる……」
アランも興奮した声だった。
触れると意識したこともない場所を、彼には暴かれている。裸になって、脚を広げて。全てを彼に握られている気がして、
「ん…ふああ……っ」
背筋がぞくぞくとざわめき、快感が増した。
中に差し込まれる指が増やされる。
(広が…、てる……)
これだけ入るなら、アランの男根も……。彼に入れられるということを実感してきた。
そう意識すると、
「……っ。……」
喘ぎながら、彼の男根を見た。
(欲しい……、アラン様)
ここに入れればアランにも気持ち良くなってもらえる。それ以上に、純粋に自分の欲望としてアランの男根が魅力的に見えた。どうしてか分からない。アランの行為が気持ち良くて、頭の中が色欲でいっぱいになっている。指よりも、もっと性的なもので突いてほしい。
指が抜かれる。穴は少し収縮したが、閉じきらない。そこにアランの男根の先が触れる。熱い二つの体の間で、濡れた音が立つ。男根は射精直前の時と同じ大きさだ。
「痛かったら、言うんだよ」
「……はい」
そう答えたが、絶対に言わないと思う。痛くていいから、
(きて……アラン様)
彼と繋がりたい。
腰を、彼の両手で掴まれる。男根が押し込まれてきた。先走りと精子を内壁に擦りつけながら、少しずつ奥へと入ってくる。
「……っ…」
解したとはいえ、簡単に入る大きさではない。お互いに深く呼吸をして、ゆっくりと繋がっていく。
それでも圧迫感が強く、チャムは眉間に力を入れた。汗が額を伝って、それをアランの手が拭いてくれる。その手がすごく優しくて、体の力が少し抜ける。奥の方まで、届いた。
アランは一度息をつき、チャムの体を気遣った。
「チャム……」
中を刺激しないよう、そっと抱き寄せられる。彼の胸板や腕にも汗が滲んでいて、濡れた肌と肌が触れ合う。アランの肉体を意識して、体内が彼の男根をヒクヒクと食みだした。密着しているから、彼にそれが伝わっているだろうことが恥ずかしい。だって、チャムにもアランの男根がドクドクと脈動しているのが伝わっている。
彼の目に、羞恥で真っ赤になって涙が滲んでいるチャムの顔は映らない。けれど、快感で熱くなった部分は、ぴったりと触れ合っている。
「動くよ」
「……はい」
確認の言葉は、とても短かった。したいことは今、一つしかない。
「あ…あぁ!」
「……う…っ」
男根で中を擦られる。チャムが痛がっていないのを見ると、アランの腰使いは激しくなった。
「やっ……そこぉ……ッ」
感じてしまう場所に、ぐりぐりと男根の先を押しつけられる。
「…ャム、…鳴いてくれ……もっと…」
容赦なく感じるところを攻められる。
彼の手が胸に伸びてきて、手のひらで広く触った。もう一度触れられた時には、正確に胸の小さな粒を指で摘ままれていた。軽く周りの肉が引きずられるくらい引っ張られる。
「いたっ…」
「! すまない」
すぐに離してくれたが、乳首がじんじんする。空気の動きさえも感じかねない、敏感な状態が治らない。
「あの……」
「痛いか」
「あ、……いえ」
心配げに訊ねられ、気が引けて言葉に詰まった。だが沈黙するうちにも、乳首の疼きが治まらない。
「乳首を…触ってください……!」
「……は…?」
いやらしい頼みごとに、心臓がバクバクと脈打つ。アランの驚いた顔が居た堪れない。
「あ…ん……!」
脇を鷲掴みに引き寄せられ、乳首にむしゃぶりつかれた。ジュウウッ、と音を立ててきつく吸われる。チュバッと唇を離される。アランは口で一気に吸った呼吸を整えている。その下で真っ赤になって濡れた乳首が目に入った。
彼の両手がチャムの腰を掴む位置に戻る。
「限界だ」
膨張しきった男根が、ぎちぎちにチャムの中に嵌っていた。
見えないだろうけど、チャムは自然と微笑んだ。
アランがチャムの股間に激しく腰を叩きつける。チャムは男に体を開かれる感覚を、吹き飛びそうな意識の中で味わった。全身の感覚が痺れて、もうよく分からない。
(アラン様が、すごく傍にいる……)
アランに覆い尽くされる感覚と、内側から突き崩される感覚が、ごっちゃになって襲ってくる。全身が熱っぽく、全てが快感に溶けてしまいそうだった。
「チャム……!」
名を呼ばれ、少しだけ感覚を取り戻す。体の奥で男根の脈打つさまと、叩きこまれた熱い飛沫を、信じられないくらい明瞭に感じた。
そこで意識は途切れた。